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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
構文篇〜正しい日本語を身につけるには
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1411.構文篇:キャラクターの誕生3(顔・髪型・服装・体格)

 今回はキャラ倉田ーの外見についてです。

 小説は文字しかありませんから、外見はとくに描写しないかぎり読み手には伝わりません。

 しかし意外とキャラクターの外見をきちんと描写している「小説賞・新人賞」応募作が多いのも事実です。

 もししっかりと外見を書いていたら大賞を獲れたかもしれませんよ。

キャラクターの誕生3(顔・髪型・服装・体格)


 今回はキャラクターの見た目についてです。中でも顔・服装・髪型はその時々の感情が表現されています。

 顔はその場その場の感情が表れ、服装はその日の気分が反映し、髪型は次にセットするまでの心境が投影されます。




顔(面立ち)

 アマチュアの書く小説では「顔」つまり「面立ち」があまり書かれません。そのくせ「笑った」「泣いた」「怒った」などと表情を書くわけですから始末が悪いのです。

 そもそもキャラクターの「顔」「面立ち」をきちんと書いているでしょうか。きちんと書いてあれば、ただ「笑った」「泣いた」「怒った」とは書きません。必ず特徴的な顔のパーツを絡めて表現するものです。


「目は口ほどに物をいう」と言います。たとえ口で軽口を叩いていても、眼差しに怯えが見えたら内心たじろいでいるのです。

 田中芳樹氏『銀河英雄伝説』の主人公ラインハルト・フォン・ローエングラムは「蒼氷色(アイスブルー)」の瞳ですし、オスカー・フォン・ロイエンタールは左目が青、右目が黒の「金銀妖瞳(ヘテロクロミア)」。名作はキャラクターの「目」ひとつとっても個性的なのです。

 こう書くと主人公や印象的にしたいキャラクターの瞳を左右色違いの「オッドアイ」に設定してしまう方がひじょうに多い。そのせいか「小説賞・新人賞」応募作には数多くの左右色違いの瞳を持つキャラクターが必ずひとりは出てくる事態となるのです。これでは「印象づけよう」と画策しても凡百に埋もれてしまいます。現在のライトノベルはまさに左右色違いの瞳のキャラクターだらけです。とくに超能力や魔法を使うキャラクターは「オッドアイ」になりやすい。

 Google検索で「オッドアイのキャラクター」を調べると、その人数の多さに圧倒されるはずです。ここまでコテコテの存在だと、今さら「オッドアイ」のキャラクターなんて書こうとも思わなくなりますね。少なくとも「小説賞・新人賞」へは「オッドアイ」のキャラクターは出さないほうがよいでしょう。


「眉」は目の表現を助けます。怒ると眉間にしわが寄り、眉根は下がって眉尻が上がります。しかし笑うと眉尻が下がるのです。また形自体に性格が反映され、一字眉なら男性的で決断力があり、柳眉は秀才に見える。丸眉はやさしさの表れなど。

「口」も表情を司る重要なパーツとなっています。大口を開けて笑ったり怒鳴ったり、不平を溜め込んで閉じた口角が下がったり。

 他にも「鼻」や「耳」にも性格が表れます。

『pixiv』に目・眉・口・鼻・耳の性格判断や表情一覧を描いてありますので、それを参考にすると顔まわりは不足なく表現できるはずです。「SSTM」で検索してみてくださいませ。

 またキャラクターが化粧をしているのなら、その化粧についても書けるなら書いたほうがよいでしょう。女性キャラクターなのに化粧の描写がない作品も多いんですよね。普通女性なら化粧して人前に立ちますよね。寝る前には化粧を落として保湿パックをしている方だっているはずです。そういう細かいところもきちんと書けば、リアリティーが増して存在感が引き立ちますよ。




髪型・服装

 髪型(ヘアスタイル)にはキャラクターの価値観や考え方が端的に表れます。髪型はたいてい自分自身で選んでいるからです。

 動きやすいようにショートカットを好む女性もいます。おしとやかな女性ならストレートロングの黒髪が定番です。まぁ美容師のオススメでカットする方もいらっしゃいますから、最近はあまりあてにならなくなりましたが。それでもある程度の性格の方向性は見えてきます。

 髪型は服装のように日々の取り替えがきかないので、一度決めると次にセットするまでは伸びていきますが同じ髪型になります。多少のアレンジくらいならできますが。だからキャラクターのセットしたときの気分が表れやすいパーツです。失恋したらストレートロングをばっさり切ってショートボブやショートカットにする、というステレオタイプな表現もありますからね。


 服装は日々着替えますから、その日の気分を表します。髪型は次にセットするまで変わりませんが、服装は着替えるだけで交換できるのです。嫌なことがあったら都度着替えるキャラクターもいるでしょう。またたいせつな日であったらドレスアップするのも、女性ならその心理はわかるはずです。

 ですが毎日どんな私服を着ているのか、書かない方が多いんですよね。藤子・F・不二雄氏『ドラえもん』やさくらももこ氏『ちびまる子ちゃん』のように、毎日同じ服を着ているのかどうかすらわかりません。そもそもどんな制服かすら書かないのです。学生服だって詰め襟やブレザー、セーラー服など学校によって異なります。単に「学生」「生徒」と書くだけでは伝わらないのです。

 キャラクターの「面立ち」を書かないのも大問題ですが、着ている服装を書かない方も多い。もしかして主人公やキャラクターは服を着ていないのですか、と問いたくなります。それなら服装に触れなくて当たり前。でもそんなネイキッドなキャラクターだと成人向けになってしまいますけどね。


 また装飾品として帽子にケープにマント、イヤリングにピアス、ネックレスにブレスレットにアンクレット、ネイルに付け爪、指輪、腕時計に懐中時計、ネクタイにサスペンダーなどを身に着けている場合もあります。持ち物によってもキャラクターの印象は変わりますので、こだわって書きたい部分です。

『pixiv』に髪型の一覧を書いてありますので、それを参考にすると髪型で迷わなくなりますよ。こちらも「SSTM」で検索すれば出てきます。




所持品

 服装や装飾品のような着飾るものばかりでなく、道具や鍵やカバンや財布などの所持品にも人柄や性格が表れます。

 学生カバンと言っても皮革製であったり帆布製であったりランドセルであったりとさまざまです。通っている学校によっても異なります。私は中学生のとき、白い帆布製の肩掛けカバンを使っていました。高校は自転車通学だったので黒の背負えるカバンを使いました。通学の形態によっても使うカバンは異なって当たり前です。今の社会人ならPCバッグをメインで使っている方が多いですね。もちろん中にはノートPCも入っています。

 女性ならカバンはファッションの一部で、自己主張の一端を担っているものです。小さなポシェットやポーチだったりたくさん物が入れられるよう厚手のトートバッグだったりもしますよね。またスーツでビシッと決めているなら、細身の黒い手提げカバンが定番です。いかにも「キャリアウーマン」然としますからね。

 女性と言えばカバンと並んでお財布に気合いを入れている方が多いですね。金運アップとして黄色い長財布を使う方もいますし、黒のスーツに合わせた細身の黒の長財布も人気があります。女性だと札入れとして長財布、別途小銭入れを持つ方が多い。男性はたいていひとつの財布でやりくりしようとします。スーツの上着の内ポケットに入れる黒革の長財布か、多少見た目はよくありませんがスラックスの後ろポケットに入れる二つ折り財布が定番ですね。こちらもやり手になるほど上着に長財布を入れる方が多くなります。

 ファッションとして髪型、服装は書いている方でも、小道具を書き忘れている方が多いんですよね。ぜひ身に着けているアイテムでもファッションをアピールしてみましょう。




体格

 意外と忘れがちなのは顔だけでなく体格もですね。

 体格や体つきへ言及せずに人物を描写してしまう方が多い。これもWeb小説あるあるでしょうか。

『銀河英雄伝説』では銀河帝国軍のウォルフガング・ミッターマイヤーが「体操選手のような」と評されています。体つきを描くだけで印象ががらりと変わるのです。ミッターマイヤーの背が低いのは「体操選手」のように子どもの頃から筋肉を鍛えていたせいかもしれませんね。そういったキャラクターの背景が透けて見えるのも、体格や体つきを描写する利点です。

 同じく『銀河英雄伝説』のサブ主人公であるヤン・ウェンリーの体つきや雰囲気は「冴えない学者然」としています。覇気がなく風采の上がらない雰囲気を醸し出すような痩せた印象ですよね。

 いかにしてキャラクターの体格や体つきを描写するか。

『銀河英雄伝説』のようになにかの職業人にたとえるのが、最も少ない文字数で表現できて便利です。

 筋肉隆々としていたら「ボディービルダーのよう」で描写できます。

 ただ気をつけたいのが「異世界ファンタジー」です。「異世界」が舞台なのに「ボディービルダーのよう」と書いても、肝心の異世界人は理解できないのです。「体操選手のよう」とも書けません。『銀河英雄伝説』で許されたのは、遠い未来を舞台にしたSFだったからです。つまり遠い未来にも「体操選手」「冴えない学者」がいたからたとえられました。職業人にたとえるなら「その世界にいても不思議はない職業」にしましょう。

「重装騎士のような頑強さ」とか「盗賊のような身のこなし」なら「異世界ファンタジー」で書いても違和感はありません。

「その世界にいても不思議はない職業」が現実世界の私たちにも理解できれば、比喩として成立します。ぜひそういった職業を見つけて体格や体つき、また雰囲気をたとえるようにしてください。





最後に

 今回は「キャラクターの誕生3(顔・髪型・服装・体格)」について述べました。

 小説は文字だけでしか表現できません。説明されなければ外見は見えてこないのです。

 それなのに「小説賞・新人賞」でも「外見が描写されていない」応募作が多い。これで大賞を獲れると思ったら大間違いです。

 読み手をキャラクターに感情移入させるためにも、外見描写を疎かにしてはなりません。




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