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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
構文篇〜正しい日本語を身につけるには
1406/1500

1406.構文篇:一作応募して満足しない

 今回は「小説賞・新人賞」での戦略についてです。

 たった一作応募して満足してはなりません。

 応募総数が千作あれば、単純な確率では〇.一パーセントでしか対象になれないのです。でも二作応募したら確率は二倍になります。

 ひとつの「小説賞・新人賞」に複数作を応募したほうが勝率は高くなるのです。

一作応募して満足しない


「小説賞・新人賞」へ応募するための原稿を書きあげ、あとは結果を待つだけ。

 そんな状態になったら、あなたはどうしますか。




疲れても立ち止まらない

 正月の定番である「箱根駅伝」。

 選手たちは気力を振り絞り、次のランナーへたすきをつないでいきます。ゴール後その場でくずおれてしまうランナーも多数です。でも運営さんや同僚の学生たちが無理やり立たせて歩かせますよね。

 かなりのスパルタかと思いきや、倒れるよりも無理にでも歩かせたほうが心臓に負担がかからないからなのです。

 どんなに疲れていても立ち止まらない。

 小説の執筆でも同じことが言えます。

「小説賞・新人賞」へ応募したらそこで筆を止めてしまうと、次作を書こうとする意欲が湧いてきません。

 もし大賞が獲れたとして、「紙の書籍」化するために昼夜惜しまず推敲と直しの作業が続きます。ようやく出版まで漕ぎ着けたら、次巻の執筆を促されるのです。プロになったら休めません。印税を支払ってくれる出版社レーベルのためにも執筆を途切れさせられないのです。

 であれば、アマチュアのうちからそのペースを掴んでおいたほうがよいでしょう。

「小説賞・新人賞」へ応募したからと満足せず、すぐに次作へチャレンジするのです。

 同じ「小説賞・新人賞」へ複数作応募するもよし、別の「小説賞・新人賞」へ分散応募してもよし。

 たいせつなのは「疲れても立ち止まらない」ことです。

 毎日小説を書いていないと気が済まない。

 そのくらい構想と執筆と推敲と直しを好きになってください。

 プロになったらゲームもなかなかできなくなります。

 そんな時間があるのなら、一作でも多く物語の構想を練るべきです。一文字でも多く小説を書くべきです。一箇所でも多く推敲するべきです。より伝わるように構成を見直すべきです。

 プロになったのにいつまでもアマチュア感覚が抜けず、校了しない受賞者が後を絶たないのも「小説賞・新人賞」あるあるです。




同じ小説賞・新人賞に応募する

 通常「小説賞・新人賞」へは一年間練りに練った作品を投稿したくなりますよね。その場で思いついたような作品では歯牙にもかからないと思ってしまうのです。

 しかし本当につまらない作品になってしまうものでしょうか。

 才能のある人は、たとえ残り一か月半でも新作に挑戦します。可能性があるのなら、それに賭けるのが真に有能な人物です。

 もちろん以前から温めていた作品をもうひとつ取り出して執筆してもかまいません。

 ですが執筆時間、推敲時間はとても限られています。確かにこのままでは歯牙にもかからない作品になりかねない。ですが、是が非でも間に合わせようと全力を傾ければ、大きな経験を得られます。結果として長編小説・十万字を一か月で書きあげられるようになるかもしれません。無理を承知で強行した成果です。

 あなたは一年間温め続けた、たったひとつの物語で「小説賞・新人賞」に挑みたいのかもしれません。それでは応募口数がひと口なので、当選確率もかなり低くなります。もう一本応募したらどうでしょうか。単純計算で当選確率は二倍になるのです。

 受賞はけっして確率論ではありません。すぐれた内容の作品が賞を授かるのです。でも書き手の心情としては「これで確率は二倍になった」と安堵します。そこに冷静な計算はありません。感覚として安堵できればそれでよいのです。


 あなたは確率を操れます。長編小説をもう一本書いて応募するだけで、当選確率は二倍になる。三本応募すれば三倍になる。

 これでもまだたった一本応募すれば事足りますか。

 あなたは自身の当選確率を操れる側にいるのです。一本でも多く応募する。たったそれだけで、大賞をより獲りやすくなります。

 もし同程度の作品が大賞を争っていたら、たった一作送ってきた書き手を選ぶのか、二作も三作も送ってきた書き手を選ぶのか。自明ではないでしょうか。

 同じ「小説賞・新人賞」に複数作を応募するのは、速筆をアピールできるのです。開催している出版社レーベルとしては、決められたスケジュールどおりに単行本を刊行したいはず。であれば一年に一回開催される「小説賞・新人賞」には三作か四作は応募してくれる方を選びたくなります。

 初めのうちは多産できないでしょう。しかし「一作でも多く」の意識があれば二作でも三作でも書こうと努力するのです。いつか実って募集期間内に二作、三作と応募できるようになります。

 ひとつの「小説賞・新人賞」に物量戦を挑むのです。軍事用語では「飽和攻撃」とも呼ばれます。

 弾道ミサイルを一基しか発射しなければ、迎撃ミサイルで簡単に撃ち落とされるだけです。しかし十基も百基も同時に発射したら、とても迎撃は間に合いません。必ず何発かは目標地点を直撃します。

 もう一度述べます。

「あなたは確率を操れます」

 二倍にも三倍にもできるのです。努力を惜しむとせっかくのチャンスをものにできませんよ。




一年中どこかの小説賞・新人賞をはしごする

 次に、さまざまな「小説賞・新人賞」へ応募しまくる手です。

 一度どこかで落選した作品を手直しもせずに他の「小説賞・新人賞」に応募しても、受賞は難しい。よほど作品に自信がなければ、敗者復活を期すべきではないのです。

 また同時期に開催されている「小説賞・新人賞」に、同じ作品を重複応募(マルチポスト)してはなりません。かなり根深い問題が発生する可能性もあるからです。

 もし作品に自信があるのなら。ふたつの「小説賞・新人賞」で同じ作品が大賞を射止めるかもしれません。そのとき出版社レーベル同士が揉める原因となるのです。

 だから「小説賞・新人賞」の募集要項では「他のコンテストに応募していない作品」という一項を設けています。

 たとえばXという「小説賞・新人賞」に作品Aを応募し、同時期のYという「小説賞・新人賞」に作品Bを応募するのです。そして双方とも落選したとします。一年後は先にXという「小説賞・新人賞」に改稿した作品B’を応募し、Yという「小説賞・新人賞」に改稿した作品A’を応募する。これはまったく問題ないのです。

 もちろんXに改稿した作品A’を応募してもかまいません。ただ一度落選した作品は、根本的に魅力がないから一次選考も通過できなかったのです。同じ「小説賞・新人賞」にまったく同じ作品を何度応募しても「暖簾に腕押し」。受賞なんてありえません。

 そこで一度どこかで落選した作品は、改稿して別の「小説賞・新人賞」へ応募するのが筋です。これなら少なくとも前回よりはましな作品で勝負できますから、一次選考を突破できるかもしれません。

 一次選考を通過できるかどうかが、同じ物語を改稿して他の「小説賞・新人賞」へ応募する目安となります。一次選考を通過すれば、それなりにでも主人公や物語に魅力があった証左です。

 もし一次選考すら通過できないのであれば、相当な手直し、たとえば主人公のキャラクターを変えてみるとか、主人公を活かしきれていないエピソードに手を入れるとかが必要になります。


 だから一次選考も通過できないレベルにいるのなら、一作だけで勝負してもかまいません。ただ重複応募(マルチポスト)は絶対にしないでください。まさかは起こりかねませんから。

 一作で勝負したいなら、主人公のキャラクターが立つようなエピソードに改めてください。主人公自身に魅力がない場合も多いので、主人公をもっと魅力的にするべく毎回努力しましょう。

 どれだけ主人公を魅力的に書いても「書きすぎ」はありません。

 鎌池和馬氏『とある魔術の禁書目録』の主人公・上条当麻は、たったひとつ右腕に宿る、すべての異能を打ち消す能力「幻想殺し(イマジンブレイカー)」の所有者です。これだけで強烈にキャラクターを立てています。





最後に

 今回は「一作応募して満足しない」について述べました。

 肝煎りの一作だけで「小説賞・新人賞」に挑まないでください。それでは自ら受賞の確率を下げてしまいます。

 どうしても特定の「小説賞・新人賞」を獲りたければ、まったく毛色の異なる作品を二作でも三作でも応募してください。それだけで受賞確率は二倍にも三倍にもなります。

 とはいえ、そもそも筆力もないのに二作、三作応募したところで受賞確率は上がりません。まずは一次選考を通過するまで、あなたが受賞したい作品を改稿しながら応募し続けてください。そのうち一次選考は通るでしょう。

 そこからひとつの「小説賞・新人賞」に二作、三作と応募数を増やせばよいのです。

 どこか不特定の「小説賞・新人賞」で受賞できたらよいと言うのであれば、重複応募(マルチポスト)に気をつけ、時期をずらして改稿したものを応募するようにしてください。




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