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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
物語篇〜どのような関係になるか
1310/1500

1310.物語篇:物語54.貴族と転落

 今回は「物語54.貧乏と成り上がり」の逆バージョンです。

 今日執筆しただけなのであまり内容がまとまっていないかもしれません。

 世の中には「貴族が転落していく」姿を見てすっきりする人もあるんですよね。個人的には劣等感から来るのだと思います。

物語54.貴族と転落


 これは「貧乏と成り上がり」の真逆な物語です。

 たとえば国王だったのにクーデターを起こされてよその国へと亡命していく。

 亡命できればよいほうで、たいていはクーデター派に捕まって裁判のち極刑という流れが多いですね。

 貴族であれば権力争いに敗れて、名家が転落していきます。

 富貴の出のボンボンは、庶民として暮らせないのです。だからこそ転落していきます。





剣と魔法のファンタジーは王侯貴族で成り立っている

 なぜ「剣と魔法のファンタジー」は王侯貴族が土地を治める封建制・冊封体制なのでしょうか。

 民主主義の「剣と魔法のファンタジー」なんてあるのか。というそもそも論もあります。

 もし民主主義があったら、大統領が「勇者」を選ぶのでしょうか。

 その大統領を国民が選んでいるので、間接的に「勇者」は国民が選んだと言えなくもない。というより「勇者」候補が名乗りを挙げて選挙を行ない、最多得票した者が「勇者」となる、なんてことがあるかもしれません。

 直接選挙で決まった「勇者」が本当に「魔王」を倒せるのでしょうか。もし戦いを挑んで「勇者」が死んだら、また直接選挙をするのか。それも考える必要がありますね。

 必ずしも強いから「勇者」となるのではなく、「人気だけはある」から「勇者」に選ばれるのだとしたら。いくら「勇者」が「魔王」と戦っても勝てるはずがありません。実力主義ではないのですから。

 だとすれば「魔王」退治はサボタージュして、「勇者」としての特権だけを享受しようとする「人気だけはある」人物ばかりが立候補しそうですね。

 これで本当に「魔王」を倒せる日は来るのでしょうか。

 かなり怪しいですよね。

 民主主義だと、地位を手に入れても任務を果たすとは考えづらい。

 現代日本を見ても、理想だけは崇高で、実際は裏金作りや贈収賄が当たり前ですよね。

 選挙区で勝ち残るために、所属政党の幹事長から一億五千万円も振り込んでもらって地元政治家に贈賄を繰り返して参議院議員になった人も現実にいます。現在係争中ですが。

 民主主義は多数決が前提なので、どうしても万人ウケする人物が選ばれやすい。強さは二の次、三の次です。

 だから民主主義で選ばれた「勇者」では、実力がはるかに高い「魔王」を倒せません。

 そのためか「勇者」の地位を授けるのは、人を見るのある人物つまり国王が適任なのです。けっして人気を集める人物でなく、実力がある人物に割り振れるだけの権力があります。




勇者は下級貴族が多い

 そんな勇者ですが、たいへんな名誉であるためか庶民からはまず選ばれません。

 それなりの名家つまり貴族の中から武芸に秀でた「勇者」を指名するのです。

 しかし苦労知らずの金持ちや上級貴族のボンボンが「勇者」で本当に「魔王」を倒せるのでしょうか。

 これもかなり難しい。

 戦うごとにパーティー・メンバーが減っていき、最終的には「魔王」討伐の任務を果たせなくなるかもしれません。

 それを防ぐために、貴族出身の騎士の中から「勇者」が選出されるのです。

 現役の騎士であれば、それなりの実力があります。また騎士団に所属しているでしょうから、上意下達で指揮命令系統も確立します。つまり使える「勇者」となるのです。

 だから金持ちや上級貴族のボンボンではなく、下級貴族の子弟が「勇者」に選ばれます。




金持ちや上級貴族の転落

 功名心に駆られた金持ち貴族や上級貴族のボンボンが「勇者」を自称して「魔王」退治に出かける。ない話ではありません。

 そもそもボンボンは「魔王」討伐という大いなる名誉を、下級貴族の子弟にとられるのをことさら嫌います。

 だから歴史に名を残そうと難事へ踏み出すのです。その心意気はよいのですが、なにせ世間を知らないボンボン。単に「魔王」を倒せばいいんだとばかり、一直線に「魔王」を目指して倒そうとします。実力差をまったく考慮せず。というか自分に勝てるヤツなんてこの世にいない、と豪語するくらいです。

 そういった功名心で身を滅ぼす金持ちや貴族は多い。

 転落していく人がいるから、その富が他者へと流れていくのです。

 貴族同士の新陳代謝だと思ってください。

 ある名門貴族が「魔王」討伐の功名心に駆られて出兵し、大敗して有り金すべてを吐き出してしまう。するとそれを吸収して大きくなる貴族が必ず現れます。大きくなった貴族が政権で幅を利かせるようになり、やがて上級貴族の仲間入りするのです。

 つまり貴族階級の中でも栄枯盛衰が起こります。

 一度転落していった名門貴族の成れの果ては惨めなものです。

 過去の栄光や名声を追い求め、しかもそれが叶わない願いであると気づけずにいる。気づいていたとしても取り戻す術がない。

 日中から酒を飲み続ける、放浪の旅に出るなど、あてもない人生を過ごすのです。


 以上は「勇者」志願したボンボンの話ですが、政略によってその座を追われる名門貴族もいます。

 こちらはたいてい新興貴族が政略を張り巡らして名門貴族を追い落とすのです。

 なぜ新興貴族が政略を張り巡らせられるのか。財力を持つ豪商がバックについているからです。時代劇でも羽振りのよいお代官様には越後屋がついていますよね。

 新興貴族は豪商の財力を惜しげもなく使います。そうして名門貴族の周辺を切り崩して多数派工作を行なうのです。脆くなったところへさらに追い撃ちをかけます。こうして転落へと誘うのです。

 貴族には政略がつきもの。宮廷闘争に負けた者に居場所はありません。

 いつ寝首をかかれるかわからないのが貴族の世界です。





最後に

 今回は「物語54.貴族と転落」について述べました。

 ドロドロの宮廷闘争に巻き込まれたり、功名心に駆られたりして名門貴族が転落していきます。

 ボンボン育ちの子弟が昔を懐かしみながら朽ちていくさまは、多くの小説で用いられてきた「様式美」です。

 しかし政略に精通していないと、贈賄による多数派工作を書ききるのはかなり難しいと言わざるをえません。

 中国古典ですが『春秋』『戦国策』『史記』『三国志』『十八史略』あたりを読み解けば、宮廷闘争の本質に触れられます。「剣と魔法のファンタジー」は「中世ヨーロッパ風」だからそぐわないなと感じる方は、西洋史を丹念に研究してくださいませ。

 私は中国古典であらかたの宮廷闘争は出尽くしていると思っていますので、そちらをオススメしているだけですので。




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