作戦会議
「まず、『アリストクラット』の現時点での状態は、エルフィア家を中心とした職業差別主義……今回は戦士至上主義の思想を是とする集団とそうでない貴族集団とで分裂しています」
「エルフィア家の思想を是とする貴族が多いのが意外だな……」
「確か双方を纏めるリーダー的な奴もいないんだったね」
「そうです」
シオン王妃を中心とした対『アリストクラット』の作戦会議では、現在はその組織の現状を改めて参加者に伝えている所だ。
冒険者の中には、エルフィア家の考えを是としている貴族の家系が多いことに意外だと感じていた。
ただ、双方を纏めるリーダーがいないので、分裂状態は日に日に酷くなっているようだ。
「そこでまずはカルロスさんとカトレアさんを中心とした殿部隊と、準備しているお義母様を中心とした突入部隊に分けて攻め込みたいと思います。 その前に、例の組織の拠点の場所を教えておきますね」
「ああ、そういえば場所を教えてもらってなかったね」
シオン王妃がそう言いながら、地図を広げて壁に貼り付ける。
確かにメルルが言うように、『アリストクラット』の活動拠点の場所を教えてもらっていなかったのだ。
「その『アリストクラット』の活動拠点はここ……ベルセリア王国の王都から南西にある離れの屋敷です。 丁度森に囲まれた場所に構えているようです」
「南西の『霧の森』だね」
「メルル、知ってるのか?」
「うん。 あそこは常に霧が立ち込めているから進みづらいんだよ。 安全に進むには上級魔法の【アンチミスト】が必要なくらいにね」
「そうなのか。 じゃあ、戦士至上主義のエルフィア家はどうやって霧を?」
「多分、力任せに霧を振り払って拠点に行き来しているんだと思う。 戦士至上主義だから魔法には頼りたくないんでしょうね」
例の『アリストクラット』の拠点は、王都から南西の『霧の森』と呼ばれる森の中にあるという。
メルル曰く、常に深い霧が立ち込めており、上級魔法の力でないと安全に進めない程らしいが、エルフィア家はそれに頼らずに力任せに武器を振って霧を払っていると予想した。
戦士至上主義だからこその荒業なのだろうが、殆どの冒険者は内心で信じられないという様子だった。
「そういう事もあり、殿部隊はまずカトレアさんの魔法で霧を払ってもらい、そのまま敵をおびき寄せて下さい。 その後に突入部隊が活動拠点に入り込んで貰います」
「なるほど」
「あの人なら霧を払うなんて簡単だろうし」
(お母さんの実力は他の冒険者達にも周知しているんだなぁ)
拠点が深い霧の中に隠れているという事もあり、殿部隊を担う者の一人のカトレアに魔法で霧を払ってもらってから敵をおびき寄せて、その間に突入部隊が拠点に侵入するという形になるという。
冒険者達にもカトレアの実力に納得している事に、メルルも内心で誇らしく思いつつも複雑な思いも抱いている。
「なお、突入部隊にはカトルくん、メルルちゃん、ノエルちゃんの三人を組み込みます」
そして、突入部隊についての内容をシオン王妃が発言した後で、周囲はざわついた。
シオン王妃が突入部隊のメンバーのうちの三人を予め固定していた事に戸惑いを隠せなかった。
「今回の同行は、カトルくんとメルルちゃんの傍に居る事を前提として突入部隊にノエルちゃんを組み込みました。 彼女の前で言うのもなんですが、ノエルちゃんは戦士じゃないという理由でエルフィア家から追放された子なんです」「
シオン王妃のさらなる発言に周囲がさらにざわつく。
まさか、エルフィア家の職業差別主義の被害に遭った実子がいたとは思わなかったのだろう。
「ノエルちゃんは、メルルちゃんとカトルくん曰く魔法使いの適性があります。 ですがエルフィア家は戦士至上主義ですからね」
「そうだったのか……」
「エルフィアの枷を解くためにか。 納得した」
「なら、一層『アリストクラット』を……そしてエルフィア家を壊滅させないといけないわね」
理由を聞いて納得したのか、冒険者一同はノエルの為に士気を上げた。
一方で、カトルにしがみついていたノエルも、それに触れて笑顔を見せる。
「こんな可愛い子を追放するなんてね」
「ああ、許せないな!」
「はいはい、一旦話はそこまでにして、他のメンバーの編成を伝えますよ」
士気を高めてざわつく冒険者達をシオン王妃は軽く注意して黙らせる。
その後、殿部隊に入るメンバーと残りの突入部隊に回すメンバーを発表し、各自役割を確認した。
「それでは、これより『アリストクラット』壊滅作戦を遂行します。 殿部隊はカルロスさんとカトレアさんの先導の元、先に拠点がある『霧の森』に向かってください」
メンバーを決めた後、シオン王妃の号令の下でついに『アリストクラット』壊滅作戦が決行される。
先に殿部隊が部屋から出て行き、霧を払うために『霧の森』へと出発した。
突入部隊のメンバーとなったカトルとメルル、そしてノエルは先にトイレを済ませてから、突入部隊のリーダーを務めるヒルダ先代王妃の元に向かうのであった。
次は諸事情により3月16日(水)更新予定です。
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