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晩餐会って聞きましたが?

 その日の夜。エストラーダ様からのお誘いを受け、

 夕食へと御招待されたのです。


 …たのですが?


 ここ、お城では無く、街の酒場なのですよ?


 エストラーダ様も、かなりラフなお洋服を召され…


 どうやら、自称一般人に、なりすましておられる様です。


 驚いた事に、見事に溶け込んでます…


 仕草も、雰囲気も、まるで一般人…かなり慣れているというか、

 堂に入ってるというか…?


 そういえば…

 帝国にも、お忍びでしょっちゅうお越しだとか、そう仰ってましたからね…


 なる程。


 なぜわざわざ、護衛も連れずこんな場所に?


 危険ですよ?


 あ、まあ…うちの王様がいますね…


 つまりは、なんの問題無いと。なる程。



 でも普通、誰だってそう思うでしょう?

 勿論、私もそう思うのですが…


 王城でさえ話せない様な内密なお話などは、

 逆に?こういった場所で話されるのが、

 ここ、トールトメラの、現国王…つまりエストラーダ様の代からの、新常識…なのだそうです。


 無駄に広くて装飾も多い城内には、

 実はどこに間者がいてもおかしくないそうです…

 買収された使用人だって、ひょっとして居るかもしれませんしね…と。


 まあ、分からなくもないお話しですが…



 そして、ここ。

 狭いですし、かなり騒がしいです。


 どれだけ聞き耳立てたって、隣の会話さえ、よく解りませんね…


 酔ってるせいか、皆さん、声が大きいですし。


 その、敢えてこの場所で行う重要かつ、内密なお話って…


 ならば相当に、深刻なものなのかと、そう思っていましたが…


 議題?


 そんなもの、特に無いそうです…


 思わず腰を抜かすかと思いましたが…


 息が詰まる城内では、うちの王様に申し訳ないという…

 なんとエストラーダ様の気遣いなのだそうです。

 なんてお優しい…そう思ったのですが…


 『えっちゃん騙されんな?コイツがここの料理を食いたかっただけだからな…しかも、俺をだしにしてな…』


 え?


 「や、やだなあ師匠?バラさないで下さいよ?せっかくの美談だったのにな…」


 おっと…ホントでしたか。

 お優しい…と、思ったんですが、意外と策士なのでしょうか?


 いえきっと、王様ともなれば、それぐらいじゃなきゃ務まらないのかも…ですね。


 聞けばこのお店、元々ここ出身の地元の方が、


 帝国で長く修行をして、そして最近独立して、

 生まれた国の、地元の、ここで開いたお店だそうで、


 味付けなんかが、トールトメラの料理とは、基本的に全く違うそうで…


 エストラーダ様は帝国料理をこよなく愛しているものの、

 お立場上、トールトメラ料理を推奨せねばならず…


 普段の御食事も、当然、トールトメラ料理だと。


 ぶっちゃけ?

 

 長い葛藤の末、ようやく見つけたその打開策が、


 それがお忍びでの、帝国での屋台巡り…通称買い食いと、


 そしてここ。

 出店に際し、資金は全てご自身の資産から捻出し、

 ここの店主をスカウトし、実は店舗の場所も、無理矢理都合して提供したのだとか。


 料理に使う食材も、帝国からの輸入品が多く、

 こここそが?

 トールトメラで唯一の、エストラーダ様の、心の癒しスポット、なのだそうです。


 一応?

 ほんの一部の大臣クラスのみしか、

 この事実や、エストラーダ様がしょっちゅう入り浸っている事などは知らせて居ないそうです。


 その方が、逆に安心だからだそうです。


 この立地、実はお忍びでも安全に移動できるルート上にわざわざ設置したそうで…


 実に手の込んだ、王様の内緒…なのですね。


 このお店の名物こそ、帝国で王様が関わった焼きそば専門店の味付けだそうで、


 なので?ここの店主とうちの王様は、お互い面識があります。

 敢えてそれを周りに話したりしてない様で、

 店主も気を使って下さって居る様ですね。


 なので?うちの王様も、近くに来れば時々来られるそうです。


 そして当然なのでしょうが…やはり美味しいのですよ。


 特に王様は、焼きそばにはこだわりが強く、気に入らないお店には基本、決して行きませんからね。


 …あ?


 ふと気付けば私、おかわりまでしてしまいました…


 まあ…今更ですね、今更。


 だって、美味しいのがいけないのですよ、美味しーのが。


 そう、私は何も悪くない、悪くないのです。

 全て、仕方が無いのです。


 他にも、このあたりではかなり珍しい、ヘビの唐揚げも有りますね。


 ええ、美味しいですね…


 だって、エストラーダ様が勧めて下さったのですから、断るなど…



 そして、隠れた名物…ゼンザーイも頂きました。


 スープなのですが、甘くて、一応、デザートなのだそうです。


 中に小さなお餅も入ってました。


 不覚にも…

 こちらも、おかわりをせなばならなっかったのですよ…


 参りましたね。本当に困ってます。


 こんなに食べちゃう貴族の娘なんて…


 絶対にいい評判など…


 そう、悪いのは全て、美味しいこのお料理達なのですよ。



 でも、流石に…

 近頃、多少、ほんの多少…気にはなって…


 …ま、まあ、アレですよ。



 帰ったら…朝か夜に、ちょっぴり、近所を走ろうかなって…思ってます。



 着れる服が、まだあるうちになんとか…


 ええ、頑張ります。


 …せざるを得ない?

 いえいえ、違いますよ?

 それはただの…


 ほんの貴族の…嗜みなのですよ。


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