強敵育成?
元々ただのゲストのつもりだったが、壁スリの改良を考えるうちに、育ててみたく成りました。
手に負えなくなるのが解っているのですが、強くないライバルでは意味がない。
竹を取った後は、昨日と同じ様に竹で武器を作り、ブルーパンサーを倒す。
ブルーパンサーを首からぶら下げ、沢の水を探す事にする。
「ミシェルさん、何故山に入ろうと思ったんですか?」
何気無く問い掛けたのだが・・・
「解っているのよ、私がワガママなのは。敵であるあなた達が、シンシアちゃんの為に、一生懸命になってくれている。なのに、本人の私は何も出来ない…」
「ああ、それは気にする必要無いですよ。あっ!!」
生き物図鑑が反応した。
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¦ 金属ベルトのビットに代用出来る物
¦ 素材 ピンククラブの甲羅
¦ 棲息地 H 25m R 15度 の地点
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キタキタ・・・
「ぶっ!! ピンククラブだって?」
「どうしたの?」
「えーっと、これからサワガニ取りをします」
「はあ?」
〈フィーネさん、ディーネさん、バケツ一杯に桃色のサワガニが必要なんです。協力してもらえますか?〉
〈解ったー〉〈了解です〉
沢の石をめくり、出てきたサワガニを追いかける。
「あっ、あー、そっちに行ったー、もおー! 下手くそねえ。私に任せなさい!」
ミシェルさん、ノリノリですが・・・
「いやあ、沢山採れましたねぇ」
「このカニって、甲羅ばかりで殆んど身がないのよ」
「あー、やっぱりそうなんですね。多分、火で炙ると鉄の様に硬く成るハズです」
「! そっか。何かの部品ね」
「ええ、まだまだ先の話ですが、トランスミッションに使おうと思って」
「ミッションに? 作るの?」
「まだ設計中ですが… 多分、バケツに後、2杯程必要になると思います」
「ふーん、じゃあ残りは私が手配しましょうか?」
「えっ?!」
「そんなの人手をつかえば、手に入るわよ」
「それは・・・ ありがとうございます。じゃあ、早速帰ってダンパーを作りましょう。ダンパーを付ければ、車体が弾ま無く成りますよ」
「そうなんだ、楽しみね」
次の日の朝、シンシアの後席に座り、ミシェルさんにアドバイスを飛ばしていた。風切り音が激しく、運転席にまで声が届かないのではと、念話の準備をしておいた。
ミシェルさんには、ナットを薄く削り、イヤリングに加工して渡してある。左耳に付けてあげたら、何か妙な事を言っていたが、もう忘れてしまった。
〈どうですミシェルさん、前とかなり変わったでしょ?〉
〈ええ・・・ 運転し易いわ〉
〈まずは、壁スリ無しで基本的な、減速・旋回・加速を行い、ポイントによる違いを意識して下さいね〉
〈ん、解ったわ〉
今日はフィーネさんに、ピットで待機してもらっているが、ボクの視界から状況を確認出来る様で、念話を飛ばしてくる。
〈コーンを立ててあるから、それを目印にすると良い〉
〈はい、そうですね〉〈ミシェルさん、1つ目のコーンでブレーキを踏み、2つ目のコーンで減速を完了させて下さい〉
〈解った、やってみる〉
〈減速が完了したら、肘1つ入れる感じで、イン側の縁石を目指します。アクセルは3割位で〉
〈ん〉
〈縁石を踏んだら、ハンドル固定でアクセル7割程度… バランスが崩れたら、アクセルを緩めます。足を急に放したり、急ハンドルとかは、無しですよ〉
〈ん〉
〈徐々にアウトに膨らみますが、ハンドル固定のまま、アクセルでコントロールして下さい〉
コースを2周し、ピットへ帰ってきた。
「どうでした?」
「うん、タイヤが地面に着いている感じが、伝わってきたわ」
「でしょう? 今の感覚のまま、次は壁スリをしましょうか? ボクはリズで、後から追いかけますから。壁スリのポイントは、ノーブレーキで突っ込むんじゃ無くて、減速で方向を決め、膨らみ出した所で壁スリしましょう。当然、正面から当てるとロスになるので、15度の角度で当てましょう。また、S字やL字の様に大きなコーナーでは、結局ロスになるので、あえて壁スリしない方が速いと思いますよ」
「解ったわ、早く行きましょ。1周でも多くトレーニングして、あなたに追い付くからね」
「あはは…」
〈解ってんのかしら。すでにエンジンより速くなってるのに〉
ディーネさんの言う通りだ。
〈そうですよね。まあ、テクニカルコースだからと言うのも有るけれど、20HPが10HPにカモられたら、立つ瀬ないですね〉
〈昨日の10HPとは違うわよ、テクニックも〉
〈そうですね。何とか置き去りにされない様に頑張ります〉
〈ドリフトが良いなら、フィーネに代わるケド?〉
〈いえ、今日はディーネさんのアドバイスで走りたいです〉
〈あら、嬉しい〉
チビさんモードの時と違い、色っぽいな。
〈じゃあミシェルさん、行きましょう〉
2台揃ってピットレーンを行く。本線に入るとミシェルさんは、いきなり壁スリだ。キレイにコーナーをクリアしているし、立ち上がりの加速も申し分ない。
〈参ったなあ、弱点らしい所も無い。アドバンテージは馬力だけれど、車重が大きいのがハンデだな〉
S字から、第2ヘアピンへと突っ込んで行く。明らかに昨日とは違う… 速い。
〈よし、こっちも続くぞ!〉
1つの体に30の個性。しかも、分裂もあり。
30人も名前を考えられないし、全員違う個性にしたいが、30個も考えられるかなあ。