第一話
『おかえり』
『ただいま』
この村に帰ってくるのは22年ぶりだった。
〜・〜・〜・〜・〜
私が小学生時代を過ごした凪沢村は山間の集落で、近くに駅もなく、スーパーもない…本当に何もない村だった…。
生活必需品は週に1回トラックで販売に来る。
車で2時間半ほど走ればスーパーもあるけれど…
村人のほとんどはお年寄りなので、車でわざわざ買い物に行く人などいない。
そんな村にどうして私達家族が来たのかというと…父が小学校の教師をしていたからだ。
少し日常に疲れた父は、都会を離れ田舎暮らしすることに憧れた。
幸い凪沢村の学校はなり手がおらず、常に教師を募集していたので、父は迷うことなく、この村への転勤を決めた。
村の小学校は人数が少ないので、六学年で1つの教室を使用する。
そこで私は1つ年上の双子の兄弟、小鳥遊凪流と清凪と仲良くなった。
二人は親でも見間違えるほど同じ容姿をしているのに、中身は全く異なった。
行動的で誰にでも気兼ねなく話し掛ける兄の凪流に、いつも物静かに微笑んでいる弟の清凪。
みんなと外に出て走り回る遊びが好きな凪流に、少し病気がちなため教室にいることが多く、1人で本を読むのが好きな清凪。
全く違うけれど、二人とも優しい兄弟は、たった1人の新入生だった私の面倒をみてくれた。
校庭で遊ぼうと誘ってくれる凪流。
勉強でわからないところを教えてくれる清凪。
そうして二人に甘やかされ、ずっと二人と一緒にいた私は、他の女の子に嫉妬される存在だった…。
小鳥遊兄弟は二人ともとても整った美しい顔をしているし、性格もとても優しく魅力的だ。学校の女の子達はみんなこの兄弟に憧れていた。
誰にでも優しい彼らだけれど、特別扱いをするのは一学年下の私だけ…。
だから…二人のいないところでは…
『いいよね。先生の娘さんは特別扱いされて…』
『他所者のくせに…』
『ちょっと色が白いだけで…別に普通の子じゃない…』
なんて女の子には陰口をたたかれた。
それでも二人が仲良くしてくれるなら別にそんなこと気にならなかった。
お読みいただきありがとうございます。
七話完結の短いお話です。
私の作品の『紫陽花の下には』と話がリンクしております。




