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不老の魔女と名無しの旅人  作者: きりくま
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不老の魔女は貴方が嫌い


 「え・・・あ・・・あぇ・・・?」


 我ながらマヌケな声を出している。

 こんな声が出るのか。

 そんな下らない驚きと目の前の光景の驚きに瞬きを繰り返す。

 静寂が流れ、周囲のドワーフ達も困惑している。

 何か・・・何か話さなければ。と、必死に頭を働かせる。


 「あ・・・あの「よし、形式的な言葉遣いと話はここまでにしようか。早速これからの作戦についての話し合いを始めよう。小娘、戦えるドワーフと戦えない無いドワーフを分けて整列させてくれたまえ」


 ・・・は?

 先程までとは正反対の態度に再び瞬きを繰り返し、思わず尋ねる。


 「いや・・・あの・・・」

 「ん?なんだい?時間は有限だ。それに今はまたとない好機だよ?浪費するのはいただけない。さっさとしたまえ」

 「言葉遣い・・・先程と随分と違ってませんですの?」


 はぁ?と、呆気にとられつつ、彼女はすぐに鼻で笑う。


 「さっきも言っただろう?『形式的な言葉遣い』だと。私が君の事を大嫌いなのは紛れも無い事実だ。わざわざ無理に続ける必要もあるまいて。ほら、早くしたまえ」

 

 それだけを告げ、フロウは手を払う様な仕草をする。

 彼女の言葉の意味が分からずも、ドワーフ達に呼びかける。

 その背後―――ナナシはフロウに尋ねる。


 「おい・・・どういう状況・・・・というか、どんな風の吹き回しだ?全く意味が分からないんだけど?」

 「どうもこうも無いよ。黒ちゃんとの約束だからね。『彼女が復讐では無く誰かの為に戦えるようになったら力を貸して欲しい』・・・ってね。黒ちゃんが帰ってこなかったのは些か想定外だが・・・まぁ、致し方あるまい。色々と作戦を立てたけど・・・君が次々邪魔をする物だから困ったものだったよ」

 「それは・・・ごめん」

 「ちゃんと謝罪出来て偉いじゃないか。後でご褒美を上げよう」

 「それはいらない」


 連れないねぇ。と、彼女は肩をすくめる。


 「けど・・・『黒砂』は何でそんな事を?」

 「さて?考えられるのは・・・あの小娘を一人前にしたかったとかじゃないかな?誰かの上に立つ者は、時として頭を下げ、時として苦渋の決断をしなければならない。いつまでも守られる側にいる訳にはいかないからね。まぁ、あくまで私の推測だ。その辺は興味が無いからどうでもいいけどね。結果的にあの小娘は自分の意思で決断して、助けを求めた。そこまでされて断るほど・・・私も性格が悪くはない」

 

 いや・・・性格は・・・悪いだろ?

 

 「・・・パルシィとボンボルドンドは知ってたのか?」

 「ん?何だい急に?・・・ははぁ~ん。君、もしかして・・・拗ねてるのかい?自分だけ説明されてないと思って?くっふふ・・・まるでお子様じゃないか。可愛い所があるねぇ」

 「そんなんじゃ・・・無い!けど・・・」

 「いや・・・すまない、すまない。答えは半分当たりだね。ボンボルドンド君にはこれからの事もあるから話していたが、パルシィ君には話していない。彼女は勘がいいからね。私を信じてくれと言っておけば伝わると思ったが、見事的中だ。流石はパルシィ君と私。褒めてくれてもいいよ?」

 「・・・俺に話さなかったのは?」

 「それは・・・そうだろう?君はすぐに顔に出る。あくまで私が力を貸す最低条件は、小娘が自分の意思で私達に助けを求める事だ。君に話したら、小娘に話すに決まってるじゃないか?違うかい?」


 詰め寄る彼女に反論が出来ない。

 確かに・・・その通りだ。


 「まぁ、君の場合はそんな事は関係ないとは思うがね。直接言葉にせずとも・・・君の行動と思いは小娘を動かす一因になったのは明白。だからナナシ君、流石だと褒めておこう。君は本当にいい子だね」

 「そりゃ・・・どうも」

 

 まだ彼女には聞きたい事があったが、ティルティーラが現れる。


 「とりあえず・・・指示通りにしましたですの」

 「ん。そうかい。ご苦労様。それじゃあ、作戦を話すといこうか」


 フロウの言葉に続き、ボンボルドンドは盤を広げる。

 それには見覚えがあった。

 フロウとボンボルドンドが地下でずっと対局していた物。

 何で今広げるんだ?

 意味が分からず首をかしげるが、彼女は気にすることなく話し続ける。


 「先に言っておくが、小娘。君達の国を取り戻すと約束はしたが、物事には順序がある。状況と規模を考えるに、即座に取り戻す事は不可能に近い。段階を踏んでいく事だけは理解してくれ。・・・いいね?」

 「それは・・・はい。理解していますですの」

 「よろしい。なぁに、そんなに不安そうな顔をする事は無い。私は約束は必ず守る魔女だ。そうだろう?ナナシ君?」

 「え?う、うーん・・・そ、そうかもな」

 「あぁ、気にする事は無い。彼の悪い癖は好きな女の子に意地悪する所なんだ。つまり彼は私の事を好いているんだ。全く・・・この年になっても男の子に好かれるというのは悪い気はしないが「勝手に意味の分からん癖を付けるなよ!いいから要点だけ話せよ!」


 言い争う2人をドワーフ達は不安気に見つめる・・・が、次のフロウの言葉で目を見開く。


 「はいはい。それじゃあ、端的に言うよ。今から王国に奇襲を仕掛ける。戦える者は準備する様に。以上」

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