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枯れゆく世界と旅立つ少女  作者: 帆立
また会うその時まで
31/31

また会うその時まで:4-10

 それから月日が流れた。

 ミアが使命を果たしていなくなってから数十年後、エリオも寿命で彼女のもとへ行き……。

 それからさらに途方もない年月を経た。



 学校の教室。

 生徒たちは朝のホームルームがはじまるまでの時間を自由に過ごしている。

 友達とおしゃべりしたり、こっそり持ち込んだゲーム機で遊んだり、音楽プレイヤーで流行の歌を聞いたり。


 エリオは自分の席で文庫本を読んでいた。

 たいてい彼はいつもそうしている。

 クラスメイトとの仲は悪くないが、積極的には付き合わない。


「よう、エリオ。知ってるか?」


 友達の男子がエリオに声をかけてくる。


「なにがだ?」


 エリオは顔を上げて彼を見た。


「今日、転校生がこのクラスに来るんだって」

「知ってるさ。昨日、先生が言ってたろ」

「かわいい子だといいよな」


 にやにやする男子。

 エリオは心底つまらなそうにため息をつき、こう答える。


「別に。僕はどうでもいい」

「ったく、相変わらずつまんねーやつ」

「お前を面白がらせるつもりはないからな」

「はいはいっと」


 やれやれ、と男子は肩をすくめた。

 ホームルームを告げるチャイムがスピーカーから鳴り響く。

 教室に散らばっていた生徒たちが自分の席に座りだす。


 エリオとしゃべっていた男子も自分の席に戻っていった。

 県でも有数の進学校ということもあり、生徒は基本的に真面目だ。

 時間はしっかりと守る。


 教室が落ち着いてから間もなくして担任の教師がやってきた。

 起立し、礼をして、着席する。

 それから出欠をとる。全員出席だ。


「期末試験が終わったが、気を抜かないこと。来年はお前たちも受験生なんだからな」


 それから教師は「それと」と続ける。


「昨日も言ったが、今日からこのクラスに転校生がやってくる」


 静かだった教室が生徒たちのひそひそ声でざわめきだす。

 やはりみんな気になっていたのだ。


「入ってきなさい」


 教室の扉が開く。

 教室に入ってきた少女を見た瞬間、エリオは目を見開いた。

 心臓の鼓動が早まる。


 1000年以上も前の記憶がどっと押し寄せてくる。

 聖女の従者に選ばれた記憶。

 聖女と共に列車で旅をした記憶。


 そして、聖女との別れの記憶。

 その聖女と目の前にいる少女の姿がぴったりと一致した。

 彼女と交わした約束を思い出した。


「わたしは転校生のミア。よろしくねっ」


 いてもたってもいられない気持ちになる。

 思わずエリオは立ち上がってしまう。

 他の生徒たちや教師は、エリオの突然の行動にぽかんとしている。


 ミアと視線が合う。

 エリオは彼女の名前を呼ぶ。


「ミア」

「エリオ」


 ミアはとびきりの笑顔をエリオにおくった。


「やっと会えたねっ」




<了>

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