また会うその時まで:4-10
それから月日が流れた。
ミアが使命を果たしていなくなってから数十年後、エリオも寿命で彼女のもとへ行き……。
それからさらに途方もない年月を経た。
学校の教室。
生徒たちは朝のホームルームがはじまるまでの時間を自由に過ごしている。
友達とおしゃべりしたり、こっそり持ち込んだゲーム機で遊んだり、音楽プレイヤーで流行の歌を聞いたり。
エリオは自分の席で文庫本を読んでいた。
たいてい彼はいつもそうしている。
クラスメイトとの仲は悪くないが、積極的には付き合わない。
「よう、エリオ。知ってるか?」
友達の男子がエリオに声をかけてくる。
「なにがだ?」
エリオは顔を上げて彼を見た。
「今日、転校生がこのクラスに来るんだって」
「知ってるさ。昨日、先生が言ってたろ」
「かわいい子だといいよな」
にやにやする男子。
エリオは心底つまらなそうにため息をつき、こう答える。
「別に。僕はどうでもいい」
「ったく、相変わらずつまんねーやつ」
「お前を面白がらせるつもりはないからな」
「はいはいっと」
やれやれ、と男子は肩をすくめた。
ホームルームを告げるチャイムがスピーカーから鳴り響く。
教室に散らばっていた生徒たちが自分の席に座りだす。
エリオとしゃべっていた男子も自分の席に戻っていった。
県でも有数の進学校ということもあり、生徒は基本的に真面目だ。
時間はしっかりと守る。
教室が落ち着いてから間もなくして担任の教師がやってきた。
起立し、礼をして、着席する。
それから出欠をとる。全員出席だ。
「期末試験が終わったが、気を抜かないこと。来年はお前たちも受験生なんだからな」
それから教師は「それと」と続ける。
「昨日も言ったが、今日からこのクラスに転校生がやってくる」
静かだった教室が生徒たちのひそひそ声でざわめきだす。
やはりみんな気になっていたのだ。
「入ってきなさい」
教室の扉が開く。
教室に入ってきた少女を見た瞬間、エリオは目を見開いた。
心臓の鼓動が早まる。
1000年以上も前の記憶がどっと押し寄せてくる。
聖女の従者に選ばれた記憶。
聖女と共に列車で旅をした記憶。
そして、聖女との別れの記憶。
その聖女と目の前にいる少女の姿がぴったりと一致した。
彼女と交わした約束を思い出した。
「わたしは転校生のミア。よろしくねっ」
いてもたってもいられない気持ちになる。
思わずエリオは立ち上がってしまう。
他の生徒たちや教師は、エリオの突然の行動にぽかんとしている。
ミアと視線が合う。
エリオは彼女の名前を呼ぶ。
「ミア」
「エリオ」
ミアはとびきりの笑顔をエリオにおくった。
「やっと会えたねっ」
<了>




