何かが僕たちを追ってきた
インドネシアにいたころお母さんが言っていた通り、今日は日本に来て三日目だった。朝早く、外の空がまだ眠たそうな薄い青色をしているうちに、お父さん、お母さん、そして僕は、河口湖に向かって出発した。飛行機を予約するよりずっと前から、お母さんが何週間も前に手配していたガイドさんに会うためだった。
その時間帯の通りは静かだった。この二日間で慣れてしまった人混みに比べると、行き交う人の数はずっと少なかった。待ち合わせ場所でガイドさんを見つけてすぐ、車に乗り込んで、エニコリゾート&グランピング富士山へ向かった。街並みは少しずつ、広い道路と開けた空へと変わっていった。
お父さんはガイドさんの隣、助手席に座って、僕は後部座席の左側、お母さんは僕の右側に座った。車が走り出したその瞬間から、お父さんとガイドさんは話し続けていて、その会話は自然に流れていて、エンジンの一定した音の合間に、時々笑い声が混じった。何を話しているのかはよくわからなかったけど、それが日本語じゃなくて英語だということはわかった。
この数日、日本にいる間に、僕は自分自身について面白いことに気づき始めていた。今では、英語と日本語の違いを実際に聞き分けられるようになっていた。三日前までは、こんなこと絶対に無理だと思っていたのに。最初に着いたばかりのころは、外国語という外国語がすべて耳の中で混ざり合って、どれも同じような、形のないただの音でしかなかった。
でも駅やレストラン、ホテル、観光地でじっくり耳を澄ませているうちに、ここにいるほとんどの人が日本語を話しているんだと、少しずつわかってきた。意味はまだわからなくても、そのリズムや抑揚には、だんだん聞き覚えが出てきた。一方でお父さんは、観光客や日本語が話せない人と話すとき、今日のガイドさんも含めて、いつも英語に切り替えていて、二つの言語を行き来するたびに、声のトーンが少しだけ変わった。
僕自身はというと、学校の授業や、家で友達とやっているゲームで覚えた、断片的な英語しかわからなかった。お父さんとガイドさんが早口で話すたびに、言葉はそのまま僕の横をすり抜けていって、会話の真ん中でぽつんと取り残されて、ところどころの切れ端だけを拾うのが精一杯だった。
お父さんの口の動きを、意味もわからないままぼんやり眺めていたとき、お母さんが急に僕の腕をつついた。
「ギラン」
「ん?」
「左を見てごらん」
すぐに窓の方へ体を向けると、目が一瞬で大きく見開かれた。遠くに、富士山がどっしりとそびえていて、その頂上は白い雪に覆われていて、地平線に差し込む朝の光を受けて、きらきらと輝いていた。考えるより先に、冷たいガラスに顔を押しつけていた。息が窓に薄く曇って、それからまた透き通っていった。
「うわあ……」
頂上まで丸ごと雪に覆われた山を、実際に見るのは初めてだった。今まで写真でしか見たことがなかった。まばたきするのさえ怖くなるくらい、じっと見つめ続けた。一瞬でも目を離したら、消えてしまう気がしたから。車が進むにつれて、富士山は地平線の上でどんどん大きくなっていって、その存在が、目の前の空をどんどん飲み込んでいくみたいだった。ただ見つめること以外、何も考えられなかった。ガラスの向こうに広がる景色に、完全に心を奪われていた。
数分後、まだその景色に見とれていたとき、視界の端で急に何かが目を引いた。最初は、通り過ぎていく木の影だと思った。枝の間から差し込む光がちらついているだけだと。でもその影は、自分の意志で動いていた。速く。この速さで走っている車と並んで動けるはずのない速さで。
車は前へ前へと走り続けていたのに、あの何かの形は、まったく苦労せずについてきていた。距離なんて、そいつには関係ないみたいだった。ある瞬間には木の幹の間でちらついていて、次の瞬間には、僕たちよりずっと先に飛び出して、道のカーブの向こうに消えていた。それから完全に見えなくなって、流れる景色の中に飲み込まれた。
強く目をこすった。閉じたまぶたに、両方の手のひらを一瞬押し当てた。
今のは、僕の見間違いだったのかな。
これ以上考える前に、あの影がまた現れた。今度は、さっきよりずっとはっきりと見えた。もう枝に隠れることも、速さでぼやけることもなかった。今は、僕たちの車とちょうど同じ高さで動いていて、わざとらしいくらい正確に速さを合わせてきていて、胃のあたりがぎゅっとねじれるような感覚があった。
「お母さん……?」
そちらを向いた。何か反応があるはずだと思って。あれを一緒に見てくれた証拠があるはずだと思って。でもお母さんは、自分の窓の外をただ見つめ続けていて、その表情はまったく落ち着いていて、僕がさっき見たものには、少しも触れられていないみたいだった。
「お母さん……」
そっと腕を揺すって、反応を待った。指先が、袖の生地に触れながら、かすかに震えていた。
何も起きなかった。
「お母さん?」
さっきより少し強く肩を揺すった。パニックが、じわじわと胸の中に忍び込んできた。
それでも、まったく反応がなかった。まるで隣で石になってしまったみたいに。
心臓がどんどん速く打ち始めた。一拍ごとに、前より大きく、強く響いた。
「お母さん!」
さっきより大きな声で呼んだ。恐怖で、声が少しかすれた。でもお母さんは完全に動かないままで、まるで僕の声がまったく聞こえていないみたいだった。目は外の景色に固定されたまま、ガラスのずっと向こうのどこかで、凍りついているみたいだった。
頭の中がパニックで真っ白になった。体をねじって前に手を伸ばし、後ろからお父さんの肩を叩いた。小さな手が、急いでジャケットに押し当てられた。
「お父さん!」
お父さんはガイドさんと話し続けていて、僕のことにはまったく気づいていないみたいだった。声も途切れなかった。
「お父さん!」
さっきより強く、もう一度肩を叩いた。どんな反応でもいいから欲しかった。それでもお父さんは振り向かなかった。座席から見える限り、お父さんの口は言葉を形にしながら動き続けていて、まるでガイドさんとの会話が、一瞬たりとも途切れていないみたいだった。
代わりにガイドさんの方を見た。バックミラー越しに、何かおかしいと気づいてくれるかもしれないと期待して。でもガイドさんは完全に運転に集中していて、時々日本語でお父さんに返事をしながら、注意を曲がりくねった道と会話の両方に均等に分けていた。
誰かに助けを求めたくて仕方なかった。自分が今見ているものを、誰かにわかってもらいたかった。でも日本語で何て言えばいいのか、まったくわからなかった。使える言葉なんて一つも知らなかった。今起きていることを説明できるような、この胸を締めつける恐怖を誰かに伝えられるような言葉は、何一つ持っていなかった。
また窓の方に向き直った。石みたいに重いものが、胃の中にずしんと沈み込んでいった。
あの影は……
まだ、僕たちの車を追いかけていた。




