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灰色王子のバラ色観察日記  作者: こさか りね


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23

私とヴィンセルは王宮へと戻り、証拠の品を提出した。


私は、紛い物の魔石が作られている現場を見たので、その事も一緒に伝えたのだ。


それから私達は別れ、隊服の申請をしてからローレンス様の部屋へと帰ったのである。


ノックをしようとした、その時。

扉が開き、ローレンス様が現れた。


すると、いきなり抱き締められたのだ。


突然の事に、身動き一つ出来なかった。

されるがままになっていると、ローレンス様の後ろから凄い音がした。


それで我に返った私は、離すように伝えたのである。


と思ったら『おかえり』と愛妻に対して言うような優しい声と顔で言われたのだ。


まさかの先制パンチを食らってしまった。


そうして呆けていると、また凄い音がしたのと共に、レノンさんの声が聞こえた。


・・・え?

レノンさん、居たの?

・・・え!!?

この状況は気まず過ぎる!


私はローレンス様に再度離すように伝えた。

すると『嫌ではないのだろう?』と言う。


・・・確かに言った。

けど、時と場所を考えないのはどうかと思う。


だから、私は苦言を呈したのだ。


なのに・・・。


「では今は二人きりだし、存分に抱き締めても良いのだろう?」


と言い放ったのだ。


そして、気付いた。

私の言葉は、ローレンス様の言う通りだった事に。

だから、慌てて訂正したのである。


そう伝えると、やっと離れてくれたのだった。

けど、私の耳の怪我に気付いたようで問い詰められた。


それに対し、一つを話せば、全てを話さなくてはならないような気がしたので、簡潔に伝える事にした。


すると、思っても見ないことを言われたのだ。

私は、ローレンス様が人の気持ちに疎い事を知っている。

だからこそ、私の小さな変化に気付いた事が、どれほどにすごい事なのかが分かった。


本当に、私の事をよく見てくれているのだろう。


私は居た堪れなくなり、なんでもない事のように答えたのだった。


それから部屋へと帰り、深呼吸をする。


今回の任務では色々な事があった。


今度、師匠に女だとバレた事を伝えなくてはならない。

ヴィンセルは『安心して』とは言っていたが、師匠に黙っている事は出来ないだろう。


「・・・はぁ」


女だとバレないかって相談したばかりなのに、あっさりとバレてしまったのだ。


きっと、メチャメチャに怒られる。

・・・クビになったら、どうしよう・・・。


・・・取り敢えず、今クヨクヨしても仕方ない。

クビと言われたら、師匠に泣き付いてでも、なんとかしてもらおう。


そう思う事にして、気持ちを無理やり切り替えたのであった。


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