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全ての研修が終わり、今日は配属先が決まる日だ。
ビルとゲイル、アルトと私の4人は一緒に訓練場へ向かう道すがら、私は話しかけたのだった。
「そう言えば、ビルはどこか希望はあるの?」
すると、頭を掻きながら考えているビルが、暫くしてから口を開いたのである。
「あー。特にないな。
どこへ配属されても、それなりにやっていけるからな」
なんと、ビルはオールラウンダーのようだ。
「ボクは絶対、騎馬隊がいいな」
と珍しく、アルトが口を挟んできた。
すると、ビルが再度口を開く。
「まぁ、なれればいいけどな。
これば っかりは分からないから、あまり期待しない方がいいぞ。
それと、特殊部隊って知ってるか?」
特殊部隊、とは?
初めて聞く言葉に問いかけようとした矢先に、ゲイルが話し始めた。
「聞いた事があるよ。
確か、どこの部にも適性がない人が行く所で、王宮警護が主な任務内容って話だったね」
・・・え?なにそれ?
って思っていたら、ビルが答えてくれた。
「それでな、毎年1人、選ばれるんだ。
要するに、1番使えない奴が行く所だって話さ。
ぜってぇ、選ばれたくないよな」
そんな部が存在している事さえ、全然知らなかった。
特殊部隊とは、落ちこぼれが行く所という認識らしい。
でも、弓も騎馬もちゃんと出来たと思う。
だから、私は大丈夫だろう。
そう思うと同時に訓練場へと着いたのだった。
そして早速、試験官から配属先の発表が始まる。
まず初めに名を呼ばれたのはゲイルだった。
ゲイルは重騎士への配属が決まったのだ。
そして、次はアルトで、弓騎士に配属となった。
本人は不満そうにしていたが、決定を覆す事は出来ないので、渋々、配属先へと向かって行ったのである。
私は、まだかとドキドキしながら待っていると、ビルが呼ばれたのだ。
ビルは騎馬隊への配属が決まり、私に『また、後でな!』と声をかけて行ってしまった。
みんな、どんどん配属先が決まっていき、周りを見回すと、あと5人しか残っていなかった。
・・・ま、まさか。
そんな事ないよね・・・。
私はゴクリと唾を飲み込んだ。
背筋に冷たいものが走る。
いつの間にか、期待ではなく、怖いドキドキへと変化しているのであった。
それから、1人、2人、3人と配属先を発表されて、訓練場には、私ともう1人だけとなった。
・・・もう、ダメかもしれない。
そう思う私に、試験官は無情にも言い放ったのである。
「ヴィンセル・マクガディとアレン・シルバリーは特殊部隊へと任命する」
その言葉に、私の意識は遠のいた。
・・・え?
配属されるのは1人じゃないの?
なんて、どうでも良い事が頭を過るほどに、現実逃避をしたかったのだろう。
そして、その後の話は、全くと言っていいほど、耳に入ってこなかったのは、言うまでもない。




