7.一緒に行かないか【4】
荷物を解き終わったヴォルは、唖然とする私を不思議そうに見ています。まぁ、本当に今更な問題なのですけど。だいたい、釣り合わないのは身長だけじゃありません。見た目も中身も、何もかも私はヴォルの足下にも及びませんから。あ、悲しくなってきました。
「メル。」
ソッと頬を触られました。その感触に漸く私は我に返ります。いけないです、またもや自分の世界に入ってしまいました。
「あ、すみません。荷物、持ちます。」
「問題ない。扉を開けてくれ。」
「は、はい。」
私が持とうとした荷物も、ヴォルが一人で全て持ってくれます。手持ちぶさたで両手を見ていたら、ヴォルに訴えられました。そうですよね、両手が塞がっていますもの。私は慌てて宿屋の扉を開けます。本当、気も利かなくてすみません。
ヴォルは当たり前のように一つだけ部屋をとりました。私も今更何も言いませんよ。町に泊まる回数より、野宿している回数の方が断然多いのですから。勿論寝具は当たり前に一つ、私はヴォルの抱き枕。えぇ、それくらいにしかなりませんから。
宿屋の御主人も、私達の婚約の腕輪を見て分かるのでしょう。一度も突っ込まれた事はありませんよ、不思議な事に。こんなにもお似合いじゃないのに、ヴォルと私を見て何とも思わないのですかね。
「船を手配してくる。」
「あ、分かりました。留守番してます。」
即答した私に、ヴォルの瞳が少しだけ揺れます。ん?私、何かおかしな事を言いましたか?
「…一緒に行かないか。」
はい?私は思い切り首を傾げました。ヴォルはこういう時、大抵一人で行動します。はい、今までずっと。だからこそ、私は今回も留守番だと思ったのですが…。
「嫌か。」
「や、嫌だなんてっ。…あの…、本当に一緒に行っても良いのですか?」
邪魔になったり、迷惑になったりしないですか?もしくは、一人になりたくなったり…しません?
「問題ない。」
ヴォルはいつものように答えます。こういう時のヴォルって、何を考えているのか分かりません。でも真っ直ぐ向けられる瞳に冷たさはなく、私は戸惑いながらも頷きます。
「い、行きますっ。」
いつも町に来た時はお留守番なので、私は少しだけ町に泊まる事が嫌になっていました。…言えませんが。だってそんなの、我が儘ですから。
でも今回は、ヴォルから誘ってくれました。嬉しいです。大きな船がたくさんたくさんいて、これはやっぱり近くで見てみたいと思っていたのです。




