3.守り刀として【4】
私、また後ろ暗くなっていますね。ヴォルとセントラルに行く。それ以外に何があるのでしょうか。
あ、でもヴォルの女性への苦手意識には興味あるかもです。彼のセントラルでの素性は全く知らないですが、あの強さで一般人ってのはないと思います。
「何だ、これは。」
「っ!?」
心臓が一瞬止まりましたね。椅子からもお尻、少し浮いたのではないでしょうか。本当にこの人、私をショック死させたいのです?
「ヴォル、急に声を掛けないで下さいっ。心臓が止まりましたよ、本当にっ。」
「そうなのか。」
勢い良く振り返り、鋭い視線でヴォルを見上げます。急に女の子の後ろから声を掛けるって、有り得ないですよ!犯罪ですよ?!
「そうなのですっ。」
「そうか。すまない。」
ここで素直に謝るヴォルって、本当に憎めない人です。ただ単に、我が道をひたすら行くだけの人かもですけど。
「ところでこれは何だ。」
ヴォルが指し示したのは、私が今まで書いていたもので。あ…、これは良くないです。何て言っても、“ヴォル”とか“女性”とか“素性”とかが丸で囲ってありますから。
「あ…、これは…ですね。」
私は答えに迷いました。でもその時、先程の素直に謝ったヴォルが脳裏に浮かびます。
「申し訳ありません。ヴォルの女性への苦手意識に…、興味あると思ったのです。」
「俺の。」
「はい。ですが、私が勝手に踏み込んで良い内容ではないですね。勝手な詮索、申し訳ありません。」
嘘を言いたくありませんでした。その場を取り繕う嘘など、すぐに明るみに出ます。自分を守るためだけの嘘に、良い事などは一つもないと思うのです。
「…そうか。」
「すみませんでした。」
再び頭を深く下げます。ヴォルは初め、自分に構うなと仰っていました。これは下手な詮索はしないようにと言う事だったのですよね。
「分かった。」
ヴォルはそれだけ答えると、自分の荷物を探り始めました。何をしているのでしょう。と言うか、帰ってくるのが早くありませんか?用事、終わったのですかね。外を見ると、陽射しが強くなっているのが分かります。お昼頃でしょうか。
「メル。」
そんな事を考えていたら、いつの間にかヴォルが私の事を呼んでいました。私はいつもぼんやりしている訳じゃないですよ…、多分。




