≪Ⅶ≫心配だ【1】
≪Ⅶ≫心配だ
「あの…、お仕事は終わったのですか?」
「まだだ。」
「…ここに来た理由って、お仕事に関係してたりします?」
「……。」
そうですか、無言ですね。つまりは、守秘義務的な何かですか。まぁ、私に言ったところで解決なんかしませんけど。少し寂しく感じるのは何故でしょう。
それから何となく無言で食事をします。私が話さないから、ヴォルも話しません。二人で黙々と食事を続けていました。
ガチャン。店の奥で何かが割れるような音がしました。厨房でビンか何かを落としたのでしょうか。ちなみに私は良く落として怒られていました。
何やら奥が騒がしいです。お店側にいた方も、何人か奥に入って行きました。ヴォルが立ち上がります。何でしょう。ピリピリとした空気を纏っていますね。
「ここにいろ。」
「あ、はい。」
突如の命令にも、私はyesを返せるようになってきました。ヴォルに言われたら、自分の考えは不要なのです。犬のように、忠実に待てをします。
ヴォルはそのままお店の奥に入って行きました。そう言えば冒険者の方って、帯剣したまま何処へでも行きますね。いっそのこと危険なので、町では帯剣禁止とかにした方が良い気がしますが。
とりあえず私は食事を続けます。ぶどう酒も美味しいですね。呑んでいるとフワフワと気分が良くなってきました。あぁ、これが俗に言う酔っ払った状態ですね?でもこれって、気持ち良いですね~。
「おねえさん、ひとり?」
「ふえ?」
誰か知らないですが、私に声を掛けてきました。ん~、男の子です。座った状態で私と同じくらいの背丈なので、迷子でしょうか。
「お姉さんは一人じゃないですよぉ?あ~、今はお留守番してますがぁ。僕は迷子君ですか~?」
気分が良いのでニコヤカに対応します。知らない人は怖いですが、子供は大丈夫ですから。
「うん、おかあさんをさがしてるの。いっしょにさがしてくれない?」
「あ~、それは大変ですねぇ。分かりましたぁ。お姉さん、一緒に捜してあげますぅ。」
もう私の頭の中には、ヴォルの「待て」はなくなっていました。少年につれられて素直にお店を出ていきます。何故すぐにお店の外なのか、全く考える事もなかったです。




