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あけましておめでとうございます!
今年もよろしくおねがいします!
「あの、時代って、、、」
「はよ名乗らんかい。失礼とは思わんのか?」
「さっき名乗りましたよオミクロンです!」
「ほうか、名乗っておったか」
「で、名前は何だって?」
「オミクロンです! オミでも良いですよ!」
「そんな怒鳴らんでも聞こえとるわい」
ああ、なんか凄く疲れる。
「で、時代は?」
「西暦何年じゃ」
あ、西暦が分かるのか。
俺は答えた。
「ふーむ、二千年代初頭か。久しぶりのミッシングリンクじゃの」
「オミクロン貴様はレアじゃな」
ええっと、、、レア?
「おいオミクロン。この世界がお主の生きた世界と地続きの未来だと気づいておったか?」
ああ、一年の日数とか一日の時間とか月とか星とかが同じなので地球だなとは思ってたな。
「はい、あ、いえ。同じ天体だとは思いましたが、未来ですか」
「うむ。我々の祖先が作った方舟、お主らの言うドームは数百年の歴史があるというが、そこからお主の時代にどれほどの開きがあるか分からんがの」
何で分かんないんだよ。
「我々の祖先が作ったテクノロジーはそりゃ進んでおったようでの」
「はあ」
「我々の誰も、直し方も技術の転用の仕方も分からなくなってしまったんじゃ」
そう聞いて、つい笑ってしまったが笑い事じゃないか。
俺だってスマホやパソコンどころかラジオだって仕組みが分からない。
そもそも電気が作れない。
直流ならまだしも、交流電源てどうなってんの?
「方舟には色々と知識や情報を蓄積してあったようなのじゃが、長年研究してもその知識の解読ができんかった」
「ワシらに解読することができたのは紙の本だけじゃ。その本も大体お主の生きた時代くらいで途切れておる」
まさか、電子書籍のせいか?
「そもそも、それ以前の本もそんな都合よく役立つ訳でもない」
そりゃそうだ。
実用書とかいっても自己啓発本じゃテクノロジーの穴は埋められない。
ラノベやファンタジーに至っては嘘しか書いてないもんな。
SFなんかは逆に混乱しそうだ。
「そんな訳で、お主の時代の人間を転生させるのが流行った時代もあったらしいのじゃがの」
「結果は想像つくじゃろ?」
まあね。
とかく前世の技術は細分化が進んでいる。
何かのエキスパートを召喚できたとしても役に立つとは思えない。
それよりも何故未来はこんな世界になってしまったのかが気になる。
「あの、過去の世界でどんな事が起きてこんな事になったのかとか教えてくださいませんか?」
老人ふたりもマグに酒を注いで飲みはじめた。
「伝え聞いた話じゃがな? この惑星の地殻がめちゃくちゃになって陸の多くが海に沈み、気候も予測が付かないようになったので方舟を作り、逃げ込んだということらしい」
マジか。
そんな事になったのか。
「地殻ってプレートテクトニクスの事ですよね。何でそんな事に?」
「ワシらにもよく分からん。地熱を使い過ぎた報いだとかいう記述が残っていたそうだが、それが本当か嘘かもワシらには判断がつかん」
そうか、そうだよな。
「あなた方エルフは?」
「方舟の管理を任された知識階級の末裔らしい。知識が途絶えぬよう長い寿命が与えられたのだとか」
「昔のエルフは五百年は軽く生きたらしいぞ。今では百年程度じゃ」
ええっと、てことは、、、
「あの、ひょっとしてエルフは元は人間なんですか?」
「そうじゃ、遺伝子組換えじゃの」
そんな人間を大豆かトウモロコシみたいに言わないで欲しい。
「無加工の人間と区別が付くように耳が長くなっておる」
「あ、混血とかしないようにですか?」
「混血はするわい。薄まったから寿命が短くなったんじゃ」
なるほどねえ。
「ひょっとしてドワーフも?」
「我々とは別の流れじゃな。方舟を作って環境を作り出すのではなく、自らを環境に適応させる手段をとった者どもの子孫よ」
「高地の地下に潜れば気候の影響は受けにくいからの」
「ドワーフはその特性を薄めぬ為に生まれてくる子供は全てドワーフになるよう設計されておる」
マジか。
異世界ものだと思ってたんだけど、どっちかっていうとバイオSFだったのか。
「じゃあ獣族も?」
「そうじゃ。文明が崩壊することを見越して氷河期に身体を適応させたグループじゃの」
「じゃあサナ人も?」
「いや、あれはどこか温暖な地域で普通に生き延びたオリジナルの人間じゃろうな」
「世界をくまなく探せばもっと生き残った人類、あるいは形を変えた人類の末裔がいるはずじゃな」
へー。
「じゃあ、魔獣や魔物は? なんか王都でも黒狼とかゴーレムとか見たんですけど」
「あれらはロボットじゃな」
「ロボット?」
「有機機械とでもいうのかの、もしくは人工動物じゃな」
うわあ、最先端ー!
バイオロボットですって!
、、、うーん、やれやれ。
新たな情報が過多でなんだか感覚が麻痺してきたぞ。
「黒狼なんかは、ゆうてみればセキュリティシステムじゃな」
「主人を失ってなお命令を守り続けておる健気な連中じゃ」
そっかー、、、
今、聞いた話は確かにショックだった。
でもだからといってまあ、少し考えてみれば俺にはあまり関係のない話と分かる。
俺の生活の何かが変わるわけでもないし。
気を取り直すように咳払いなどしつつ、エルフのご老人ふたりに質問をする。
「それで、皆さんは今後この世界をどうするおつもりなんです?」
「どうもこうも、世界はやり直し中じゃ」
「幸い、地殻は安定したようじゃしワシらエルフは人間と距離を置いていく」
「老兵は死なず、ただ去るのみじゃよ」
「そう、方舟を去ったのは我らにとって良かったな」
「そうじゃ、やはり過去にばかり囚われておっては良くない。未来志向じゃ!」
「われらエルフの未来に乾杯!」
「乾杯!」
ぐいと盃を空けてふたりは口をへの字に曲げた。
「甘い!」
そうだね。
甘くない酒が欲しいよね。
誤字報告ありがとうございます!
感想もありがたく拝読させていただいております!




