表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/74

第3話 『女王のお仕置き』

「んん……ボルド。うまくなったな」


 ブリジットは一糸いっしまとわぬ姿でベッドにうつせになったまま、気持ち良さそうに吐息といきまじりの声をらした。

 ボルドはそんな彼女の腰を両手の親指で指圧していく。


 いつものように寝室で2人きりで過ごす夜の時間。

 今夜ボルドはブリジットの要望で、彼女の体をマッサージしていた。

 ブリジットとの生活に慣れるにつれ、ボルドは彼女から求められる事柄ことがらが増えてきた。

 最初は夜伽よとぎの相手を務めるだけだったが、今ではふだ遊びや盤上遊戯(ゆうぎ)の相手の他、こうしてマッサージ役なども務めている。


 元々マッサージは小姓こしょうの仕事であったが、ブリジットはボルドにやってほしいと言うようになった。

 そこでボルドは試しにやってみたのだが、自分よりも背丈が大きく筋肉でたくましい彼女の体をみほぐすのは容易なことではなかった。

 最初はちっともうまく出来ずにブリジットに苦笑されるばかりだったボルドは、これではいけないと一念発起いちねんほっきし、小姓こしょうらからマッサージの手ほどきを受けたのだ。

 ボルドはその生真面目きまじめさと理解力の高さで、学んだことをすぐに吸収した。


 彼はたちまちのうちにコツをつかみ、彼女の体をみほぐすために握力をきたえるなどの訓練も欠かさなかった。

 そのため今では上達し、随分ずいぶんとブリジットに喜ばれるようになっていた。

 だがこうして美しい素肌をさらすブリジットを前にすると、ボルドには悩ましいことがあったのだ。

 きたえ上げられ筋肉のついたブリジットの肉体は、その一方できめ細やかな白肌と腰のくびれやしりの張り、そして豊かな胸のふくらみなど、女性の曲線美に満ちあふれている。


 もう幾度いくどとなくブリジットと愛の交わりを繰り返してきたボルドだが、今でもこうして彼女の美しい裸体を前にし、なおかつその手で彼女の肌に触れていると、ついつい男としての欲望が首をもたげてくる。


(だめだ。集中しないと。ブリジットをやすことに集中するんだ)


 ボルドは彼女の疲れを取るべくマッサージに集中するが、こういう時にブリジットは肌に触れるボルドの指の動きから、彼の気持ちを読み取ってしまうのだ。

 彼女はムクリと身を起こすと、じっとボルドの目を見つめる。

 それから彼女の視線はボルドの腹の下へと落ちていき、その目が細められた。


「ボルド……何でそうなっている? マッサージの最中だというのに」


 そう言って妖艶ようえんな笑みを浮かべると、ブリジットはボルドに迫り、そのくちびるを奪う。


「んむっ……」

「ぷはっ……」


 そして長い長い接吻キスの後、ブリジットはボルドのそれに手を伸ばした。


「あっ……」


 思わず腰を引きそうになるボルドを見て、ブリジットはその目に少しばかり意地悪な光を宿し、つややかなくちびるをゆっくりと開く。


「仕方のない奴だな。お仕置きだ。容赦ようしゃしないからな」

「ブ、ブリジット。そのような……ああっ!」


 この夜はブリジットに激しく攻められ、ボルドは成すすべなく愛と快感の沼の中で身を震わせるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ