表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/41

No.07

大変お待たせしました!

残ったのはドレスの採寸をするという侍女二人と、選んだドレスを持った侍女一人。

では早速、とばかりに三人が近づくがジェイドが手でそれを制した。


「少し待て。……おい、大丈夫か」


ジェイドを見ると眉間に皺を寄せたまま私を見ていた。

ジェイドの静かな漆黒を見つめて嫌な音を立てようとした心を鎮めるようと、裾を握っていない方の手を胸元で握りしめる。ジェイドに目を合わせると私を観察するかのような目と合う。

その目を見つめたままコクリと頷く。

それを見届けるとジェイドは止めたままの侍女の方を向き呼び寄せた。

三人の侍女はゆっくりと近づくと私の手を取ろうとする。

しかし、私はジェイドの裾を握っていた手を離さずもう片方の手は胸の前でギュウッと握ったまま微動だにしなかった。


「大丈夫よ?何も怖いことなど無いわ」


「そうよ。この可愛らしいお洋服に着替えるだけですからね」


大丈夫、大丈夫と声をかけ私を動かそうとするが私は動くことが出来なかった。

それを見かねたジェイドが裾を握っていた手を剥がしこちらを見る。


「私はここにいる。何かあることは無い。だから、着替えてこい。……大丈夫だ、行ってこい」


そう言って私の手をそっと離す。

目が少し潤むが奥歯を噛み締めて、離された手で目元を拭った。


「っ」


コクリと頷く。

それを見た侍女達はホッとしたような顔をする。ではこちらへと隣の部屋へと促す。

チラリとジェイドを見ると、コクリと頷いてくれた。それを見てそのまま侍女の後に続いて歩く。


∞∞∞∞


ガチャリと前を歩く侍女が隣の部屋に繋がる扉を開く。

胸元を握りしめる両手に力を入れて扉をくぐる。最初に入った侍女が扉の脇に控えており私が入った後に扉を閉めた。

その音にビクリと肩が窄むが、他の二人に案内されるまま部屋の中央に進む。

侍女が二人は何か細長いものを首にかけ、待機する。もう一人が扉を閉め、台を持って中央に来る。

ビクリと身をすくませ少し下がる。

ニコリとした侍女はゆっくりと台を床に置き後ろへと下がる。


「ではお嬢様、台にお乗りください」


そう言ってニッコリと微笑んだのは細長いものを首から下げた侍女の片方だ。

台を片手で示される。コクリと頷いて私は台の上に自分の体を乗せた。

乗せたと同時に侍女のひとりが私に手を伸ばす。その手にビクリと身をすくませる。

しかし襲い来る何かの予感とは裏腹にそっと私の服に触れた手は、怖がらせない為かゆっくりと動く。


「お嬢様、これから触れてお洋服を脱がせますね?」


恐る恐る侍女に目を合わせると、私の目の高さに合わせるように膝を屈ませてニッコリと微笑む侍女と目が合わさった。しかし、また体がビクリとして視線を下に移す。

しかし、そんな私に異常に反応することなく侍女は服の裾に手をかけ、たくし上げるように持ち上げる。

腕まで到達するが私が手を胸の前で組んでいるせいで脱がすことができない。

 侍女は困った声で私に話しかける。


「お嬢様、少しお手を持ち上げてもらってもよろしいでしょうか?」


そろりとまた目を侍女と合わせる。少し困ったように眉尻を下げる侍女と目が合った。

 困っているだろうに、急かすようなことを侍女はしようとはしないようだ。あそこに居るときは、ゆっくり動こうならすぐに“痛い”思いをしていたのに……。

この人は何もしないように見える。

ふと、目の前にいる侍女の目を覗き込む。

屈み込んでいる侍女は、いきなり目を合わせて自分を見つめる私に戸惑ったように身じろぎをするが私の目をそらすことなく見つめ返してくる。

 じっくりと侍女を見つめる。

やはり、魔力は無い。……なのになぜ?

エディーは言っていた。同族以外は信用しちゃダメだと。

でも、じゃあこのヒトたちは私に痛い事しないけど、同族じゃないよ?

エディー……。


∞∞∞


なんとか着替えを終わらせ、部屋の外に出るとジェイドが座って本を読んでいた。私が出てきてジェイドの目線がこちらに移った。選んだドレスに、腰の中程まで伸びている、梳いただけの髪が揺れる。

 私が髪を結ぶ時に、身が竦んだのを見て侍女たちが梳くだけに止めておいてくれたのだ。


「終わったか」


そう言うと、広げていた本を仕舞い目の前のテーブルに置くとスッと立ち上がった。

そこに私は勢いよく駆け込んだ。

ガシリとジェイドの足にしがみつくと眉をしかめながらも、しがみ付かせてくれる。その事にゆるりと頰が緩んだ。


「終わったなら、次は私だ。来るか?」


 そう問うジェイドに、私は抱き着いた腕に力を込める事で答える。ジェイドはちゃんと意味を汲み取ったのか、言葉は発する事なく私に腕を伸ばして左腕に乗せるように抱え上げた。

そして私の着替えが終わり、先ほどの扉の前で待っていた侍女たちに顔を向ける。


「ご苦労。王妃に礼を言っておいてくれ」


「かしこまりました」


 そう言って侍女たちは頭を下げる。そしてジェイドが部屋から出るとわかり部屋のドアを開ける。ジェイドはそのままドアを出ると何処かへと向かって歩き出した。


***


 しばらくジェイドにしがみついていると、どこかの部屋の前につく。ジェイドは扉の両脇に立つ男二人に「ご苦労」と声をかけ部屋の中へと足を踏み入れた。

 中に入るとテーブルと大人四人が悠々と座れるようなソファが置いてある。大きな窓からは昼間の少しだけ眩しい日差しがゆったりと部屋に入り込んでいる。

 そんな光景をぼーっと眺めていると死角から深い緑色と黒い塊が目をよぎった。びくりとしてジェイドに体を寄せて、視線を向けると一人の初老のヒトがいた。全体的に黒い服を身に纏い、深い真緑の髪を短く切ってある。それを後ろへと撫で付けて整えていた。

 その初老にジェイドが驚いた様子もなく、声をかける。


「ソルフロッド、着替えの用意を」


「はい、かしこまりました」


 しずしずと頭を下げて、ソルフロッドと言われた初老の人物は、隣の部屋へと繋がっていると思われる扉へと姿を消した。

 そんなソルフロッドを気にすることなくジェイドはソファへと歩いていくと私をそっと下ろした。ボフリと体が沈んでバランスが取れなくてコロリと後ろに体が向かっていく。背もたれに頭が当たってやっと落ち着く。

 ジェイドは私を見てから踵を返す。


「そこで待っていろ。すぐ隣にいるから、少しの間だけ待てるな?」


 そう言ってジェイドが隣の部屋へと姿を消すと急に寒々しさが襲う。一人の空間が慣れない。でも隣で着替えているジェイドの気配がまだ私を前のような寒々しさからは遠ざけさせていた。

今回もお読みいただきありがとうございました!


前回からかなりの時間をおきましての投稿となりましたが、待っていてくださった皆様には本当に感謝の念が絶えません!

ようやっと気力、体力共に回復いたしまして……また再開することになりました!

と言っても……少しだけ不定期になってしまうことになるかもしれません……。本当に申し訳ないです……。

ですが月に一度は必ずお約束します!


では、今回の話ですがいかがでしたでしょうか?

今回はエルがジェイドとともに交流会の、準備に入りました。そこで少しだけ人間の優しさのようなものに触れましたねー! 仲間は魔族ですが、もしかしたら……という思いが隠せませんね。

次回ですが、ジェイドの礼服姿を楽しみにしてください!


ではでは、今回もお読みいただきおりがとうございました!また次回お会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ