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No.07

∞∞∞


ボーっとしながら暫く過ごす。

ジェイドは少し前に来た侍女に入れてもらった紅茶を飲みながら、分厚い本を読んでいる。

そんな所に数人の足音が聞こえたと思ったら、ドアがコンコンと叩かれた。


「王妃様がいらっしゃいました。」


落ち着いた侍女の声が聞こえる。

ジェイドは本をテーブルの上に置きスッと立ち上がり姿勢を正した。

それを見て私もソファーから立ち上がりジェイドの隣に並ぶ。

ジェイドは私をチラリと見ると微かに頷く。なんだか褒められているような気がしてニコニコと顔が緩んだ。

そんな私を見るとジェイドはドアの方に目を戻す。


「失礼します。」


そう言って扉を最初に(くぐ)って来たのは見知らぬ侍女だった。静々と数歩、歩を進めて横にずれ、頭を下げる。

次に入ってくるのはあの食事の時に見た豪華に着飾っていた女の人だった。また違う服を着ている。

続いて二人の侍女が入って扉が閉められた。

隣を見るとジェイドが軽く頭を下げている。私も習って頭を軽く下げる。


「態々お越しいただきまして、誠に有難うございます。」


「いいのよ、顔を上げて頂戴。私が来たいって言ったんだもの。」


「では、とりあえずお座りください。お茶を用意させましょう。」


そう言ってジェイドは下げた頭を上げ今まで座っていたソファーを示し、部屋の隅で佇んでいる侍女に目配せをした。

進められ女の人は了承し歩を進めると優雅にソファーに腰掛けた。

侍女たちは女の人の後ろに回り静かに佇んだ。

女の人は私達に顔を上げるように声を掛ける。

私はジェイドの様子を見つつ顔を上げる。

すると何か微笑ましいものでも見るように私を見つめる目と合った。慌てて視線を逸らし下を向く。あの女の人だ。

女の人が口を開く。


「それで、この子のドレスでしたね。」


「はい。」


ジェイドが短く答える。


「貴女は色の希望はあるのかしら?」


女の人がこちらを向いて言った。

“いろのきぼう”?問われたことが分からなくてジェイドを見る。ジェイドもこちらを見ていた。


「色は、分かるか?」


ジェイドが言う。それに頷く。


「分かった。」


そう言ってジェイドは視線を女の人に戻した。


「では、貸して頂ける服を見せては貰えませんか?」


「ええ、もちろんよ。」


そう言った女の人は後ろに控えていた侍女に目配せする。

その間、目配せされた侍女は扉を開くと新たな侍女が入って来た。両手に一着の服を抱えて。

そんな侍女がズラズラと連なるように続く。

三十人が入ったかと思われる時にやっと列が途切れた。

それを私はただ目を見開いて見つめるだけだった。

女の人は申し訳そうにジェイドを見る。


「ごめんなさいね、これしか貸せるものがなくて。もう少し出せればよかったんだけど……。」


「いえ、急に決まった事ですから。」


なぜか眉間に皺を寄せるジェイド。そんなジェイドを見て少し青くなった顔を扇子を広げて女の人は誤魔化した。


「ほ、ほほ……、で、では早速この子にドレスを選んでもらいましょうか。」


「そうですね。……良いと思った物を見つけたら合図をしろ。」


ジェイドの言葉にジッと侍女達を見つめる。なんとなく分かっていたがやはり侍女全員人間のようだ。

ジェイドの服の裾をギュッと握る。手が冷たくなった様に感じた。

ジェイドはそれを見てまた前を見ると、裾を掴んだ私を引っ張るように右端の若緑色のドレスを抱えた侍女に向かう。

その場に留まろうと少したたらを踏むが、ジェイドがいるという事を頼りに進む。どうしてもジェイドの後ろに隠れる様に進む事になってしまうが、ジェイドはそんな私の歩行に合わせる様にゆっくりと前に進んだ。

私達が近くに行くと侍女が抱えていたドレスを下へと下ろす。

見えやすくなったドレスをジェイドの陰から覗く。

私が何の反応も示さないのを確認するとジェイドは次の場所に足を向ける。

次々に見ていくが何とも言えない。少しずつ終わりが見えてきた時に目に入って来たのは、“あの場所”で外へ出される時に青い空だったら見える日の光の色だった。

黄色よりも少し濃いオレンジに近い色合いだ。“あの場所”で窓の外から見えていた緑の地面がこの色に照らされていたのをよく覚えている。

先程よりジッと見つめている事に気が付いたのか、ジェイドが私に声を掛ける。


「これが良いのか。」


少し考えてコクリと頷く。

それを認めてジェイドは王妃と呼ばれていた女の人に向き直り声を掛ける。


「王妃、どうやらこれが気に入った様です。」


そう言われた王妃はドレスを見ると顔を綻ばせる。


「そのドレスの色が素敵よね私も好きだったの。好んで着ていたのを思い出すわ。」


「そうでしたか。……では、今回はこのドレスをお貸しして下さるという事で良いでしょうか。」


早々に話を終わらせようとするジェイド。

王妃はそれにあっさりと乗る。


「そうね。交流会が終わった際に侍女に渡してくれれば良いわ。」


「分かりました。その様に。」


ジェイドが軽く頷き、王妃は立ち上がる。


扇で口元を隠した王妃は近くにいた侍女二人を示す。


「この二人がその子の採寸をしてドレスをある程度直すわ。」


「……分かりました。」


そう言って王妃はドレスを持った侍女達を引き連れて私の部屋を出て行った。


ここまでお読み頂き有難うございました!

如何でしたか?


今回、ジェイドの優しさが、あた垣間見える回だったと思います!

エルはやつぱり人間には近づけませんね……いつか距離が縮まるといいなーと私も思っております。


さて、今日更新させていただきましたが次回は少し遅れるかもしれません……

本当に申し訳ない……

でも!できるだけ早くに更新できるようにしますのでしばらくお待ちください!

名言にもある通り「I'll be back」(必ず戻ってくる)です!


ではでは、また次回にてお会いしましょう!


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