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3話 ー白炎の惨劇ー

『英雄の晩餐と、笑えない現実』


 俺たちは王城へ移動した。


 石造りの巨大な城は、夜でも厳粛な威圧感を放っている。

 高い天井、長い回廊、磨き抜かれた床。足音がやけに響く。


 案内されたのは、応接用と思われる豪華な一室だった。

 深紅の絨毯、重厚な木製テーブル、壁には戦の歴史を描いた巨大なタペストリー。


 ――勝利の絵のはずなのに、なぜか人物の顔はどれも沈んで見えた。


 ……まあ、気のせいか。


 俺は椅子に腰を下ろす。

 広間での召喚の余韻がまだ体に残っている。


 テーブルには豪華な料理が並んでいた。

 肉、魚、果実、見たことのない香草料理。


 王と王女が向かいに座る。


 予想通り、彼は王で、彼女は王女。

 巫女は巫女だった。うん、肩書きに裏切りなし。


「軽く食事を取りながら話そう」


 王が静かに切り出す。


「まずは、この世界の現状を知ってほしい。私たちはキミにお願いする立場だ。

この世界を知り、どうか助けてはくれまいか」


 なるほど。

 空気は重い。


 でも俺の内側では、全能感がパンパンに膨らんでいた。


「よし、まかせろ!俺が全部まとめて片付けてやるぜ!」


 王女の眉がぴくりと動く。


「……まだ何も説明していませんが」


 あ。


「えっと……いや、その、ぼ、僕が……あの……何とかします」


 出た。

 強い人に正面から返されると出る、“弱僕”。


 自分でもコントみたいだと思う。


 王は淡々と語り始めた。


「この世界では魔王軍という非人間種の勢力が、繰り返し世界征服を試みてきた。

人間種と亜人諸国で連合を組み対峙してきたが――今回は違う」


 部屋の空気が変わる。


「今回の魔王軍は圧倒的だ。すでに多くの国が消失した。

世界人口の半分近くが殺害、あるいは奴隷化されたという報告もある」


 ……半分?


 俺は豪華な肉を勢いよく頬張りながら思う。


 いやいや、盛ってない?


「そしてこの国は、現在魔王軍に包囲されている」


 ……。


 俺は思わず笑いそうになる。


「マジで?そんな状況で俺『まかせろ!』って言っちゃった?

 いやー俺、メンタル鋼すぎない?」


 王女の視線は、まったく笑っていない。


「……本当に大丈夫なのですか。命がかかっているのですよ」


 その声は、責めるでもなく、ただ――現実だった。


 司祭が続ける。


「勇者召喚は数千年の歴史があります。

あなたを呼び出したのは古代のアーティファクトです。

真の危機の際、英雄を招くと伝えられてきました」


 アーティファクト。


 響きがいい。最高に厨二だ。


「英雄の強さは、注がれた魔力に比例すると言われています。

前回の召喚から約三百年。私たちは毎日、魔力を注いできました」


 三百年。


 前回の勇者は数十年分で魔王に辛勝。


 俺は三百年分。


 ……いやこれもう確定演出だろ。


「つまり俺、超当たり枠?」


 王も王女も、表情を崩さない。


「このアーティファクトには、認知されているすべての魔法とスキルが収められています。被召喚者は通常、二つ選択可能です」


「禁呪も存在する。だが前回の英雄は、それを使い命を落とした」


 なるほどね。


 俺はにやりと笑う。


「普通は二つ。でも俺は魔法全部使用可能。しかも魔力99999999。

 前の勇者みたいに魔力切れで死ぬ心配なし、と」


 こんな不敵な顔、人生で初めてした。


 ……俺、今、ちゃんと主人公してるよな?


 王女は小さく首を傾げる。


「……あまりにも、現実感がないように見えます」


 現実感?


 いや、あるよ。

 あるはずだ。


 胸の奥がやけに熱いだけで。


 王と王女が小さく視線を交わす。


「……本当に信頼してよいのか」

「……様子を見るしかありません」


 聞こえてるけど、聞こえないふり。


 俺の胸の中では、熱がどんどん膨らんでいく。


 まるで、この世界が俺の舞台みたいに。


 その後、自室へ案内された。


 広い部屋。大きなベッド。重いカーテン。


 外は深夜だ。


 俺はベランダに出る。


 夜風が吹く。


 ……いや、吹いてるはずなのに、旗は揺れていない。


 遠くの城壁の松明は、炎の形を保ったまま、まるで止まっているみたいだった。


 ……疲れてるのかな。


 月を見上げる。


 遠く、地平線の向こうに黒い影――魔王軍の陣だろう。


 胸の奥で鼓動が早まる。


「任せろ。俺がこの世界を救う――そして、全力で楽しむ!」


 人生の底辺から、一日で頂点。


 眠れるわけがない。


 どうしよう。

 初めての彼女、王女とかだったらどうする?


 あー、もう。


 俺、完全に始まってる。


 ――そうだよな?


 ……な?

小説書いてみたくて処女作になります。

至らぬ点しかないと思いますが、毎日投稿するのでご容赦ください。

※この作品はアルファポリスにも掲載しています。

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