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夏の日の出来事 番外  作者: 夕部空波 
2 自分の中心
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 実幸の家はがらんとしていた。段ボールの箱がたくさんあり、家具という家具があまりない。引っ越しが多いという紫原家には当たり前のことかもしれないが、高校生という色気のかけらもない家は正直驚いた。


「で?」

「ん―――?」

「泊まるの」


半ばあきらめたような口調だが真希にとっては絶好の機会である。というか、無理やりでも泊まってやろうと考えていたのだから、反対を口にはしない。


「もちろん。床でいいからね~」


えー、と実幸は言っている。それに少し笑い人気のないこの家について考えた。


 親。それは、実幸の味方。どんな時でも一緒に居られ、安らぐことのできる人物。


 ひんやりとしているソファーや家。確実にこの家には人がいなかった。実幸は一人で寝て、起きて、そしてふらりと帰ってきた親に目もくれず、全てを話せない友達のいる学校へ向かっているのだろうか。窮屈で、悲しく、寂しい。絶対にありえないと思える環境が、自分の親友に、目の前で、行われている。その事実にショックを受け、そして確実な自分の無知さを知る。


「真希、風呂入る?」

「いいよ、どっちでも。実幸は?」

「明日休みだから朝済ませようって思って。今日、疲れたし」


そう言って力なく微笑んだ。


 きっと親からのプレッシャーがあったはず。高校受験の時なんてメールの一つや二つを送れなかった自分に腹が立つ。それでも、気丈でいる実幸は、強いと感じた。自分と離れていて、自分と近い存在だと思った。

 自然と息が漏れる。それが安堵でなのか、自分への無知さゆえなのか、実幸のおやにむかってなのか、実幸に対してなのかはわからない。


「真希、どうしたの?」


どうやら今のものをため息と思ったらしい。それならば、と


「べっつに~! ただ、実幸の家ここにきて実幸を怒る気力がパーってどっかに消えちゃった。早く寝て、明日ここら辺案内してよ。明日暇なんでしょ~?」


少し甘えたような声を出す。実幸の顔をまともに見れていない自分がいた。

 少しの間があき、実幸は少し困ったような。しかし、その約束を楽しむような声で答えた。


「うん、いいよ」


その声を聴き、真希は精いっぱい微笑んだのだ。


誤字などがありましたら、連絡お願いいたします。

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