スタンビートキラー。戦う臆病者
アクトは町の南門に来ていた。
「スタンピードか・・・」
「このままじゃ魔物に押し切られるな」
「待てよ、魔物が押し寄せて、危なくなった所で、俺が助けてやっても良い。そうすれば特別な俺の存在を、みんな認めるしかなくなる!鉱山で強制労働なんて言うふざけたことも言えなくなる!もっとだ、ぎりぎりまで追い詰められろ!そうしたらこの俺が助けてやるよ!」
アクトの歪んだ心は、正常な判断を失っていた。
そのころ南の城壁の上。俺はスキルをカンストし、新しいスキルを習得していた。
『スキル10枠の完全取得を確認』
『スキル統合を実行します』
『HP自動回復LV10・スタミナ自動回復LV10・状態異常自動回復LV10・MP自動回復LV10を統合します』
『自動回復(全)に統合しました』
『余ったスキル枠にスキルを追加取得します』
『ステップLV1を取得しました』
『状態異常耐性LV1を取得しました』
『次に取得するスキ』
俺は説明が終わる前にすかさず敏捷アップを取得した。
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シン 13歳 男 レベル 49+8
スキル
ストレージLV10・超人LV10・自動回復(全)LV10・
服(全)LV10・採取LV10・暗視LV10・
魔物呼びLV10・ステップLV1・状態異常耐性LV1
敏捷アップLV1
スキル(エステル)
憑依LV10・憑依強化LV2
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たくさんスキルを取った。でも俺は震えていた。
『どんなにスキルで固めても俺は怖い!』
『分かってる!自分が弱いってことを!』
俺は魔物の群れが居る南門の外に飛び降りた。
『状態異常耐性LV1から2に上がりました』
『状態異常耐性LV2から3に上がりました』
魔物の居る群れの端に突撃して、くまに何度も何度も何度もナイフを突き立てた。
熊はドスンと倒れた。
『力が無いってわかってるんだ!』
うさぎが2体飛び込んでくるが素早くナイフを振って倒した。
『俊敏アップLV1からLV2に上がりました。』
蛇が体をうねらせながらかみついて来ようとした。
蛇の首を切り落とした。
『俊敏アップLV2からLV3に上がりました。』
魔物に包囲されそうになるが、右に素早く移動し、魔物を切り捨てた。
『おれに特別なものは何もないって分かってるんだ!」
『ステップLV1から2に上がりました』
魔物の群れの外周を削るように弧を書きながら走り、魔物を切り刻んでいった。
『ステップLV2から3に上がりました』
『レベル49から50に上がりました』
『スキル枠を一時的に拡張し、スキ』
俺は説明を無視して、スタミナアップのスキルを取得した。
『憑依強化LV2から3に上がりました』
『憑依強化LV3から4に上がりました』
『俺は、何度も何度も何度もナイフを振った。
決して足は止めなかった。
城壁の上では、みんなが見ていた。
夜が明けて朝日が差し込んでいた。
「シンが戦っているのか?」
「無能のシン・・・じゃないな」
「シン、だんだん強くなってねーか?」
城壁の下の方では、隙をつくように扉を補修していた。
何人かは、町の人間を呼びに行っていた。
「俺はなー。シンが外に飛び込むときに見てたんだ。そしたらよーあいつ・・・震えてたんだ。まだ子供なのに、ふるえてとびこんだんだぜ。あいつはよ」
「強くなってるのは、レベルだけじゃねえな。スキルも強くなってる。命の危険を感じて、怖いのに飛び込んだんだ。命の危険を感じながら戦えば、スキルLVは上がりやすくなる。俺は怖くて飛び込めなかったぜ。」
「戦闘スキルを持たず、片腕が無いような状態で、戦ってるんだ。シンは、英雄だよ。」
アクトは、野次馬に混じって、フードをかぶってみていた。
ふざけるなよ!!俺の邪魔をしやがって!!あいつは俺をつぶそうとしてるんだ!特別な俺をつぶそうとしてるんだ!!
魔物の群れにて
俺は自分の体がうまく動かない感覚を感じていた。
『もっと長く走るんだ!』
『スタミナアップLV1からLV2に上がりました』
『スタミナアップLV2からLV3に上がりました』
『レベル50から51に上がりました』
『もっと速く!動け!』
『俊敏アップLV3からLV4になりました』
『立ち向かうんだ!』
『レベル51から52に上がりました』
『状態異常耐性LV3から4に上がりました』
『もっと思い通りに動け!』
『ステップLV3から4に上がりました』
『スタミナアップLV3からLV4に上がりました』
『憑依強化LV4から5に上がりました』
俺は、魔物を倒し続けていた。
くまの魔物が群れの中から出てきた!!
速い!明らかに大きい!ボスクラスだ!レベルも高いんだろう!
『関係ない!!』
俺は100回以上くまを切り付けた。
くまの一撃を食らい、俺は吹き飛んだ。
くまが血を流しながら追撃を仕掛けてきた。
「うおおおおおおおおおお!!!!」
何回も何回もくまを切り付けた。
くまが倒れるまでナイフを振り続けた。
『レベル52から53に上がりました』
俺は後ろから続いてきた魔物に囲まれたが、何度も何度もナイフを振り、足を動かし続けた。
ザン!
ザン!
ザン!
ザン!
俺はくまを何度も何度も切りつけて倒した。
次は群れで向かってくるうさぎを
何体も切り倒した。
「うおーーーー!」
『レベル53から54に上がりました』
防壁から、声が聞こえる。
「・・スタンピードキラー」
「そうだ、シンはスタンピードキラーだ!」
俺は、魔物を倒し続けた。
気が付くと、魔物の数は少なくなり、
囲まれることも減って、傷を負う回数も減っていった。
・・・だんだん、魔物が居なくなっていく?
『俺が?倒した?』
エステル『そう、シンが倒した』
『エステルの憑依スキルが強かったからだな』
エステル『うんう。シンがすごい。シンの心の声、私まで届いた。』
『なんだそれ?』
シンは心の声が念話であふれていたことに気づいていなかった。
エステル『ふふふ』
エステル『帰ろう、町に』
『そうだな』
町に入ると、孤児院の子供が何人か近づいてきた。
「シンおつかれさま」
「うん。ありがとう」
「どうしたらそんなにつよくなれるの?」
俺は、エステルのおかげだよと言おうとしたが、
「たくさん頑張ったからだよ」
と答えた。
孤児院の子供たちは
「ぼくねー!」ぼうけんしゃになってねー!」おかねいっぱいもらってこじいんのいんちょうをたすけるよー!」
一番背の小さな子供が興奮しながら大声でほかの子供たちに話していた。
『エステル、不思議な感覚がするんだ。すごく苦しかったけど、今、体中に血が巡っていて俺は生きてるんだって感じるんだ』
死の恐怖から解放され、やり遂げた達成感もあり、体が浮くような不思議な感覚に包まれていた。
エステル『言ってること、分かるよ。』
俺たちは町の中心へと歩き出した。
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