パンツマン
俺は師匠の家に泊まり込みで健康スキルのLV上げを続けていた。
定期的に師匠から状態異常とMPドレインの魔法をかけられ、一日に一回町はずれの防壁近くで、師匠に攻撃魔法を撃たれる生活を続けていた。
俺のスキルは健康LV2から健康LV5に上がっていた。
そんなある時
「寝てる時間が短くなってるよー。修行の成果だねー。」
「え?変わった?のかな?」
「うん、絶対成果が出てるよー。だって今までシンは疲れて眠ったら12時間は位は起きなかったのに、今は10時間ちょっとで起きるようになったよー。回復力が上がってる証拠だよー。」
「微妙。うーん、でも成果が出るのはうれしいな。」
「そうだよー健康LVがもっと上げればもっと良くなるよー」
「LVが上がるのはうれしいけど、最近LVの伸びが悪くなってる気がするよ」
「LVが上がってくると伸びが悪くなるのは普通だけど、最近慣れてきてる感があるよねー。死への恐怖感が薄くなってる気がするよー。」
師匠が怖いことを言い出した。
「で、でも確実に成長しているからこのまま続けてみよう。」
「今日も修行をがんばろー」
俺はパンツ一丁になり、師匠と一緒に町はずれの防壁へ向かった。
到着するなり師匠は魔法を俺に向けて撃ってくる。
イグニス
ファイア
ファイア
ファイア
ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!
「今日は炎の日か!!」
俺も慣れたもので、防壁に到着する前から師匠と距離を取り回避の構えに入っていた。
ちなみに俺のはいているパンツは、耐久力をアップさせた特注品だ。
もちろん、注文に行った時は、引かれたが、気にしてはいけない。それより気になったのは、
店の奥の店員同士のひそひそ話だった。
「ほら、殲滅の魔女にパンツ一丁で魔法を撃たれてる子がいたでしょ。」
「あー!防壁の近くのあれかーわかったわかった。パンツマンか。」
「そうそう。パンツマン。だから作るパンツは、魔法の耐性も上げないとね」
聞こえてるし、しかも。
パンツマン・・・・・
俺ってパンツマンになってるのか。
防壁の見張り台から兵士が俺を見ていた。目が合うとこっちに向かって手を振ってきた。
慣れというのは恐ろしいものだ。
いつも通り俺が力尽きると、師匠は俺をおんぶして家まで帰った。
帰った後に変化に気づいた。
「あれ?食事が無い?」
「今日から断食もするよー」
「えーと、期間はどのくらいでしょうか?」
「それは決まってないよー。シンの生命力次第だよー」
「!!!」
「あ、水は飲んで大丈夫だよー」
「・・・・・・」
俺は水を何杯も飲んで空腹を紛らわした。
水を飲み終えるが空腹は収まらない。
「よし、昼寝だ」
俺が昼寝をしていると師匠が起こしてきた。
「ほら、パンツ以外脱いでー」
まさか・・・
「今日は2回修行をするの?」
「えー。違うよー」
俺はほっと胸をなでおろす
「今日はじゃなく今日から毎日2回修行するんだよー」
なんだと!
「いやちょっと今日はご飯も食べてないしもっとゆっくりで」
俺が言い終える前に、師匠は俺を抱き寄せて窓を開けた。
「ウインド」
こうして町はずれまで飛んだ。
「あの師匠、修行の前にちょっと話が」
「なにー」
「寒い。いつもよりも寒い。こ、これは、いつもと違う感覚なんだ。まるで病気みたいだよ。」
「病気じゃないよー断食をしてるから体温は上がらないよー今日は氷魔法中心で行くねー」
追い込みが怖すぎる!!
俺は断食も終わり落ち着いたので、町の中央部のギルドにある食堂に来ていた。
ここの正式名称は
スノーフィールド中央役所総合受付横食堂というらしいが、みんなギルドと呼ぶ
正式名称で呼んでいるのを聞いたことが無い。
今は昼時なこともあり、人でにぎわっている。
昼の食事メニューは2つだけ
Aセット800ゴールド
Bセット600ゴールドだ。
Aセットが大盛りでBセットは量が少なめなだけで、
メニューの内容は同じだった。
断食後数日経っていたが、とにかくおなかがすいている。
俺はAセットを注文して受け取り、ご飯を食べた。
すると、
「よーパンツマン。おい、お前なんでAセットなんだよ。生意気だぞ」
と俺と同い年くらいの男が声をかけてきた。
この男は、パーティー【ブラックセイバー】のリーダー。アクトだった。
パーティーと言ってもアクトの性格に問題があるため、2人だけのパーティーだった。
逆に一人加入している事実が驚きだ。
俺と同い年で、何か問題が起きれば反射的に人のせいにする困った性格なので俺は極力近づかないようにしている。
「おい、無視してんじゃねーぞ、ぱ・ん・つ・ま・ん」
「何かあったのかな?」
俺の事を無能と呼んでいたが、どうやらパンツマンに変わったようだ。
こいつがパンツマンって呼んでるならやっぱ俺って裏でパンツマンって呼ばれてるんだ。
俺は悲しい気持ちになった。
「は、お前に用があるわけねーだろ。調子にのんなよ」
んじゃなんで話しかけてきたんだよと思いつつ、
「そっかーじゃ帰るよ」
「おい待てよ!」
用があるのかないのかどっちなんだよまったく
「何?」
「お前パンツ一丁で雪の中で転がりまわってるらしいなー」
俺は質問には一切答えず気配を消して決して走らず、しかし素早く、迅速にこの場を立ち去ろうとした
「おい待てっつってんだろ!」今度は肩をつかまれた。
くっ失敗したか。
「おい、パンツ一丁で何してんだ?」
「スキルの修行。」
「ぎゃはははは、おい聞いたか!無能のパンツマンがスキルの修行だってよ!」
アクトはわざと大きい声で回りに聞こえるように声を張った。
アクトがひとしきり笑い終わった後、アクトは同じパーティーのエステルに声をかけていた。
エステルは、俺の一才下で、ブラッティセイバーの中では目立たない存在だ。
前髪は、目が隠れるほど長く、おとなしいのでアクトからは亡霊と呼ばれている。
いつも背中には大きいリュックを背負っている。
「おい亡霊、言ってやれよ!無駄な努力だってな!無能がどんなに努力しようが何も変わらねーってなあ!」
エステルは「そんなことないよ」と小さな声で言った。
「んだよ、のりわりーなー」と言ってエステルの肩を平手で強く叩いた。
叩かれたエステルは無反応だった。
エステル。ハート強いなーと思いつつ、俺はさすがに止めに入った。
「アクト、エステルを強く叩きすぎだ」
「俺に指図すんなよ、それとなーお前パーティーを追い出されたんだろ?」
正確には自分から抜けたんだが、口を開くと面倒なので黙っていた。
「おいおい、何も言えねーのか!やっぱりお前は無能のパンツマンだよ!ぎゃはははははは」
とそこにギルド長が割って入ってきた。
「アクト、またお前か!ちょっとこっちにこい。」
「げ、ホークだ」と言ってアクトは素早くギルドを後にした。
「アクト!おい待て。まったくあいつは」
とため息をついていた。
ちなみにアクトが何か問題を起こすと、町の誰かがホークなどのその場を抑えられる人間を呼んでくるという暗黙のルールがあった。
ホークを呼びに行ってくれたであろう男性が俺に笑顔を向けて親指を立ててきた。
俺も親指を立てた。
エステルは去り際に「ありがと」
と言って去って行った。
じゃ俺も帰ろうかなーっと
ギルドを出ようとした時俺はホークに首元をつかまれた。
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