採取依頼
ギルドでホークが俺を見つけると、ニコッと笑って俺に近づいてきた。
「シン、採取の勉強をする件だが、薬屋のじいさんが引き受けてくれたぞ。荷物持ちさえしてくれれば、依頼料は無料だ。」
「やります!!お願いします。」ペコリ
「早速明日からキャンプになるが、大丈夫か?」
キャンプ!ちょうど興味があったところだ。都合も良い。ただ気になったのが…
「ホーク。おじいちゃんって、魔物に襲われたら危ないんじゃない?俺だけじゃ危険じゃない?」
「言って無かったな。薬屋のじいさんはお前より何倍も強いぞ。」
「え?」
「明日になれば分かる。大丈夫だ。安心してくれ。」
「うん」
次の日俺は薬屋のおじいちゃんの店の前に居た。
しばらくするとおじいちゃんが出てきた。
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、なんだ、早いのー。来ていたのなら声をかけても良かったんじゃよ。」
「今日からよろしくお願いします。所でおじいちゃんのお名前を聞かせてもらっても良いですか?おじいちゃんって呼ぶのも悪い気がするので。」
「おじいちゃんじゃなく、じいと呼んで良いよ。それと敬語も無しでな。」
「敬語無しは分かったけど名前は知りたいな」
「じいで良いよ」
・・・・
「じいで良い」
うん、気にするのはやめよう。
「所で持っていく荷物はどれかな?」
「どれ、ついてきておくれ。」
とうながされて、店の奥に入っていくと、かなり高価そうなキャンプ道具一式と、かごなどの採取道具がずらっと並んでいた。
「さっそくストレージに入れるね。ストレージ!」
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、便利じゃのう。それじゃ行こうか」
俺たちは、ダンジョンの一階に到着すると、普段使う道ではなく、奥まった所へと進んでいった。
なんでも、道なりの採取場所は、ほかの冒険者も素材を採取するため、あまり採取できないんだそうだ。
奥まで到着すると、
「シン君。大声で叫んでくれるかの?最近大きい声が出せなくなってきての。魔物を呼び寄せて最初に倒しておきたいんじゃよ。」
ホークは大丈夫って言ってたけど、魔物を呼んでもじいは大丈夫かな?
できるだけじいの近くに居よ!いざとなったらサポートするぞ。
俺はじいの近くによって大声で叫んだ。
「うおあーーーーーーー!!」
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、元気で良いのー」
じいはにっこりとほほ笑んだ。
魔物が現れだしたけど・・・数が多い。
2階への通り道は普段冒険者が魔物を狩っているから魔物が少ないけど、奥に来ると、たくさんの魔物が潜んでいる。
「20・・・いや30体以上だ!!!」
俺はじいを守るように前に出ようとするが、じいは、腰に差していた小刀をさやから両手ですっと引き抜くと、流れるような動きで敵を切り刻んでいった。
!!!!!
「つよ!!」
俺ははっと我に返って戦闘に参加したが、俺は数体の魔物しか倒せなかった。」
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、わしも年を取って衰えたのー。体が言うことをきかんわい。」
「じい・・・ホークから強いって言われてたけどかなり強いね。思ってた以上だよ。短剣スキルかな?」
「そうじゃな。短剣スキルじゃよ。」
短剣スキル。たしか近接戦闘で最弱のスキルだったな。
イメージ的にサブウエポン的な感じだ。
短剣スキルは、生産系スキルの才能がある人が生まれた時に最初から持ってる事が多い。
後は弓使いなんかが予備の武器としてスキルを取ることもあるらしいけど、人気のないスキルだ。
だって近接戦闘スキルで最弱だからね。
それでもじいのあの強さ。
俺がじいの小刀を見ながら考え込んでいると、
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、確かに短剣スキルは弱いの。じゃが、長年素材を集めてダンジョンに潜って、ちーとばかり努力すればこれくらいは戦えるようになるもんじゃよ」
と言ってにっこりと笑った。
俺は、戦闘スキルを持っていないけど、じいは最弱スキルでこんなに強くなっている。なんか通じる部分があって考えさせられるな。俺もがんばらないとね。そう思った。
「俺、魔物を回収するね。」
そういって魔物を一か所に集めてストレージに居れた。
「やはり便利じゃのー。助かるわい」
そういってにこりと笑った。
その後俺は、薬草の種類。効能。様々なことを学んだ。
ポーションの材料の採取やギルドに納品する時の束ね方だけじゃなく、食べられる草、キノコ、魚の取り方。砂鉄の採取方法など、ポーションの材料以外の知識についても丁寧に教えてくれた。
特に魚の取り方は、俺が孤児院の時に取っていた方法よりも、多くの魚やカニ類を取れるため勉強になった。
何回もおんなじ話をするのと、じいの昔の話をすることが多かったけど、じいはとてもやさしくて、丁寧に採取の知識を教えてくれた。
あっという間に一週間が経っていた。
じいのお店に着くと、
俺は7日間で集めた素材全てのキャンプ道具、採取道具ををストレージから出した。
「魔物や魚は、ギルドに売ってじいの口座に入金するね。一週間ありがとうございました。」
俺は深々と頭を下げた。
「これこれ、今出した素材を持って帰るんじゃ。ポーションの素材をこの籠5つ分もらえれば、後は十分じゃよ。全部シンが持って帰っておくれ。それに魔物なんかを売ったお金もシンの方でもらっておくれ。」
「じい。人が良すぎるよ!俺だけ色々教えてもらって、お金も手に入ってたらもらいすぎになるよ!」
「シンのストレージスキルにはかなり助かってるんじゃよ。そのスキルが無かったら、たくさんの素材の回収をあきらめて、何往復もダンジョンを行き来することになっていたんじゃよ。だから、わしも助けられていたんじゃ。だから受け取っておくれ。」
「じい。このかごに入ってる薬草って全部使い切るのに何日くらいかかるんだろ?」
「そうさなー。頑張って5日。のんびりじゃと10日くらいかのー。どうしたんじゃ?」
「俺が採取LVを上げている間に、取ったポーションの材料はじいにプレゼントしようと思ってね。」
「だめじゃよ。それだったら、わしがその材料を買い取るのはどうじゃ?それと、とりあえず、今出した素材を全部しまおうかの、こうして長々と話をしとっては、素材が痛んでしまうわい。」
俺はストレージに素材を入れると、じいは優しく俺の背中を押して、店の外まで出た。
「後は、シン一人だけでも採取のLVを上げていけるじゃろう。それと素材はこれ以上受けとらんよ。」
じいは店の入り口に陣取り、意地でもこれ以上素材を受け取らないという構えをみせた。
「じいに格好をつけさせておくれ。」ニコッと笑った。
俺はこれ以上何も言えなくなり、お礼を言った。
じいは店の中に入っていったが、俺はもう一度、店に頭を深々と下げた。
「じい、ありがとう。」
ギルドにて
「こういうことがあったんだ」
ホークにじいにお世話になった話をした。
「薬屋のじいさんは、金には困って無いぞ。ありがたくもらっとけ。」
「・・・うん」
俺の腹がぐーっとなった。
「ギルドで飯を食っていけ。おごるぞ」
と言われて、俺は食堂にパーティー【ブラックセイバー】のアクトが居ないか確認しに行こうとした。
「アクトならいないから大丈夫だ。」
「そっかー。ありがたくいただきます」
そういって俺はご飯を食べてアリスの家に帰った。
その後ギルドでの事。
「ふぉ、ふぉ、ふぉ、ホーク。元気にしとるか?」
「薬屋のじいさんか、元気だぞ。シンはどうだった?」
「良い子じゃったのー。」
「だろ?」と自慢するように言ってホークが笑った。
それにつられて薬屋のじいさんも笑った。
ひと段落笑い終えると、
「それよりもあのステータスじゃ。」
そう、ホークと同じで薬屋のじいは鑑定のスキルを持っていたのだ。
鑑定のスキルは作成系スキルの才能を持つものが覚えやすいのだ。
「スキルの事だな。」
「そうじゃ。よっぽど苦しい思いをして頑張ったんじゃろう。あんなにスキルを持っておって、さらにまだ覚えようとしとる。あの子は伸びるのー。」
「そうだな。」
そういって二人はまた笑った。
最後までお読み頂きありがとうございます!
ここまで少しでも、ほんの少しでも面白いと思っていただけた方はブクマ、そして下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします!




