第58話 ソニックバレットのアップデート
3種類の銃火器について説明を聞いたが、すでによくわからなくなっている。細かい設定なんて知らなくてもFPSゲームは遊べるので、そこから近距離、中距離、遠距離、強火力の4種あればいいかという気持ちで4種を指定した。
『最後にアンチマテリアルライフルです。物を破壊することを主な目的とした超大型のライフルです。「バレット M82」が1番使われています。初速は860m/s、回転数は134,400rpmです。銃弾は12.7×99mm NATO弾を使用します。有効射程は1,500mから2,000mになります』
「私が最初に使った弾丸は、アンチマテリアルライフル用だったのね、そりゃ初速と回転数が足りなくても30m程度の至近距離で撃ち込めば、ホーンラビットも爆散するわね……」
『そうですね、何より弾丸が大きく重いため、あのような結果になったと推測されます。それぞれの弾頭を使って設定も同じものを使えば良いかと……あまり設定を弄ると適正な威力と距離をはじき出す検証に時間がかかると思いますので』
「そうね、設定はそのまま使いましょう。9mmは近距離もしくは小型の魔物用で、5.56mmは中距離で小型と中型の魔物を対象にして、7.62mmは遠距離ですべての魔物が対象になるわね、12.7mmは大型の魔物が対象になるわ。それ以上は12.7mmの設定を弄って対応かな?」
『それでいいと思います。野盗などの対人戦はどうします?』
「それよね……殺さなければ、私が殺されるか、犯されるのだから……わかっているけど簡単に割り切れるものでもないわ」
『とりあえず、足や手に9mmもしくは5.56mmを撃ち込んで無力化するのが1番良いかと……魔物と違い、人は足や手にダメージを負うと動けなくなりますから……』
「……」
野盗なんて殺さなければ次の被害が出るだけなのはわかっている。だけどどうしても倫理観が邪魔をして簡単に殺すことを想像できない。
(私は女だから間違いなく殺す前に凌辱されるだろう。それがわかっていても殺すことを決断できない私は……)
『ミオさんが悩む気持ちもわかります。地球の情報を、ミオさんが住んでいた日本の情報を得たので……ミオさんは無力化だけでもいいです。後始末は私がしますので……』
「……その時が来ないとわからないわ。フェシーだけに背負わすつもりもないから……それにこれはこの世界で生きるために避けては通れない問題だし……」
『ええ、旅をするのであればいつかは遭遇します。その時に慌てるのではなく、今ある程度の方向性を決めておいた方がいいです。少なくとも先ほどの無力化の提案だけは受けてください。それ以降のことは、その場でも決めることもできます』
「そうね、基本的には無力化する方向で、私も殺されたり、犯されたりするのは嫌だからね……」
少し暗い雰囲気になってしまったが、やはりその場面に遭遇しないとどうなるかはわからない。気を取り直して《ソニックバレット》の改造を続ける。
「9mm、5.56mm、7.62mm、12.7mmの弾頭だけのサンプルを作ってもらえる?《装填》に取り込むわ。初速や回転数も《狙撃》に取り込んで複数にしないとだめね、いえ、《装填》時に初速などの設定もしてしまいましょう。《狙撃》は発射のみにした方が集中できるわ」
『承知しました。弾頭を生成します』
フェシーがそれぞれの弾頭を用意してくれた。直径や長さを聞いて《装填》の魔法に取り込んでいく。それぞれ《装填:9.00》、《装填:5.56》、《装填:7.62》、《装填:12.7》としておく。
今度はそこに初速と回転数を与える設定の魔法を構築する。《装填:360m/s・86,500rpm》、《装填:900m/s・303,700rpm》、《装填:790m/s・167,000rpm》、《装填:860m/s・134,400rpm》とした。
これをそれぞれでまとめていき、最終的には《装填:近》、《装填:中》、《装填:遠》、《装填:強》としてオリジナル魔法にした。
「これでいいわね、後は《狙撃》だけど、《装填》で設定した値を読み込んで発射する仕様にすれば問題ないわね……それから《ソニックバレット》の魔法は、《装填:中》と《狙撃》の組み合わせにしましょう。緊急時に1番汎用性が高そうな弾丸にしておくのがいいわよね?」
『問題ないと思います。《装填:中》であれば、ある程度の破壊力もありますので、どんな場面でも使い勝手が良いと思います』
《ソニックバレット》の改造は終わったので、最後に自分に対して魔力視眼を使ってみる。
【ミオ・カンザキ】
種族:人種
年齢:18歳
所属:なし
名前、種族、年齢、所属を見ることができた。今この世界で使用されているギルドカードとほぼ同等の情報だった。フェシーに伝えると、彼はこう答えた。
『思ったより見ることができましたね、魔法と違い魔力視眼は相手に感知されることがまずありません。怪しいと思ったら遠慮せずに使ってください。現在この世界で魔力視眼を使えるのはミオさんとおそらく一部のドラゴンだけです』
それを聞いた私は安心して眠りについた。




