表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛請負人・鉄平 ―ギャルゲー主人公の友人として恋を請け負っていたら、女神様が筋肉(からだ)目当てで距離を詰めてくるんだが  作者: 強炭酸
Last Case 主人公 白狼&鉄平

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/41

Last Case そして本編へ③完


【女神様視点】


訓練が終わったあと、私たちはハンバーガーショップに入った。


店の扉を開けた瞬間、油の香ばしい匂いがふわりと鼻をくすぐる。

鉄板の熱、ポテトの塩気、炭酸のはじける音。

人間の世界の食べ物は、いつだって騒がしい。


トレーを持って席に着き、紙に包まれたハンバーガーを開く。

温かい蒸気が頬に触れた。


ひとくち。


パンの柔らかさ。

肉の塩気。

ソースの甘さ。


「……おいしー」


思わず声が漏れる。


神としては、食事なんて必要ない。

食べなくても困らない。

栄養も、空腹も、関係ない。


それでも――


友人と一緒に食べる食事は、こんなにも美味しい。


「大袈裟だなぁ、凛ちゃん」


翠鳥が笑いながら言う。


「いや、こういうの久々でさ」


隣で頬杖をつく彼女の赤い髪が揺れる。

この子とは、なぜかすぐ打ち解けた。


挿絵(By みてみん)


距離の近い笑い方。

遠慮のない口調。

でも、不思議と心地いい。


「こんど、バレーの試合あるんだ。応援に来てよ」


「いいよー」


私はバレー部に入っている。

体を動かすのは好きだ。


この学校は強豪ではないけれど、

実力があれば普通に試合に出られる。


それに――


鉄平とソフトバレーでラリーしていた時間を思い出す。

反省会の空間。

漫才みたいなやり取り。

あの、少しだけ楽しい時間。


胸の奥が、ほんの少し温かくなる。




そして、土曜日。


体育館の床が、ワックスの匂いを放っている。

観客席のざわめき。

靴底が床を擦る音。


応援席には三人。


鉄平。

翠鳥。

そして白狼。


いさみと、白狼のヒロインのひとり――未来みらいは来られないらしい。


(未来ちゃんには会ってみたかったな)


審判の笛が鳴る。


「選手交代!」


私の出番。


コートに足を踏み入れた瞬間、空気が少し変わる。

視線。

ざわめき。

期待。


ポジションはセッター。


でも今回はテストも兼ねて、ワンポイントサーバー。


ボールを受け取る。


掌に伝わるゴムの感触。

軽く弾む重さ。


助走。


トン、トン、と床を叩くボールの乾いた音。


体育館が一瞬、静まり返る。


そして――


腕を振る。


ボールが鋭く飛ぶ。


ネット際を、鋭角に射抜く。


サービスエース。


「ナイッサーーー!!

いいよ、凛! カンペキ!!」


鉄平の声。


思わず口元が緩む。


ふふふ。

いい声援ね。


合格。


そのとき。


「ピィィィィーーーーーー!!」


甲高い指笛。


体育館に響く。


白狼だ。


なるほど。


あなたも合格あげるわ、白狼。


応援よろしくね。


じゃあ――


とっておきを見せましょう。


挿絵(By みてみん)


もう一度、ボールを受け取る。


助走。


高く跳ぶ。


打点を上げて、ボールの下側を叩く。


――無回転。


ジャンプフローターサーブ。


空気を裂いて飛ぶボール。


相手コートで、不規則に揺れた。


落ちる。


連続エース。


観客がざわめく。


私は、ゆっくり応援席を見る。


ドヤ顔。


どうよ、鉄平。


惚れた?


惚れ直した?


観客席に向かって、指を銃の形にして構える。


バン。


(どう?鉄平。私カッコいいでしょ)


調整試合らしく、すぐに交代が来た。


でも、満足。


体育館の空気。

汗の匂い。

歓声。


全部が、少しだけ楽しい。


人間って、楽しい。


神としてではなく。


一人の少女として。


私は今、

鉄平の世界に立っている。


挿絵(By みてみん)


そして――


物語の結末は、本編にて語られる。


To be continued.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ