79."希望の役者"は舞い戻る・真
"裏太陰"戦は即落ち2コマで行かせていただきます。
(少し時は遡り、"裏玄武"視点)
嗚呼、何度空へ打ち上げられては落とされ、また打ち上げられたカメシュルか……
私達"裏玄武"の栄誉は、まだ終わりでない、そう思いたいというのに……
「「……これで、9度目カメシュルか……」」
そろそろ、意識も途絶えるカメシュル。
……憎いカメシュル。
私達"裏玄武"を倒すであろうあの2人組も……
見下して来た他の式神共も……
……………………………。
………………。
……。
主は絶対、主こそ至高、主の役に立てるならば死ぬ事すら本望……
そう、思っていたカメシュル……
けれど、現実はどうカメシュル?
主の役にも立てず、警備の全貌すら明かせず、ただただ無惨に札へと戻されるだろうカメシュル……
勿論、それが"死"という訳ではないカメシュル。
……しかし、札に戻れば主ナシでは式神に戻れなくなるカメシュル……
嗚呼、死にたくないカメシュル……
もっと、主のために……
「グハハハハ!……どっこいしょ~!」
ードゴォォォォォォォォォン!
「「ゲボッ!」」
……嗚呼……意識が……途絶え……て……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
("裏太陰"視点)
おかしい……
確かに最初から勝率は0だった……
けれども、この未来は想定外だ!
「"裏騰虵"と"裏勾陳"が寝返り、"裏玄武"がこうも早く負けるなんて……ボク様はこんな未来知らない!」
どうなっている!
あらゆる未来を見渡し、仲間の英雄達を勝利へ導いたという"希望の役者"の力だぞ!
なのに、どうして……
どうしてこうも想定外の結果にばかりなるんだ!
「■■■■■……■■■■■■……■■■■■」
「……何より、どうしてボク様が圧されてる?」
何も上手く行かない。
ここへ突入する前に見た最良の未来へ導く様に、行動した筈だった。
最終的に敗北しようと、警備の信頼は失墜させるぐらいなら出来る筈だった。
しかし、結果はどうだ?
"裏騰虵"と"裏勾陳"は寝返り、"裏玄武"はこんなにも早く倒された。
加えてボク様は、本気を出したらしいエレジー相手に避けるので精一杯。
奥の手の【風が吹けば桶屋が儲かる】も思う様に発動しない!
……見事なまでの、惨敗だ。
「■■■■■……【雷息】……」
ーバチバチバチ……ドゴォォォォォン!
「うぎゃっ!?」
……無力化出来ない。
この力は、あらゆる未来の可能性を見渡す力。
故に、あらゆる攻撃の可能性が見えてしまう!
次はどの選択肢だ?
どの分岐だ?
どの技だ?
分からない。
分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない……
「■■■■■……■■■■■!」
ーガシッ!ドザザッ!
「くぅっ!」
ああ、思いっきり手掴みで捕まった。
どうしてだ?
これまでは、狙った未来が見えていた。
見る未来も絞れていた。
だが、今は違う。
あらゆる可能性が見え、あらゆる可能性を考慮し、あらゆる可能性に直面している……
……エレジー1人、御し切れない。
何なら、今は奴に掴まれて文字通り手の中だ。
「■■……所詮は模倣した付け焼き刃、あの人みたく使える訳がないのでございますね……ふぁ~」
「くっ……ボク様相手に、油断が早いね……」
……ハッタリだ。
ここからボク様が逆転可能になる未来が見えない。
何がこれまでと違う?
どうして最良の未来が見えなくなった?
……何だ、この違和感は。
「ふぁ~……分かりやすく目の前にぶら下げられた人参にしゃぶりついたツケでございますよ」
「は?……何を言ってるんだい?」
分からない。
目の前にぶら下げられた人参?
誰が誰に、ぶら下げたって?
何を『へぇ~、エレジーは相変わらず賢いというか何というか』言って……へ?
あれ、今誰が何って……
「……本当に、力を模倣した程度でアレになれると思っていたのなら脳内お花畑でございますね」
エレジー、何を言っているんだ?
確かにボク様は見る未来を絞っていた!
………否、どうして絞れた?
よく考えればおかしな話だ。
力を全て解放しなければ、呑まれずに済む……
この力は、本当にそこまで融通の効く力だったのか?
分からない。
分から
「『あ~あ、こうなったらボク様も【人神変化】をするしかなさそうだね』」
………え?
今、口が勝手に……動いた?
って、待て!
"裏太陰"の【人神変化】がもたらす影響は、模倣した力の全解放!
間違っても発動させてはいけない、禁忌の力!
「ん?……いい加減、面倒なんで諦めて欲しいんでございますけどね~……」
違う!
今のはボク様……いいや、私の言葉ではない!
辞めろ、辞めろ、辞めてくれ……
「『いや~、今回の器は救いようのないクソ下衆みたいだから、ボク様も罪悪感を抱かずに済むよ~』」
「………………おや?」
エレジー、私を助けろ!
私が私でなくなる前に、この過去の亡霊を今すぐ討ち滅ぼしてく
「『はいそこ~、無駄に抵抗しないでボク様に大人しく体を明け渡してね~?……という訳で【人神変化】さ!』」
「っ!?」
ーぶわっ!
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
き、記憶が溢れる!
あらゆる分岐、あらゆる場所、あらゆる可能性!
その全てが見える、見えてしまう!
駄目だ、脳で処理し切れない!
記憶が潰れる、脳が焼き切れる!
もう辞めてくれ、私の記憶はーーーーーーー
……………………ははっ!
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(エレジー視点)
【人神変化】とやらを展開した"裏太陰"は、それまでの人形形態と同じ容姿をした人間へと姿を変えたのでございます。
……その容姿は、完全にかつての"希望の役者"と瓜二つでございました。
「ふぁ~……で、非常に面倒に思いつつ聞くのでございますが……貴女はどちらでございますか?」
「ん~?……ボク様はボク様、"希望の役者"さ!」
「あ~……式神、呑まれたんでございますか~」
「あ、エレジーも久しぶりだね。……ボク様、この世に帰還完了さ!」
……ああ、やはり。
そもそも"裏太陰"とやらが、あの異能を制御し切れていると自負していた時点で怪しく思ってはいたのでございますが……
……運命がそうなるように仕向けていた、と。
それはまた、面倒臭いながらも絶対に無視出来ない事実でございます。
「ハァ……本当に、貴女は何なのでございますか?」
「ボク様かい?……ボク様はこの世に蔓延る運命そのものであり、同時に【未来予知】という異能の意思そのものでもあるのさ!」
「それで、今回の器はその式神でございますか~」
「ピンポンピンポン正解さ♪……この肉体、ただの人間だった前回よりボク様の役に立ちそうだ♪」
ふ、不安でございます……
一応旧知の仲ではございますが、緊急事態でもない限りはこれと関わりを持つのは悪手そのもの。
……持て余すのが目に見えているのでございます。
と、そんな時でございました。
『はっはっは!……終わったでございます!』
『ひっ!……終わったでございます……』
『グハハハハ!……何とかなったぞぉ!』
『ギヒャヒャヒャヒャ!……報酬は明とのイチャイチャを所望するからなぁ!』
他の持ち場からも、侵入者への対応完了の報告が入ったのでございます。
確かに、"裏太陰"も各式神について狼狽えていたでございますか……
……そういえば面倒臭いでございますが、寝返り云々についてフレイヤとアイシャに聞かなければならないでございますね……
「ねぇねぇエレジー、今どんな気持ちだい?」
「……面倒なので猫の手も借りたいでございます」
ージ~ッ……
「あ、うん……ボク様も後処理手伝うよ」
「ありがたいでございます~」
そうして後処理について頭を抱えつつも、今回の侵入事件は大事になる前に処理を済ませられたのでございました……
とはいえ、後の事を考えると憂鬱でございます……
ご読了ありがとうございます。
"希望の役者"は、あらゆる未来を見た末に"裏太陰"の意思を乗っ取るのはこのタイミングが最適という結論に達していました。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




