44.ゲーム仲間との夜
今更ですが……この作品に出て来る"パンジャン選手権"で元ネタの人から訴えられない事を祈っています……
(明とエレジーがS○Xしてるとの同時刻、??視点)
「さ~て、ようやくのお楽しみタイムだアル~!」
ーブゥゥゥン……
……諸々の面倒事を終えて隠れ家に帰って来た私は、そう言ってとあるPCゲームを起動したアル。
ほんと、最近は色々あったアルな~。
……ぶっちゃけそんな諸々の騒動も楽しいっちゃ楽しいんアルけど、何だかんだこのゲームも辞められないんアルよな~。
「……って、Dizecordに通話のお誘いが入ってるアル!」
基本的に、このゲームは個人で遊ぶのが主な遊び方アル。
個人で兵器を製造し、そのスペックでミッションをこなす……
それだけのゲームだった筈アル。
……そんなゲームに衝撃が走ったのは4年前……
あの日、第1回パンジャン選手権が開催されたんアル!
暇潰しにネタ枠として参加した私は、他の参加者のガチっぷりに驚かされ、楽しまされ……そして、ある凄腕プレイヤーのパンジャンドラムさばきに魅せられたアル。
そして、その凄腕プレイヤーこそが……
ーポンッ
『あ、繋がったのです!』
「……これはこれは、第1回パンジャン選手権から現在まで4度もパンジャン選手権で優勝している"喝采のshadow flower"から通話がかかって来るとは思わなかったアル!」
……このプレイヤー、"喝采のshadow flower"という通り名で呼ばれる"shadow flower"だったアル。
『それはこっちの台詞なのです!……第1回パンジャン選手権から、一貫してネタ枠として笑いを届けて来た"芸術のhu-ran"さんが通話に応じてくれるとは思わなかったのです!』
ちなみに、私の通り名に付いてる"芸術"は、毎回ネタ枠のパンジャンドラムで参加する私に対して尊敬の念を込めて付けられたらしいアル。
……ほんとに尊敬してるアルか?
とまあ、そんな事を思いつつも私は謙遜染みた返事をするアル。
「私はそんな大したプレイヤーじゃないアルよ」
『そんな事はないのです!……とはいえ、最近はあんまり活動してなかったのですね?』
「あ~……最近、カミラ……とある同僚が恋の成就のためとかいう理由で電撃退職したり、別の同僚がヤバい商売してるのを調査したりで大変だったんアルよ~」
『ん~?……後者はともかく、前者は最近聞いたのですが……まさか、いやでも……』
おっと、どうやら"shadow flower"も最近似た様な事があったらしいアルね~。
「何か、そっちも大変アルね~」
『……念のため……もし失礼だと思ったら縁を切っても良いというのを前提に聞くのですが……』
「いやいや、大袈裟アルよ……」
『……"hu-ran"さんって、"異能の夜明け"の幹部なのですか?』
「っ!?」
えっ!?
な、何をどうしたらそこに行き着くんアル!?
『……いいや、違ったらごめんなのです……でも、最近恋愛を理由に辞めた同僚って聞いてもしかしてって思ったのです……それに加えて名前もカミラから始まるとなると……』
「それだけでそんな結論を……」
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
私は馬鹿アルか!
いくら憧れのプレイヤーと話してたからって、知られたらマズい言葉をポロッと喋っちゃうとか!
しかも物語で例えたら引っ張りに引っ張った後じゃなくて最序盤で!
『……で、どうなのです?』
「ふぅ……ハズレに決まってるアルよ!」
『そ、そうなのですよね……』
「そうアルそうアル!」
せ、セ~フ!
何とか誤魔化せたアル……
『なら、不快になる発言をした私とは縁を切って貰って大丈夫なのです……』
「いやいや、切らないアルよ!?」
『え?……ハズレだったら普通に不快に感じる筈なのですよ?』
「いや、えっと……その程度で不快になる程、私の心は狭くないアル!」
『あっ……そうなのですね』
や、ヤバいアル……
誤魔化すのが大変アル……
「そ、そそそそういえば"shadow flower"はもう今度の大会用のパンジャンドラムをとっくに完成させてるんアルか?」
『ん~?……まだなのです。……流石に今回は5度目の優勝がかかってるのもあって、慎重に作らざるを得ないのです……』
「そうアルか……」
『そっちこそ、どうなのです?』
「私アルか?……私は今回も変わらずネタ枠で参加するアル!……ただし、今回はちゃんと戦えるネタ枠で行くつもりアル!」
……今回の第5回パンジャン選手権、私は優勝だって狙うつもりで居るアル!
そして優勝した暁には、"shadow flower"に告白だってするつもりで……
『へぇ~、意外なのです』
「そりゃ、いつまでも戦いを放棄したネタ枠を続けてたら、戦えるネタ枠ってものも見せたくもなるに決まってるアルよ!」
歴戦の猛者が集まる今回のパンジャン選手権……
絶対に勝って、華麗に告白を……
告白……そういえば、"shadow flower"って恋人とか旦那とか居るんアルかね~?
……念のため確認しとくアルか。
『……どうかしたのです?』
「ちょ、ちょっと雑談なんアルけど……"shadow flower"って、恋人とか旦那とか居るんアルか?」
ど、どうアルか?
『居ないのですが?』
「そ、そうアルか……」
よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
今ならカミラエルの気持ちが分かるアル!
もしワンチャンあるのなら、隠れ蓑の組織なんかよりも恋を取るアルよな!
『あ、でも……』
「ん?」
『最近言い寄って来てる奴等は居るのです。……1人は全てが完璧なイケメン男子、もう1人は元"異能の夜明け"幹部の吸血鬼少女なのです』
「ブフォ!」
前者はともかく、後者の特徴ってモロにカミラエルじゃないアルか!
よりにもよって、お前が恋した相手って"shadow flower"だったんアルか!
ただまあ、さっきカミラエルの名前に反応しかけたところで気付くべきだったんアルけど!
『確かに、普通の反応として驚くのは分かっていたのです』
「……ちなみに、その2人からのアプローチはどうしてるんアルか?」
『アプローチ……今でこそ2人からのアプローチを華麗にスルーしつつも玩具にして遊んでるのですが……いずれは玩具にしてる責任を取りたいと考えているのです……』
「……そう、アルか……」
完璧イケメン男子に、カミラエル……
その2人からのアプローチを歯牙にもかけず玩具にするとか……
そのくせ、責任だけは取るとか……
……これ、私に勝ち目あるんアルか?
そう思っていた時だったアル。
『……勿論、"hu-ran"さんに対しても責任を取るつもりはあるのです……』
「ふぁっ!?」
せ、責任って何のアル!?
『私を見くびらないで欲しいのです!……これでも私は超絶ブラコンの姉と共にこの人生を歩んで来た身なのですよ?』
「それが何アルか!」
『……人の好意だったりを発言の抑揚なんかから察するのは朝飯前なのです!』
「……っ!」
つまり、"shadow flower"は最初から私の好意に気付いて……
『ついでに、さっき"異能の夜明け"関連の話で慌ててたのも気付いてたのです』
「……ははっ……とんだお笑い草アルね……」
最初から全部、気付かれてたんアルね……
『……さあ聞かせるのです。……いったい、貴女は何者なのです?』
「……"異能の夜明け"の"No.6"、胡蘭アル。……組織では穏健派寄りの中立に属してるアル」
あ~あ、これを言ったら絶対もう2度と遊んでくれないアル……
責任だって、こんな嘘つきに対して取る訳が……
『そうなのですか……じゃ、疑問も解決した事なのですし、別の話でもするのです』
「ハァ?……え、まだ遊んでくれるんアルか?」
『遊ぶし話すのですよ?……確かに、過激派だったら縁を切るのも考えたのですが、穏健派寄りの中立ならカミラエルとそう変わらないのです』
「そ、そうアルか?」
『それに……"hu-ran"さんが悪い人じゃないってのは私がよく知っているのです!』
「……"shadow flower"……」
『後、本名も伝えておくのです。……私の名前は禍津 影華……我が道を行く兵器オタクなのです!』
「……影華、アルか……良い名前アルな……」
本当に、私の憧れた人は豪快で心が広くて……面白い人アルな……
その後、私と影華は一晩中通話しながらゲームで各々のパンジャンドラムを製作して、パンジャン選手権に備えたアル……
……って、私はこれで良いんアルかな~?
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