42/58

42.学校への帰還

エレジーは今回、発情しっぱなしです。

(禍津　明視点)

あの騒動から数時間後……

「よ、ようやく学校に帰って来れた……」

「あへへ♥️……さあ、性夜の始まりでございますよ～♥️」

……あの後は警察から事情を聞かれたりして大変だった。

幸いにも、金世達は大人しく警察に捕まってくれたんだが……大人し過ぎてちょっと不安になるレベルだった。

とはいえ、その先に俺が関わる義理もねぇし、これで良かったんだと納得する事にした。

「……そういや、結局調査はあれで良かったのか？」

「ええ♥️。……しっかり麻薬売買の証拠も押さえたのでございますから、"道化仮面(ピエロ・マスク)は"もう"異能の夜明け"には居られなくなるのでございます～♥️」

「そうか……」

「ささ♥️……そんな事より早く性夜を……」

……騒動終結から、エレジーさんはずっとこんな感じだ。

俺とS◯Xをしてぇと言わんばかりに、積極的に誘って来やがる。

これで恋慕がねぇのがマイナスだが……

と、そんな時だった。

「うげっ！……兄さん、今度はその人……人？……を恋人にしたのですか？」

「影華……それは事実だが、いきなり嫌そうな反応したな……って、そういやゲームに集中するって言ってなかったか？」

俺達は、影華と遭遇した。

「アイデアが行き詰まったので、夜風に当たっていたのですが……まさか、その……誰なのでしたっけ？」

「エレジーでございます～♥️」

「……吸血鬼のエレジーを恋人にするとか、兄さんはもっとマトモに恋人作れないのですか？」

「うっ……」

た、確かに……

１人目はこの世界じゃ認められているとはいえ実妹。

２人目は女装男子。

そして３人目にこれだもんな……

影華が呆れるのも分かるってもんだ。

「あ、それと……他の皆に会う前に、怪我は治しておくべきなのです。……何があったかは知らないのですが、確実に心配されるのです」

「……わ、分かってるよ……」

基本的に影華は、俺に無関心だ。

この忠告だって、巡り巡って自分に面倒が回って来るのが分かってるから言ってるだけだろうし……

「じゃ、私はこれで失礼するのです。……それにしてもエレジーを恋人にするとは……あ、カミラエルを弄るネタが増えたのです！」

……影華はそう言い残し、この場を立ち去った。

本当に、影華はブレねぇな……

そう思っていると……

「お～い、お主等～！……冥堂から話は全部聞いておるのじゃ！」

「今度はラヴィ校長か……」

「おや、丁度良いところに♥️」

今度はラヴィ校長が、俺達の前にやって来た。

「全くもう……ワシが言うのも何じゃが、もっと自分の身を大切にする様に……」

「すみません……」

「あ～♥️……少し良いでございますか～♥️？」

「ん？……何じゃ？」

ラヴィ校長が説教を始めようとしたタイミングで、エレジーさんがラヴィ校長に話を切り出した。

「実は～……今回捕まえた"獄落姉妹"とその子分の半グレを、ここで管理して欲しいのでございます～♥️」

「「ハァ！？」」

エレジーさんの提案は、とてもじゃねぇが信じられねぇものだった。

「あ、別に"吟遊詩人(バード)"は要らないでございますよ～♥️？……あれは完全に手を取れない相手でございますから♥️」

「半グレの方もそうだろうが……」

「そうじゃそうじゃ！」

「いいえ、あの方々は良くも悪くも戦闘の中で各々の快楽を得たいだけの者達でございます～♥️。……なので、狂信者に比べれば御しやすいかと……」

「……それ、最終的に暴走される前フリにしか聞こえねぇぞ」

「ワシもそう思うのじゃ……」

エレジーさんはあいつ等の何が気に入ったのか……

いや、多分実力だろうな。

確かに、金世は半グレ程度に居て良いレベルの実力者じゃなかったが……

それにしたってだな……

「まあまあ、宜しいではございませんか♥️。……私とラヴィ様の仲なのですから♥️」

「……お主と交流を深めた記憶はないのじゃ！」

「とにかく♥️！……あの方々は最悪、武音子様とでも戦わせておけば何とかなるのでございますから、どうか政府にも顔が利くラヴィ様に……」

「うぐぐ……け、検討はするのじゃ！……後、さっきから発情しながら喋るでない！」

結局、エレジーさんがゴリ押ししてラヴィ校長に検討させると言わせる形で決着してしまった。

……俺としちゃ、もう２度と会いたくねぇんだが……

「あへへ♥️……あ、そういえば明様♥️？」

「ん？」

「私を恋人にすると、他の恋人の皆様に伝えなくて宜しいのでございますか♥️？」

「……勿論伝えるつもりだし、結果次第じゃエレジーさんを恋人にする話もなくなるぞ？」

「なっ♥️！？……でもまあ、それも当然でございますよね♥️……」

う～ん……いよいよ、この発情状態がウザく感じて来たぞ……

さっさと話を進めねぇとだな。

「ってな訳でラヴィ校長、光華とアヤノは……」

「こんな時間になっても絶賛特訓中じゃよ。……それと成果はまだ見せたくないから、用があるなら電話でとも言われておるのう」

「そうか……」

直接話せねぇのは残念だが、取り敢えず電話越しに伝えるとしよう。

そう思った俺は、早速スマホで光華に電話をかけ……

『お兄様？……ハァ……ハァ……何のご用でしょうか？』

電話に出た光華の息は上がっており、激しい運動をした後だったと推測される。

「その前に、今大丈夫か？」

『勿論ですよ！……とはいっても、私含め激しい走り込みの果てに死屍累々な状態ですが……』

「……何かすまん……」

『いいえ、お兄様からの電話以上に優先する事なんてある訳ないじゃないですか！』

……うぅ……

ここまで言って貰えた直後に、恋人を増やすつもりとか言えねぇよ……

でも、言うしかねぇし……

「……光華、そこにアヤノは居るか？」

『アヤノ先輩ですか？……それなら私の隣で同じくバテていますが……』

『ん～？……明、ボクに何か用かな～？』

そう答えたアヤノの声もまた、少し疲れが感じられるものだった。

「実は……紆余曲折あって、エレジーさんを俺の恋人にする事にしたんだが……許可、してくれるか？」

俺は単刀直入に、伝えるべき事を伝えた。

なお、その反応は……

『……エレジーさんというと……カミラエルさんのメイドのエレジーさんですか！？』

「そう、そのエレジーさんだ」

『うへぇ……明、ボクに続いて普通じゃない人を迎えちゃったね……』

「……勿論、２人が嫌だと思うのならこの話はなかった事にするつもりだ。……それで、その……」

２人の反応はそれ程悪くなかったものの、まだ油断は出来ねぇ。

……が、その心配は杞憂に終わる。

『私としては構いませんよ。……お兄様の考えが全てですし、私さえ蔑ろにしなければ……』

『ボクも同感かな～……ついでに、ボクより先にエロい事しちゃっても良いよ～』

「……良いのか？」

『良いの良いの！……そもそも、ボクが初体験を怖がってるのも未だにセッ……を出来てない理由の１つな訳だし……』

「……何か、色々と不甲斐ないな……」

俺はこの２人の彼氏としては、結構ダメダメな事しかしてねぇ気がする。

……本当に、不甲斐ない彼氏だな……

「あへへ♥️……では、お言葉に甘えて明様とあんな事やこんな事を♥️……あへへ♥️……」

『……これはアレですね。……酷い時の私ぐらい発情してますね……』

『明、無事に明日の朝を迎えられると良いね～』

……本当に、俺は好かれてるんだよな？

何か軽く流してるが、今の俺って結構ピンチなんじゃねぇか？

……精力的な意味で。

「明様、あまり変な事は考えないで欲しいでございますね～♥️……あ、そういえばお嬢様はそちらに居らっしゃるのでございますか～♥️？」

『居ませんよ。……何でも、秀光先輩と同じ場所で特訓したくないと……』

『あの２人、同じ相手を好きになった上に振り向いて貰おうとしてる好敵手(ライバル)だからね～。……しかもボク達と違って、仲悪い訳だし……』

「……下手に手札を晒したくねぇ、と……」

たかが体育祭で大袈裟な……

……これが他の女子生徒の立場ならそうでもねぇんだだろうが、少なくとも影華は体育祭で活躍したからって振り向く性格じゃねぇぞ……

『……あ、そろそろ次の走り込みを始めないと……』

『じゃ、またね～』

ープツン

「あ、切れちまった……」

こうして、愛しの恋人達との通話は切れてしまった。

まあ、許可は取れたし今回はこれで良いだろう。

「では明様、２人で共に眠れぬ夜を過ごすのでございます♥️」

「……そう、だな……」

そうして俺は何も言い返せぬまま、エレジーさんによってヤリ部屋へと連行された。

……ちなみに、そんな俺を見るラヴィ校長の目は憐れみで満ちていたのだった……

ご読了ありがとうございます。

性に関する事って、どのレベルの単語まで書いて良いんでしょうか……

気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。

後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。