19.影華vsカミラエル
この世界における兵器の扱いは、弱い異能力者でも強い異能力者と戦える武器……といった感じです。
(禍津 影華視点)
「さて、返事を聞かせて貰うザマス」
こ、こいつ……どう考えても強いのです……
……というか、"異能の夜明け"の"No.9"が私を勧誘しに来るって何なのです!?
とはいえ……
「……お断りなのです!」
勿論、私の答えは拒絶だったのです。
ただ……
「そうザマスか……まあ、ここまでは想定内ザマス」
「……そ、想定内?」
勧誘を断られるのが想定内なら、何が目的なのです?
「こほん!……それならせめて、私のメイドになって欲しいザマス!」
「……それもお断りなのです!」
な、何を言っているのです!?
私にメイドをしろなんて……って、こいつの目……
よく見たら光華姉さんが兄さんを見てる目を更に気持ち悪くした様な目をしているのです。
こいつ、私相手に完全に病的なまでの恋をしているのです……
「……こ、これも想定内ザマスが、いざ断られると衝撃が凄いザマスね……」
「お前……私に恋してるのです?」
「……やっぱり気付くザマス?」
「寧ろ、これで恋じゃなかったら逆に怖いのです」
ほんと、何で私に恋する奴が現時点で2人も居るのです?
しかも、2人目がこれって……
これに比べたら秀光先輩の方が良いのです!
と思っていると……
「ハァ……平和的な勧誘は失敗、ザマスか……かといって、実力行使で捕まえても虚しいだけザマスし……催眠も同じく虚しいだけザマスね……」
「……言ってる内容がいちいち怖いのです!」
……って、相手のペースに呑まれちゃ駄目なのです。
ひとまず、相手の出方を疑って……
「……うん。……ここで私と影華が戦って、影華が勝ったら私は大人しくお縄につくザマス。……ただ、影華が負けたら……今後もアタックは継続するザマスからね!」
……何かバトル展開来たのです!?
というか……
「ん?……そこは従わせるんじゃないのです?」
「心が通じ合ってない状態で手に入れても、虚しいだけザマス……」
「よ、よく分からない奴なのです……」
私が好きで過激な手段もとるのに、私と心は通じ合わせたいって……
虫が良すぎるのです!
「それじゃあ、何処からでもかかって来るザマス!」
「何か納得行かないのですが……ここは取り敢えず、【兵器錬成】からの【吸血鬼抹殺銃】2丁なのです!」
"吸血鬼抹殺銃"こと"シルバーバレット・ピストル"は今期放送中で覇権確実の人気アニメ、"吸血鬼ハンター 染宮 和夫の日常"に登場する吸血鬼ハンター全般武器なのです。
そもそも、このアニメは渋い中年吸血鬼ハンターの染宮 和夫に弟子入りした主人公の見習い吸血鬼ハンター、血祭 紫舞季が四苦八苦しながら一流の吸血鬼ハンターを目指すストーリーなのですが、この染宮 和夫の銃の腕がまた凄くて……って、今は関係ないのです。
とにかく、そんな銃を2丁出してする事は……
「ふむ、そう来るザマスよね……」
「死ぬのです!」
ーバン!バン!バン!バン!
私は構えた2丁の"吸血鬼抹殺銃"の狙いをカミラエルとかいう奴に定めて引き金を引きまくったのです。
ちなみに、こいつ等の異能は普通に公開されているので、"No.9"と聞いた時点でこいつの異能が吸血鬼関連なのは把握していたのです。
なのに……
「……やっぱり、火力不足ザマスね」
「な、何で……何で無傷なのです!?」
銃から発射された銀の弾丸は、確かにカミラエルに着弾した筈なのです。
でも、その傷はすぐに塞がった上、銀の弾丸も体外に押し出されてしまったのです。
「その銃が出るアニメは私も知ってるザマスが……私の強さをその作品に出て来る敵で表すと、低くても最高幹部クラス、下手すると首魁クラスはあるかもしれないんザマスよ?」
「なっ……」
この銃は、あくまでも吸血鬼を殺せる武器というだけで、当てた相手を確実に殺せる武器ではないのです。
特に、アニメやその原作となった漫画では、最高幹部クラスの吸血鬼は銀の弾丸が当たってもピンピンしてたのです……
「……それにしても、まさかもう空想上の武器まで錬成出来る様になってたとは……やはり欲しいザマスね~」
「うぐぐ……それなら【兵器錬成】、虎の子の【吸血鬼抹殺回転式多銃身機関銃】なのです!」
ーガガガガガガガガガガガガガガガガ!
"吸血鬼ハンター 染宮 和夫の日常"に登場する武器の中でも屈指の破壊力を誇る武器。
そんな銀の弾丸が装填された手持ち式のガトリングガンで、私はカミラエルを蜂の巣にしたのです。
……ただ、私も分かっていたのです。
「う~ん、火力は高くなったザマスが……まだまだ私を殺すには足りないザマスね。……でも、再生だって体力使うザマスから、このまま攻めれば私を体力切れにだって追い込めるザマスよ?……とは言っても、体力はまだ全然あるザマスが……」
ージュクジュクジュク……
「こ、これでも駄目なのですか……」
体力切れ?
絶対無謀なのですし、何よりカミラエルは1度も私に攻撃していないのです。
……つまり、厳しいのです。
「……そろそろ、私も攻めるザマスかね~」
「っ!?……ふぅ……こういう時は1度頭をリセットするのです。……【兵器錬成】、【パンジャンドラム】3台なのです!」
ーガラガラガラガラガラ!
「っ!?……まさか、ここで英国の珍兵器を出すとは思わなかったザマス!」
"パンジャンドラム"……かつて英国が戦争にて使おうとした兵器。
地上を疾走するロケット推進式の陸上爆雷と聞けば聞こえは良いのですが、欠点として狙った場所に行かない上、途中で横転する等の問題点ばかりで実戦投入される事はなかったという英国が誇る珍兵器……
英国淑女が考えた兵器はどれもこれも酒……いや、紅茶をがぶ飲みでもして考えたのかと言いたくなる兵器ばかりなのですが、不思議と変な方向のロマンは感じるのです……
……そんな"パンジャンドラム"なのですが、いくら問題点ばかりでも陸上爆雷である事に変わりはなく、当然3台もあれば……
「さあ、爆発するのです!」
ーガラガラ……ガシャガシャ……ドカァァァァァン!
「うごっ!?」
「うっ……」
3台の"パンジャンドラム"はお互いにぶつかり合いながら疾走し、やがてカミラエルの前で大爆発を起こしたのです。
当然、カミラエルも爆発に巻き込まれたのですが……
「げほっ!げほっ!……こ、この程度で私を倒そうなんて100年はや……」
「オマケに"吸血鬼抹殺回転式多銃身機関銃"なのです!」
ーガガガガガガガガガガガガガガガガ!
「ちょっ!?……激しいザマスよ♥️!」
「誤解を招く言い方は辞めて欲しいのです!」
カミラエルは爆発に巻き込まれた上に現在進行形で蜂の巣にされてる筈なのですが……その顔は恍惚とした表情を浮かべていて、撃たれた直後に再生させては撃たれて……を繰り返していたのでした。
「ふふふ♥️……まだやるザマスか♥️?」
「……敢えて手を出さない事で、完全に私の心を折るつもりなのですか……」
「そうザマスね~♥️……で、どうするザマス♥️?」
「まだまだ足掻くのです!」
……とは言ったものの……
多分、どうやっても今の私じゃこいつに勝てないのです。
ならどうするかと言えば……
「【兵器錬成】、【パンジャンドラム】5台なのです!」
「またパンジャンザマスか!?」
考えが煮詰まったら、英国の珍兵器で考えをリセットするのです!
「さあ、爆発するのです!」
ーガラガラ……ガシャガシャ……ドカァァァァァン!
「……ゲホッ!ゲホッ!……だから、効かないザマスよ!」
「分かってるのです!……でも、どうせ勝てないなら最大限楽しみたいのですよ!」
勝てないなら、楽しむだけなのです。
それにこいつ……いや、カミラエルが何だか面白い奴に見えて来たのです。
それなら、恋愛的なアタック継続に関しては認めてやっても良いのです。
「分かっていたザマスが……良い性格してるザマスな♥️!」
「さあ、どんどん玩具にしてやるから覚悟するのです!」
そうして、私はどんどんカミラエルに向けて珍兵器を出しまくるのでした。
……あれ?
何か忘れてる様な……
ご読了ありがとうございます。
この世界にもパンジャンドラムはあります。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。