ハムスターってどんな生き物?
吾輩はなんであろうか? たぶんハムスターである。と思う。
そもそも、吾輩がなんであるかなど、吾輩にはあまり興味がない。
主人曰く、ジャンガリアンハムスターだということらしい。何でも中国のジュンガル盆地に生息していることが名前の由来だという。別名はドワーフハムスター。小さくて可愛い仕草から、そんな名前を頂戴したのだとか。
ドワーフというのは、北欧神話に登場する小人である。男女ともずんぐりむっくりした頑健な体を持ち、鍛冶や工芸といったものに高い技能を持っているのだそうだ。ふつう、男は長い髭をたくわえているらしいのだが、吾輩のヒゲとは見ためも性能も使い道もかなり違う。ちなみに吾輩は雄である。
とまあ、色々と説明してきたのであるが、大体において、吾輩はあんまりおつむがよいほうではない。そんな吾輩が漢字を使って難しい話をすること自体大変なのである。ということで、これからはボクといわせてもらおう。生来、ボクは堅苦しいことをあまり好まないのである。
率直にいえば、ボクは自分のことを語ることに、全くといっていいほど興味がない。しかし主人がそれを望んだので、嫌々ながらそれに応えているということだ。従順さというボクがもつ性格の賜物である。
ボクがありのままに自分の言葉で話すとどうなるのか? それを表現するのには少々骨が折れる。恐らく君たちには、その苦労がどれ程なのかなど、想像もつかないだろ。
ぶっちゃけていえば、ボクは自分という存在を認識していないからだ。同様に他人という存在も認識していない。そんな風だから、あるがままに語るとこうなる。
うーむ、お腹が空いた。何か食べないと力がでないぞ。
んが、これは苦い、もしかしたら体に悪いかもしれない……。うっへ、これは酸っぱい。これを食べたらお腹を壊すんじゃないかな……。お! これは甘いぞ。美味しい美味しい。よし、倉庫にたんまりしまっておこう。
この人が立てる音やニオイは好き、でもこの人の出す音とかニオイって嫌だ。
なんだか奇妙な感じがしてじっとしていられない、えーい走り回ってしまえ。えーい、齧ってしまえ。
そして、なんだか眠いなー。おつむがポワーっとして、体が妙に軽くなって力が抜けてゆく感じがする。なんだか気持ちがいいぞ。これをありていに言えば幸せだなーということであり、そういった風に物事を直感するだけなのだ。
この感覚を上手に説明するのは、とってもとっても難しいのである。
好きというのは違う。つきつめていえば楽しい。安心するニオイがする。これが一番スッキリとくる。
嫌いというのも違う。恐いというのが、ボクが嗅ぎとる感じに最も近いのだ。この気持ちが強くなると、ボクは噛みついてやりたくなる。あるいは、その場から逃げ出したくなるのだ。
同じように、走り回ってしまえというのも、ボクからしたら必ずしも適切な表現ではない。ボクのニオイがしないから、じっとしていられないとか、ここじゃないところにきっとボクのニオイがあるぞ、といった感覚なのだ。
まあ細かいことは良しとしよう。それがボクの長所なのだから。
なんだか話しつかれたせいか眠くなってきたぞ。よし、少し眠るとしよう。




