第7話
ロックは片山が好きなので、あたしも最近一緒に聞くようになっていた。
こんな事でも時間を共有できるってうれしい。
なんとなくおだやかな時間。
彼おすすめという曲は実はうわの空になっていてあたしはさっきから片山のことばかり見ている。
おでこから鼻筋にかけてのきれいなラインを目で追い、音楽に聞き入って無防備なその横顔をずっと見ていたいと思っていた。
そして引き寄せられるように、歌詞カードに気をとられている片山の顔をぐいと引き寄せてあたしから静かにキスをした。
くちびるをそっと離すとその目をじっと見つめる。
そして、それは合図になる。
「目閉じて」
片山はキスをする時にはいつも言う。
あたしの目が開きっぱなしになってるのが気になるようだった。
それでもあたしはなおも見つめ続ける。
あたしを見て。あたしだけを。
それこそ片山の目に穴があくと思う程見つめる。先輩たちに言われたように睨めつけると言ってもいい。
先に反らしたのは彼だった。片山の大きな手があたしの視界を遮り、目隠しのような状態になってそれからゆっくりと、開いたままのあたしの唇を塞ぐ。
そのままゆっくり倒れ込んだ。
なんで?
なんで見ようとしないの?
それまで肩にそえられていた手が、さりげなく服の上から胸に触れた。
思わず全身に力が入るが、ここで動揺して無理してると思われたくない。
必死でその動きを受け入れていると、今度は服の裾から入ってきた手が直接肌に触れた。
彼の指先はひんやりしていて、自分でも鳥肌が立ったのがわかった。
緊張してるのが絶対にバレた・・恥ずかしい。