第6話
このごろ片山はかまってくれない。
本命の彼女の相手に忙しいのか、メールの返事もあったりなかったりという日が続いていた。あたしの事はもちろん彼女には内緒にしてるだろうし、バレないようにうまくやるのはそりゃ大変か。
・・なんて人事のように思ってしまうのもこの状況のせいかもしれない。
今からこんな擦り切った考えになっていて、いつかちゃんと一人の人と恋愛をするときに純粋な気持ちで向き合えるものだろうかと思ったりする。
あたしたちにはまだキス以上のことはない。
彼女の存在を知った上で近づいたのは、身体だけの関係でもかまわないという意味も含んでの事である。
少なくともあたしはそのつもりだった。
だから直接口にはしなくても、早くしてくれればいいのにといつも思う。
今以上の関係に進まないのは片山が後ろめたいからなのか。
彼女に対して?たぶんあたしにも。
なんだか言い訳を作っているようでズルい。
あたしはあたしの思うように行動してきた訳だし、彼女に対して後ろめたいとか申し訳ない気持ちになるのは片山だけでいいのである。
そうだ、何も卑屈になることはない。
長い廊下はまっすぐと、遠くに生徒たちの笑い声が響いている。いつもの階段で片山と並んで座っている。
踊り場の小さな窓から入る日差しが、二つの影を階段に映している。
あたしのピンクのイヤホンを片耳ずつ分けて、なんとかっていうロックバンドの曲を聞いていた。




