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第5話

「あたし、片山の前ではいい女なの」

いい女って言っても、都合のいい女だけど。


「その、お前らってつまり・・」

机を挟んで向かいに座っていたクラスメイトの柳が、言いにくそうに口ごもる。

さっきからあたしのお菓子を遠慮もなく食べまくっている柳優一というこの男は、親友?とまではいかないけどけっこうなんでも話せる仲だ。

ウワサ大好きで口の軽い女の子たちよりよっぽど話しやすい。

だからなにかというと二人でつるんでいる訳だが、周りからはあたしと柳が付き合ってると思われていそうだ。


彼が言わんとしている事はすぐに分かった。

ヤっているかヤってないか?


今クラスではその手の話題であふれている。

ちゃんとした彼氏がいて経験済みの子はまわりの子たちからたちまち質問攻めとなる。

そこへきて彼女のいる男と付き合っているあたしなんかは格好の興味の対象となるわけである。

隠していても、ウワサになっているのにはさすがに後ろめたい気がした。

片山を気遣うつもりではないが、興味本位な彼女達の目をごまかすのも随分うまくなったと思う。


柳は唯一、あたしの相手が片山だと知っている人物だったが、彼も例外なくそれが気になるみたいだった。


実を言うとあたし達はまだ一度もそういう事をしていない。

「まだだよ」とだけ言ったら、あからさまにホッとした顔をした。

あたしがそれをじっと見ていたのでバツが悪くなったのか、不意に


「こんなとこにニキビがあるぞ」


と、二日前くちびるの横にできたマヌケなニキビを指さして言った。

あたしが無言でそのニキビを潰してみせると彼はあっと声をあげた。


「潰したら跡になるだろ」


そんな事知ってる。

知っていてあたしはニキビを潰す。

そうしていつも傷が、ニキビが腫れる前に膿をしぼり出すの。



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