宮下パーク
現在東京に滞在しています。今回は所用あってあまり自由になる時間はなく、建築巡りはできていませんが、前から見たかった渋谷の宮下パークだけは見に行けました。久々にこれはいいなと思える建築でした。宮下公園は渋谷にありながら、薄暗い浮浪者で溢れているイメージでした。これを多層化して最上部を公園にし、下部にお金を落とす店舗を入れることで、多分運営管理や保守のお金も自ら生み出すという狙いだと思います。きれいに整備された公園部分には、昔のネガティブな部分のイメージは残っていません。
渋谷ではもう何年もの間、再開発の工事が続いています。その殆どは高層ビルです。以前から思っていましたが、街全体で無料で休憩するスペースが少ないのは相変わらずです。ベンチはほんの少しだけ存在しますが、完全に需要が供給を上回っているので、深夜でもない限り座ることは出来ません。若者が地べたに座る文化ができてしまった背景にはそういった部分もあったかと思います。
行政側は、座るところを増やすのではなく、座る事を禁止する方向に動きました。そうしてカフェなどはまぁそれなりの金額を出さないと入れないので、お金のない人は行き場を失います。これは東京に限った話でもなくて、福岡の再開発の現場でも同じことを感じてます。
しかし宮下パークは違いました。まずもって建物としては低いです。公園だとすれば高いかもしれません。4階部分が公園になっていて、健常者であれば自分の足で一番上まで登って行けます。そこには緑とベンチが溢れています。人工芝ですが、地面(4階ですが)に座れるスペースすら用意されています。自販機で安く飲料を買って、芝生に座ってそれを飲むという、当たり前のことが当たり前にできます。
1階部分は車の入らない歩行者専用の通路があって、それに面して鉄道のガード下を思わせる飲食店が並んでいます。屋外に設けられた席は、本物のガード下から溢れた飲み屋の外部席よりも大規模です。ヨーロッパなどでよくみられる風景の日本版と言った趣です。
そうして建物のアプローチが贅沢です。太い通りから建物に向かうところで、建物の全体構成が目に入ります。先ほどの猥雑なガード下的な風景と、4階建ての各フロアに繋がる大階段。最上階の緑とそれを覆うフレーム。フレームは長い時間をかけて緑に包まれていく事でしょう(今は半分くらい)。アプローチには掲示スペースと緑地以外は何もありません。地価の高い渋谷という場所に、何も作らない大きなスペースを設けるというのは最高の贅沢です。私が商売人ならそこも多層化して、通路部分の他に店舗スペースも設けてしまいそうです。でもその考え方だと、これでもかというぐらいにフロアを積み重ねた、他の高層ビル群と同じになってしまいますね。
資本原理だけに流されない、公共の敷地であるからこそ可能になる形態だとは思いますが、そこには人々の幸福という観点からの資本主義の限界を感じます。福岡の天神にもこんなものがあってもいいんじゃないかと思いました。




