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異世界でも貴女と研究だけを愛する  作者: 香宮 浩幸
第十章 俺、この戦争が終わったら結婚するんだ
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Ending Weding


教会のステンドグラスから差し込む光に照らされて、ウェディングドレス姿の彼女が神秘的なオーラすらたたえて立っていた。

一瞬、差し込む光で陰になって髪が黒く見えた。たったそれだけで彼女の前世の姿を幻視した。


「クライス様?」

「……少し見惚れていただけだよ、ユーフィリア」


俺の様子に不安そうに声をかけてきた詩帆にそう返すと、彼女は薄く頬を染めて微笑む。


「そういうセリフは、二人きりの時にしてください」

「わかってるよ」


彼女の手を取って、司祭役の教皇陛下の前まで進む。一度、彼女とともに参列者の方を向き、一礼をする。そこには国王を始めとした閣僚陣がずらりと並んでいる。自分の家族は勿論のこと、友人たちも多数参列している。そこは純粋な祝福の感情で満ちていた。


前世の結婚式は絶望の中、彼女に生きる希望を持ってもらおうと開いたものだった。様々な事情からまともに人も呼べなくて、こじんまりとした小さな教会で、家族とわずかな知人の前で彼女に愛を誓った。


今度は、これ以上ない希望の中で、これからの未来を彼女とともに生きていく決意のための儀式だ。


「汝、ユーフィリア・フォルト・フォン・グレーフィアは、クライス・フォン・ヴェルディド・フィールダーを夫とし、生涯愛することを誓いますか」

「はい」


満面の笑みでそう宣言する妻は、世界一綺麗だった。


「汝、クライス・フォン・ヴェルディド・フィールダーは、ユーフィリア・フォルト・フォン・グレーフィアを妻とし、生涯愛することを誓いますか」

「それは勿論、この魂が朽ち果てるその日まで、何度肉体が果てようと彼女を愛することを誓いましょう。彼女が命果てたときは、黄泉の世界から奪い返してでも」


俺の宣言に教皇陛下は苦虫を噛み潰したような表情をしかけて、笑顔を保っていた。参列者席に目をやると、各々あきれたような表情を浮かべていた。

だけど、これが俺の信念であり、生きる理由の最たるものなので、これを誓う場ならこれくらいは言わせてもらう。


「クライス様」

「誓いの言葉を遵守しなくてすまな……」


きっといつものように詩帆も呆れたような顔をしているだろう。そう思いながら彼女の方に向き直る。


「謝る必要なんてないですよ。だって私達は、それを実践したから、今、この場所で誓えるのでしょう」


詩帆はこの世の幸福を全部煮詰めたような甘い微笑で俺を見つめていた。ああ、敵わない……


「詩帆。好きだ」

「私も大好きですよ、雅也さん」


遠い空の下。僕と貴女は再び祝福に包まれて誓いあう。

僕はたとえ、何度死のうと、どんな世界に行きつこうと、貴女を愛する、そう心から思えた。

これにて、2017年から続いた本作は一度完結とさせていただきます。

仔細は、活動報告にて語らさせていただきます。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます

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