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エピローグ

今、私は領主館で静養している。

エイリックの子どもを産んだばかりで、我が子と一緒に産後の休養をしていた。

可愛い赤ん坊が、私の傍ですやすや眠っている。


「エイリックのように背が高くなれたらいいわね」

《どんだべな。サクラさ似れば、おがらねびょん》

「朱雀……そんなこと言わないでよ」


二時間おきにお乳を与えるため、満足に熟睡できなくて、少し疲れ気味だった。


《サクラ。次は女の子が良いな。早く次を生んでよ》

「ポンタは簡単に言わないで。夜も碌に眠れないし。子どもを生むのよりも育てる方が大変なんだって……」

《いいじゃんか。ボクがちゃんと面倒見るから》


ポンタは、赤ん坊をうっとりと眺めている。「僕の弟だ」と言って傍から一時も離れようとしなかった。


「ポンタ。そういえば、この頃太った?」

《少し大きくなったかも……魔を飲んだからかな?》


ポンタは身体の色も少し変化している。以前は白かった毛色が、薄らと灰色が買ってきた。

朱雀に寄れば、”進化している”かもしれないというのだ。

魔を定期的に飲むことで、聖獣でも精霊に変わる、というのだろうか。


クラウゼルト領は人口も増え、賑わいを見せていた。

領都をこの地に移して数年が経つ。


エイリックはゴーシュを農地管理者に任命し、この領都の土地開発を手がけている。

ゴーシュは領にとって無くてはならない貴重な戦力になっている。

転移の間の管理や、農地の管理が主な仕事なのだ。


ウィプスはゴーシュにすごく懐いて、土属性の成長もめざましいものがある。

砂漠の地であるにもかかわらず、農地を広げ始めているのだ。


「砂漠なのにこれほど土が肥えるとは……土操作というスキルには驚かされる」


エイリックは、ゴーシュの働きを見守りながら感嘆の息をついた。


「領主様、おいらの力ではないです。おいらのはただ土を耕すだけです。ウィプスが何かやっているんです」

「ウィプス、本当か?」

《へへ、そうだよ。光と闇と土を合わせて使えば、土が栄養満点になるんだ》


砂漠に作物が採れる様に成田など考えたこともなかった。土の属性持ちを増やす事が出来れば、クラウゼルト領は、素晴らしい場所に生まれ変わる。


「だが、土属性は、なかなか見つからない。どうすれば、土属性を増やす事が出来るんだ」


家臣に魔を与えてはいるが、土属性は発現する者は今のところいない。

貴族には、ゴーシュのように土に親しむ心を持つ者は少ないせいだろうか。


「エイリック。試しに、ゴーシュのような農民に魔を授けてみたらどう?」

「そうか!」


サクラにそう言われて、エイリックは初めて気が付いた。

魔は、高価だ。

土属性が少なかった理由は、一般の農民に分け与える貴族はなど存在しなかったかったせいだろう。

エイリックでさえ、今その事に気が付いた位なのだから。

ゴーシュのような農民に魔を与えれば土属性はこれから増えていくかも知れないが、それはまだ先の話だった。

今のところはゴーシュとウィプスに頼り切りになっている。


「サクラ。魔は特権階級だけのものではなくなるだろうな」

「でも、魔は本来は、聖獣や精霊を育てるものなんだと思うの……」




  完



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