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第三話 侍女の打診
リディアは静かに一礼した。
「昨夜の夜会では、お見苦しいところをお見せいたしました」
王女の前で失礼があってはならない。
そう思い、丁寧に頭を下げる。
すると、アリアナ王女はくすりと小さく笑った。
「いいえ。とても綺麗でした」
リディアは顔を上げる。
王女は楽しそうに続けた。
「普通の令嬢なら、泣き崩れていたでしょう」
柔らかな声だった。
けれど、その瞳はとても聡明だった。
「でもあなたは違いました」
王女は少しだけ身を乗り出した。
「婚約を解消されても、怒りも涙も見せなかった」
王女は微笑んだ。
「……とても面白い方だと思いました」
リディアは少し困ったように目を伏せる。
「お言葉、恐れ入ります」
すると王女は、ふと真剣な表情になった。
王女は一度視線を落とし、静かに言った。
「リディア・フォン・アルヴェルン」
リディアは思わず顔を上げる。
王女は穏やかに続けた。
「あなたを、私の側に置きたいのです」
そして、優しく微笑んだ。
「侍女として――私の側に来ませんか?」




