王太子
暇だわ...
ギルバートが帰ってくるまで暇だわ...
綺麗な庭の花でも見に行こうかしら。
と思い日傘を差しながら庭を散策する。
「綺麗...ガーベラにポピーにスズラン!それにライラックまで」
ギルバートと今度一緒に散歩できたらいいなと思いながら花を見つめる。
するとどこからか声がした。
「ねぇ、君はここの人?」
キョロキョロ周りを見ると柵に人が腰掛けていた。
「あ、あなたどこから...」
話しかけてるの...と高いところにいる少年に驚いた.
少年は自分より少し下くらいの年齢に見える。
まだ大人になりきっていない容姿だったからアイリンは子供に見えた彼にそんなところに登っていては危ないわ。と注意した。
「ごめんなさーい」
そう言った少年は私の名前を聞いてきた。
「私?アイリンよ。貴方は?」
アイリンも少年の名前を聞いた。アイリンはあの日から外に出ていないため外のことには疎い。
今会話している人間がまさか王太子だなんて思いもよらなかった。
「アイリンか。僕はユリアス。アイリンはこの国の人じゃないよね?」
その言葉にアイリンは頷く。
隣国の人間だと言うとユリアスは嬉しそうに、あぁあの国ね。と言った。
「綺麗に花だね。君の好きな花だったりするの?」
そう笑顔で花に触れ、香りを嗅ぐ姿はまるで絵画の絵のように様になっている。
「これは...私のために婚約者が植えてくれたの」
そう言うと、笑顔だった表情が一変し無表情になった。空気も変わり、その違いにアイリンは戸惑う。
「婚約者がいるんだ?この国の人間?」
そう真剣な顔をして聞かれるので無意識に足が後ろに下がりつつ、首を振った。
「そうなんだ。僕もう行かないと...じゃあね」
と少年は柵を越え出ていった。
出ていった時に小さく、「アイリン」と言う言葉はアイリンには聞こえなかった。




