第八話 阿芙蓉戦争の火種
「アヘン戦争が始まると見て、間違いではないようだな」
「ああ、その通りだな」
「これを利用して、新王朝を作る」
「擁立するわけだ」
醜風漂う場所には、いつも『金』が付き物だ。
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新聞の一面は「阿芙蓉戦争」という文字で埋め尽くされていた。
軍部と首相の癒着から早一ヶ月。
また、厄介ごとに、私は巻き込まれていた。
「……」
「どうも、元首相」
私が癒着を暴いた首相本人だった。
「で、要件はなんでしょう」
私はまたかよ、と内心に落ち込みながら、淡々と、適当に会話を進める。
「戦争が東の帝国で起きそうだから、場を丸めて?」
「不可能です。一個人で戦争を止めるなど、それこそ情報戦で相手国より情報を入手しなければいけないのと同じです」
私は勢いのまま即答する。
「首相。あなた、馬鹿になったのでしょうか」
秘書も手帳を整理しながら、私に乗っかる。
「……ひどいですね、あなたたち。
ま、私の話を聞いてくださいよ。
……六月之月、覚醒剤の名です。ある宗教が流行らせたようでして。
これも、アヘン戦争と関係があると私は睨んでいるんですよ。
これは噂なのだが、目が充血し、痙攣など。
だから、これを解決すれば、私を擁護する意見も集まるだろうし、あなたもさらに有名になりますよ?」
「結構。有名税は利子までつく事を学んだから」
「それは残念。でも、基本的には依頼を断らないのでは」
首相は勝ち誇った顔で、ふっと笑った。
私はそれを軽く受け流し、高級葉巻ではなく、安物の葉巻に火をつけ、葉巻を吸う。
「は、新聞の一面には、『阿芙蓉戦争』そして、『六月之月』ですか。これだけじゃ、何もわからないのだが」
私は淡々と、はっきりと言う。
「そうだろうね。探偵も、心を読めるわけじゃない。説明してやろう」




