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14.『E(地球人) A( 宇宙人)M (混血)アカデミー』開校

 ルイの掌の上で、小さな炎が揺れている。

 力なく話すレイ。


「あたし、どうなったの? これからどうなるの?」


 もちろん、ソラにもわかる訳がない。


「オレは何も変わってないけどなぁ」


 ルイが不満だらけの顔をソラに向けた。


「何言ってるのよ!」

「何が……?」

「あんたが元凶でしょう」

「元凶ぉ?」

「あんたがララと交信したからこうなったんでしょ!?」

「そうなのかぁ……?」

「どうしてくれるのよ」

「どうしてくれるって言われてもなぁ……」

「いい!? あんたが一番変わったのよ。そして、ララが来たら、もっと変わるはずよ。想像できないくらいに。色んな意味でね……」

「……」


 とりあえず、ソラたちはお京に相談することにした。

 本当はマリアに相談したかったが、あの調子では無理だと思ったからだ。

 ソラとルイが、『オカマバーボール星』に向かうと、店の前はマスコミや野次馬でごった返していた。


「 あ、ソラだ」


 と誰かが叫び、全員が振り向いた。

 今まで、ソラはこれほど恐怖を覚えたことがない。

 ルイがソラの手を捕まえて、逆方向に走り出した。


「あ、待てよ 」


 と、追いかけてくる足音が聞こえたが、ここはルイの縄張りだ。

 なんとか逃げ切った。

 それから、ソラたちはフードを深々と被り、ルイの家、つまり、お京の家に行くことにした。

 家に着くと、ルイが店に電話し、お京さんが慌てて帰ってきた。


「ね、テレビ見たけど、本当のことなの? マリアさんやソラ君が宇宙人の子孫とか、ボール星のララが地球に来たがっているとか……」

「オレにもまだよくわからないんです。でも… 」


 ソラはルイを見て、合図を送った。

 頷いたルイが、


「パパ、これを見て」


 と掌を差し出し、炎を見せた。

 お京は目をパチクリさせている。

 しかし、それも一瞬だった。

 お京は大きい深呼吸を5回繰り返した。

 それは海千山千で生きてきたお京の、信じられない事態に直面したときの癖だった。

 回数はことの大きさに比例している。

 5回は、ソラが知る限りでは新記録だ。

 5回目の息を吐き切ったお京は、


「はい」


 と手を叩き、自分に気合いを入れた。


「娘のあんたがそうなら、わたしもそうなのかなぁ?」


 と、ふざけてみせた。

 お京のことだ。

 娘の一大事に、父親の自分が一緒に深刻ぶってはいけない。

 それでは親子共々転覆してしまう。

 そう、考えたのだろう。

 しかし、慣れていないソラは真面目に捉えたようだ。

 

「多分、根本はそうでも、年齢的なことで魔法は使えないと思う」

「なんだぁ、残念……」


 お京は笑い飛ばした。

 その時になって初めて、ソラもお京の本音に気づき、申し訳ないと心の中で詫びた。


 しかし、本人のルイはそうはいかない。

 でも、と話しだす。


「パパはストレートよね。どうしてわたしに魔法が使えるの?」

 お京は少し考えてから話しだす。

「あぁ、マリアさんの話を気にしているのね。自分が同性愛者だから宇宙人の子孫だって。それはたまたまだと思うわよ。同性愛者にも色々いるからね」


 お京の話だから、説得力がある。


「それはともかく、もう信じられないなんて言えなくなったわけね。だったら割り切るしかないでしょ。まず、マリアさんが話したララのことは本当だったってことだから、ソラ君はマリアさんに謝ろう。疑ったんだから。例えマリアさん自身は何のことか理解できないにしてもね 」

「はい」


 ソラは素直に答えた。

 うん、とソラの返事に満足したお京は肯いた。

 それからまた話しだす。


「もう一度確認するけど、ボール星のララが地球に来るためには、マリアさんのパワーが必要だけど、現実問題としては、今のマリアさんはボケているから、力にはなれそうにない。だから、ソラ君がマリアさんの代わりを頼まれたってことでいい?」

「はい」


 真剣に聞いていたソラが返事をした。

 少し考えてから、お京が再び話し始める。


「ボール星のララとあなたのことは2人の話だから自分たちで決めなさい。勿論、相談には乗るけど、わたしたちのアドバイスなんて、なんにもならないと思うわ。あ、その前に、このご時世だから、あなたとマリアさんの情報はすぐにばれるでしょうし、マスコミや野次馬がここにも直ぐに押し寄せてくるはずよ。急いで身を寄せる場所を確保しなきゃね。それはわたしに任せて。信頼できる知り合いが多いから。結局、何一つ解決しないままでご御免なさいね」

 謝るお京に対し、ソラは、


「心が随分楽になりました。お京さんに相談して良かった」


 と心から感謝した。


 それから数日後、お京から電話があった。

  文部科学省の藤波修二という人が、ソラに会いたいと、『オカマバーボール星』に来たらしい。

 今までは秘密裏で、異世界のボール星の研究をしていたという。

 お京から、


「一応、文部科学省の藤波修二で調べたけど、肩書きも写真も本当みたいよ。会ってみる?」


 とアドバイスを受けたソラはOKした。


 いよいよ、2日後、文部科学省の藤波修二と、『オカマバー・ボール星』で会うことになった。

 自称、ソラの保護者全員と一緒に。

 ソラとルイがボール星に着くと、藤波修二が立っていた。

 2人のお(とも)の人と共に。


「早速ですが、本題に入らせていただきます。私は40年前から、この地球には異世界の宇宙人の血を引く人間が共存していると信じて研究してきました」


 藤波修二の話をまとめるとこうなる。

 いつかこんな日が来ると信じ、準備をしてきた。

 その準備とは……。

 異世界のボール星から、地球人の血を引くボール星人を迎えることができるようにすること。

 そのためには大きなパワーが必要になる。

 なにしろ、異世界から来るわけだから、ボール星人だけの力では無理だ。

 そこで、私はこの日本に住んでいるボール星人の血を引き継いだ若者を調査していた。

 彼らを集め、教育し、魔法のパワーを高め、ボール星人を迎えたい。

 そのための学校も準備済みだ。

 その名も、『earthan(アージアン)(地球人) and alien(エイリアン)(宇宙人) mixed(ミクスト)(混血) academy(アカデミー)(学院)』。

 略して、『E A M アカデミー』。


 藤波修二は更に核心について話す。


「そして、君には超特待生として入学してもらいたいと思っている。勿論、学費も生活費も(ただ)だ。その上、アルバイト代ぐらいなら払えると思う。ボール星人のララと交信した君には、それぐらいの価値があると思っている。どうだろうか……?」

「……」


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