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01.プロローグ

☆ ☆ ☆ ☆


 人間界、魔法界、剣の世界、モンスター界など、多くの世界が存在する中で、ここは(ヒカリ)の世界である。

 その(ヒカリ)世界の中に、今でも古い伝説が残っている星があった。


☆ ☆ ☆ ☆

★ ★ ★ ★

 

 『青い星の伝説』


 遠い遠い昔、この星のご先祖様一団が異世界の“青い星”に行き、その星の住人に恋をした、という。

 そして、ご先祖様の中のある者は己の体に子を宿し、多の者は“青い星”の住人に子孫を残した。

 しかし、幸せな日々は長く続かなかった。

 子どもたちが生まれる前に、ご先祖様たちは辛い現実を突きつけられることとなる。


『この“青い星”では、これ以上生きることができない』


 と悟ったのだ。

 あるご先祖様は愛する人の胎内に我が子を残したまま、他のご先祖様は己の体の中で成長している我が子の父親と別れて、渋々帰省するしかなかった。


 (しばら)くして、そのときの胎児(たいじ)は皆、無事に生まれたという。

 (ただ)し、彼らの誕生した世界は、異世界同士の“光の世界”と“青い星”という、遥か遠く離れていたが……。


★それから長い年月が過ぎーー。

 ふたつの星の血を引き継いだ子孫たちは今、それぞれの星でどうしているのだろう?★


★ ★ ★ ★

☆ ☆ ☆ ☆


 『青い星の伝説』が残っているこの星の名前は、“ボール星”。

 なんとも不思議な星である。

 何故かというと、この(ヒカリ)の世界のには珍しく、陸や海があるからだ。

 更に近づいていくと、山河があり、遂には木々や草花なども見える。

 自然が鮮やかな色に染めているのだ。

 つまり、あの伝説に出てくる“青い星”にそっくりだった。

 (ただ)し、この星が不思議な理由はそれだけではない。

 この世界の宇宙は広い。広すぎる。

 無限と言ってもいいだろう。

 だから、どこかにそんな星があってもおかしくはないのだが……。

 この星は元々岩石でできており、建物も道も全てが石造りになっている。

 なのに、この星の一部分(百万分の一ぐらい)だけが“青い星”にそっくりなのである。

 今や、伝説の“青い星”自体でも消えかかっている美しい自然界をぎゅっと凝縮した、広い公園のような感じだ。

 つまり、ほとんどが石造りの中で、ほんの一部だけに色鮮やかな自然界が存在しているというコントラストが、不思議なのである。


 その公園の一角に、目がくらむほど光り輝く場所があった。

 目が慣れてくると、そこは小高い丘であることに気づく。

 その丘の上に、光る原因が立っているのだが、どう表現すればいいものか……?

 表面上の姿形(すがたかたち)は、あの伝説にでてくる“青い星”の少女に似ている。

 年齢は14、5歳ぐらい。

 立ち姿は凜々しささえ感じさせる。

 そのなにが説明を困惑させているかというと、90%が透明人間だからである。

 もっと詳しく説明すると、透明なクリスタルでできたフィギュアを想像してもらえるとわかりやすいだろう。

 外枠が薄く見える分(それが残り10%)、100%の透明人間ではなく、かろうじて表面上の姿形が把握できる。

 クリスタルのフィギュアというと、固く冷たい感じを受けるかもしれない。

 しかし、彼女の場合は青い星の住人同様、喜怒哀楽で表情もコロコロ変わった。

 特に笑顔が最高に可愛い、ここ、ボール星の住人である。

 しかも、クリスタルの少女自らが、眩しいほどの光を放っているのだ。

 着ている服まで光っている。

 色はオレンジ。

 つまり、彼女は(ヒカリ)の生命体だった。 

 風になびく長い髪の1本1本までオレンジ色に輝かせながら、少女は目線の高さまで持ち上げた掌をじっと見つめている。

 そして、なにか祈りのような呪文を口にした。

 すると、あら、不思議。

 少女の掌の上で誕生したのは、テニスボールぐらいの透明なクリスタルの球体だった。

 少女が息を吹きかけ、キスをすると、また、不思議。

 その球体も発光した。

 色はライトブルー。

 もうひとつ、(ヒカリ)生命体の誕生である。

 その光生命体が愛おしくてたまらない少女は、優しく微笑みかけた。

 一方、ライトブルーの球体は全身をモゴモゴと動かしている。

 照れているような、喜んでいるような……。

 嬉しそうに、彼女の掌に頬ずりをしているようにも見える。

 まるで動物の赤ちゃんと同じだ。

 どんな猛獣でも、赤ちゃんのときは抱きしめたいほど可愛いものである。

 その時にふと、少女は思いついたようだ。


「そうだ。名前はライトサンにしよう」


 ライトサンを乗せたまま、掌を高く掲げた少女は、


「行ってらっしゃい」


 と送り出そうとした。

 しかし、ライトサンは飛び立とうとしない。

 少女の掌が恋しくて、離れがたいようにも思える。

 少女はもう一度、ライトサンに微笑み、優しくキスをした。

 別れが悲しすぎるのか、文字通り真っ赤に変色したライトサンは、目をウルウルさせて、今にも泣きだしそう。


 その時だった。


「ララ、なにをするつもりだ?」


 誰かの声が聞こえてきた。

 少女が振り向くと、遠くの歩道を走ってくる数人の大人たちの姿が見えた。

 彼らもまた、“青い星”の住人の輪郭(男性)を持ち、透明なクリスタルのような()で立ちで、光り輝いている。

 色は様々だが、全員が怒っているようだ。


「ララ、止めなさい」

「それは違法行為だぞ」

「逮捕されたらどうするんだ!」


 走りながらそう叫ぶ彼らが、どんどん近づいてくる。

 20秒後には到着するだろう。

 慌てて、少女はライトサンを空に向けて投げ上げた。


 一方、宙に浮いたライトサンは、見下ろしたまま動けないでいる。

 地上では、少女が大人たちに取り押さえられているからだ。

 心配になったライトサンが戻ろうとしたときだった。

 少女の叫び声が聞こえた。


「早く行って!」


 それでも、ライトサンが躊躇っていると、一人のクリスタル男がサッカーボールぐらいの光る玉を作り、投げ上げた。

 大人たちに取り押さえられながら、少女は尚も叫び続ける。


「わたしは大丈夫だから安心して。絶対伝説の青い星に行って、マリアさんという人にわたしの願いを伝えてよね。お願いよ!」


 ライトサンは体を黄色に変色させ、迷っているようだ。

 いよいよ、サッカーボールほどの大きな光る球体たちが、ライトサンの目前まで迫ってきた。

 仕方なく、ライトサンはこの光世界の宇宙に飛び立つのだった。


次回の『02.青い星の愛の伝説part2』は明日、3月24(火)7:00に投稿予定です。是非、読んで下さい。

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