揉め事は避けたいんですが…
更新が……
更新が…………
やっと出来た…………orz
遅くなりまして、誠に申し訳御座いませんでした。
では、お楽しみください。
さて、街の入口に着いた俺とディエナだが…二人共、思案中です…。
いや、だって…街の入口に鎧を身に付けた門番みたいな兵士さん達が数人…。
これはアレですか?神が我に与えたもうた試練ですか?
「………ツキヤ」
クイックイッと俺の服の袖を引っ張るディエナ。少し不安気な表情を浮かべていた。
そうなんだよなぁ…。ディエナはエルフだから、あまり人目に付きたくないワケで…。
俺はポンッとディエナの頭に手を置いて
「心配すんなって。何があっても俺はディエナの味方だ。必ず、何があっても守るよ」
俺がそう言うと、ディエナは俺の顔を見て
「にへへ~♪」
と笑顔になった。
ディエナの頭をクシャクシャと撫でて
「それじゃ、行きますか」
と、俺はディエナと手を繋いで街の入口へと向かった。
「そこの二人…ちょっと良いかな?」
あ~…。やっぱり声掛けられるのか…
「はい?なんッスか?」
俺が振り返ると、そこには20代前半くらいの兵士が立っていた。
「これから観光かね?」
「まぁ…観光みたいなモンッスね」
「そうか。そっちの子は?」
兵士がディエナを見て聞いてくる。ディエナは耳が目立たない様にフードを深く被っているのだ。
「あ、妹ッスよ。今日は陽射しが強いから、フードを深めに被らせてるんッス」
「なるほど。…では、楽しんでくれ」
「ウッス♪」
そう言って、俺達は兵士との会話を切り上げて街に入ろうとしたんだけど…
ドンッと背後から衝撃があって、押された感じで俺は前に倒れ込む。
「ぬおっ!?」
「ツキヤ!?大丈夫!?」
「あぁ。大丈夫だ」
心配したディエナがしゃがみ込んで、俺の顔を覗き込む。
ったく、なんなんだ?一体…
俺は身体を起こして、後ろを振り返ると…
「にゃぁぁぁぁっ!!」
うん…女の子ですな。
俺と年はあまり変わらねぇんじゃねぇか?
旅人っぽい服装に、腰には剣を下げている。
しかし…重要なのは、そこじゃねぇ…そこじゃねぇんだよ…。
茶色の髪から突き出るのは獣の耳…腰下辺りからは尻尾が伸びている。
「あれは…半獣人族…」
「ハーフビースト?」
ディエナの呟きに聞き返す俺。
「うん。獣人族って言う種族と人間とのハーフの種族だよ」
「ふ~ん」
「でも……」
ディエナが俺の服の裾をキュッと握る。
「獣人族にも人間にもなりきれない半端な種族として、ある地域では卑下されてるの…」
俺は視線を件の半獣人族の少女に向ける。
そこでは複数の兵士に捕まえられて、なにやら言い争いをしているみたいだ。
俺はそう言って兵士の方を向く。
「すんませんね。コイツ、俺の連れなんッスよ」
にこやかに笑顔で話し掛けるが、兵士と少女の腕はプルプルと震えている。どうやら、俺の制止を振り解いて剣を抜きたいみたいだが、ビクともしない。
「とりあえず、街に入れてもらえないッスかね?」
「貴様!!ふざけるなよ!!」
そう叫びながら、俺の胸倉を掴んでくる別の兵士。それを見て、慌ててディエナが走って来た。
「止めて!!ツキヤに乱暴しないで!!」
兵士と俺の間に割って入ろうとしたのだが
「うるさい!!引っ込んでろ!!」
兵士の振った腕がディエナに当たり、尻餅をつく形で倒れたディエナ。
だが、倒れた拍子で被っていたフードがズレてしまった。
「ディエナ!!」
「あ……」
俺の声にディエナは慌ててフードを被ろうとするが…
「ぎ…銀髪のエルフ……」
一人の兵士の呟きで、俺達は大人数の兵士に囲まれてしまった。
つーか、こんな人数どこに居たんだよ…。
「あの~…此処は穏便に話しあ「黙れっっ!!」…………」
俺が口を開くと、途中で兵士に遮られてしまった。
皆、手には剣、槍、斧等の武器を持って俺達を包囲している。
さすがの俺も、少しカチンと来ましたよ?
「おい!!貴様!!」
「あン?」
睨み付けてくる兵士を俺は睨み返す。
ディエナはフードを被って震えている。
半獣人族の少女は「うにゃっ!?」とか言いながら驚いてる様子。
「エルフと半獣人族の娘を連れて街に入り、何をする気だ!?」
「何をするって…」
「此処がガヴィル城の城下街と知っての行動か!?」
「ガヴィル城…?」
「そうだ!!賢王として名高いガヴィル王が収めるこの地に、貴様らは何が目的で来た!?」
「目的も何も俺らは只の観光で「目的が無いなら、そこの娘二人は実はお前の所有物で、毎晩イイ事してるってか?」」
ギャハハハッと笑う兵士達。
「なっ!?アタイはこの人達とは無関け」
真っ赤になって言い返そうとする半獣人族の少女を俺は手で制止する。
震えるディエナをそっと抱き締めて
「大丈夫。大丈夫だからな、ディエナ」
そう小声でディエナに言うと、少し落ち着いたのか、ディエナの震えは収まっていった。
「さて…貴方達が言う賢王様が収めるこの地…。この地を守る兵士である貴方達を見てると……」
俺は周りを見回して鼻で笑い
「賢王の質も…たかが知れてるな」
「「「「「「なっ!?」」」」」」
「なんだ?図星か?」
「貴様…ガヴィル王を侮辱する気か!?」
「主を侮辱させる様な行動を取ったのは、そっちだろうがっ!!」
「そこの銀髪のエルフはエルフ族の中では『忌み子』として恐れられる存在!!しかも半端者の半獣人族も一緒ならば「黙れよ…」」
俺は瞬歩で移動し、叫ぶ兵士の喉を掴み、そのまま持ち上げる。
「げっ……」
「『誰』が『何』だって?」
「貴様!!その手を離!?」
俺は空いている腕を振り、近付こうとした兵士達の足元に炎を走らせる。
「黙れと言ったんだ…聞こえなかったのか?」
俺が睨み付けると兵士達は数歩後退した。
「これは一体、何の騒ぎだっ!!」
そこに声を張り上げながら近付いて来る一人の女性。綺麗な金髪を風に靡かせながら歩く姿は、その場に静寂を取り戻させるには充分な存在感だった。
「た……隊長」
一人の兵士が呟く。
ん?隊長?この女性が?
腰まであろうかと思われる綺麗な金髪を後ろで一つに束ね、綺麗な青い瞳。凛とした佇まいは見る者を虜にしてしまう様な美人だ。
「アンタが……コイツ等の隊長さんか?」
「ああ…そうだが…」
俺は睨み付けるが、彼女はその視線を平然と受け止める。
「済まないが、事情を話してもらえないだろうか?」
「ああ…実は……」
俺は今までの兵士とのやり取りを話した。
「なるほど…。事情を聴くからに、我々に非がある様だな…。すまなかった」
と深々と頭を下げる女性隊長。
「いやいや。分かってもらえたら、それで良いんだ。俺も騒ぎを大きくしちまったし…」
俺は頭を掻きながら手を振る。
ディエナは俺の後ろにしがみつく様な形で隠れている。
「んじゃ、街に入っても良いかな?」
「あ、あぁ…問題ない」
その言葉を聞いて、俺は半獣人族の女の子に手招きをする。
「さて、一悶着ありましたが…街に入るか」
「うん♪」
俺はディエナの手を引いて街へと続く門をくぐった。
「あ!!ちょっと待ってよ~!!」
と、半獣人族の女の子も慌てて俺達の後を居ってきた。
さ~て、飯だ♪飯だ♪