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4.
窓枠に乗っかったのは、水色の半透明な饅頭型で大きめの物体。
直径は50センチメートルを優に越えるだろう。重量はそれなりにあるらしく、窓枠がミシッと音を立てた。
しかも、乗っかった弾みでぷよぷよと揺れている。いかにもゼリー状だ。
そいつは、ちょうど沈む太陽を飲み込んだように背景と重なり、真ん中辺りが青みも混じった不思議な夕焼け色で輝いている。
リュドミラは、幻想的な風景に色を添えた半透明の闖入者の判別に数秒の時間がかかった。
――こんな三階まで飛んでくるのは鳥しかいない。なのに羽がないのはおかしい。どこに羽があるのだろう、もう畳んだのだろうかと。
ようやくそいつの正体に気づいた彼女は、全身の肌が粟立ち、ついに悲鳴を上げた。
「キャーッ! ス、スライム!」




