33.
ドミトリーは、イワンが扉の向こうに消えたのを確認すると、周囲の高官たちを睨み付ける。
「国民の上であぐらをかいて悪行の限りを尽くした者は、正直に前に出ろ! 今なら俺が国王に減刑を申し出ても良いぞ」
ところが、皆はうつむくばかりで、誰一人歩み出なかった。それを見た彼は、フッと鼻を鳴らした。
「なら、こいつがそうだと告発しろ」
すると、一人が「あの徴税担当がそうだ!」と指差したのを皮切りに、「あいつもだ!」「そいつもだ!」「何を言う、お前もだろうが!」と次々と告発が始まり、仕舞いにはほぼ全員の言い争いに発展した。
喧々囂々の議論の中で、ドミトリーはため息を盛大に吐いて頭を掻いた後、両手をパンパンパンパンと叩いた。
「ええい! 静かにしろ! みっともないぞ!」
騒ぎがスーッと消えていき、謁見の間は水を打ったように静かになった。
「自分の悪行は隠すくせに、他人の悪行はさらけ出す。なんとも浅ましい行為だ。よくそれで清廉潔白な高官が務まるものだな。……とにかく、国王の前で告発した以上、撤回できると思うなよ。この後、取り調べの上、いずれ沙汰が下る。覚悟しろ」
多くの高官たちは、『してやられた』という表情を見せて床に目を落とした。




