表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/36

33.

 ドミトリーは、イワンが扉の向こうに消えたのを確認すると、周囲の高官たちを睨み付ける。


「国民の上であぐらをかいて悪行の限りを尽くした者は、正直に前に出ろ! 今なら俺が国王に減刑を申し出ても良いぞ」


 ところが、皆はうつむくばかりで、誰一人歩み出なかった。それを見た彼は、フッと鼻を鳴らした。


「なら、こいつがそうだと告発しろ」


 すると、一人が「あの徴税担当がそうだ!」と指差したのを皮切りに、「あいつもだ!」「そいつもだ!」「何を言う、お前もだろうが!」と次々と告発が始まり、仕舞いにはほぼ全員の言い争いに発展した。


 (けん)(けん)(ごう)(ごう)の議論の中で、ドミトリーはため息を盛大に吐いて頭を掻いた後、両手をパンパンパンパンと叩いた。


「ええい! 静かにしろ! みっともないぞ!」


 騒ぎがスーッと消えていき、謁見の間は水を打ったように静かになった。


「自分の悪行は隠すくせに、他人の悪行はさらけ出す。なんとも浅ましい行為だ。よくそれで清廉潔白な高官が務まるものだな。……とにかく、国王の前で告発した以上、撤回できると思うなよ。この後、取り調べの上、いずれ沙汰が下る。覚悟しろ」


 多くの高官たちは、『してやられた』という表情を見せて床に目を落とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ