22.
「そなたがリュドミラか?」
老人の声が耳に飛び込んだリュドミラは、ハッと我に返った。
声の方を振り向くと、空の玉座に近い側に長老が立っていた。他の者より立派な服を着ているので、王族かも知れない。
「はい」
「今から話すことは、決して口外してはならぬ。よいな?」
「誓います」
「よかろう。では、一度しか言わぬ。よく聞け」
長老の話は、半年前にたった一人のお世継ぎのドミトリー王子が失踪した事件から始まった。国民には「王子は外遊中」と嘘を言い、一方で極秘に捜索を続けたが、未だに見つからない。
国王は、心痛のあまり伏せがちになり、最近は寝たきりになった。
そこで薬剤師が心の病に効く薬を探し求めていたところ、遙か遠くの国にいた黒魔術を使う魔女が「しゃべるスライムの核を切り刻んで煎じて飲ませればよい」という情報を与えてくれた。彼がその情報が持ち帰ってきたのは、昨日だという。
リュドミラは、ただでさえ膝が笑って立っているのもやっとなほどだったが、その恐ろしい話を聞いてへたり込んでしまった。
「そ、そのスライムの核とは一体何でしょう?」
「スライムは、半透明の体の中に人間の心臓に相当する核を持っておる。それは体と同じ色をして半透明なのも一緒なので、外から見ても区別はつかぬ」
「その核を切り刻むということは……」
「無論、スライムは――死ぬ」




