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20.

 兵士に連行されたのはスライムだけだった。風刺も批判も一切口にしていないリュドミラは広場に残されたので、多くの聴衆に対しての見せしめであることは明らかである。



 ――いつも隣にいた相方が逮捕された。



 一心同体だっただけに、自分の身体が半分奪われたかのようで、心まで引き裂かれる思いだ。


 ショックから立ち直れないリュドミラは、その日のうちに巡業を中止し、ローザロッサ王国の宿屋の三階でさめざめと泣いた。



 王宮へスライムの釈放を嘆願しに日参するのはリュドミラだけ。


 スライムの、ローザロッサ王国に対する痛烈な批判に熱狂していた人々は、触らぬ神に祟りなしとばかり、一切の行動を起こさない。他の王国の人々も状況は同じで、自国を批判したスライムの逮捕に国民の反対運動も抗議行動もなく、為政者たちは安堵の胸をなで下ろした。


 閉塞的な空気の日常が静かに過ぎていく。


 スライムの勇気ある行動は、このように無駄骨に終わっていった。

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