転移許可証
DYNAMITE SAGA by Souji Yamato
西暦2200年5月20日(火)ファンタジア世界、要塞都市ベルファスト『ロマーヌの館』地下研究室――
爆炎のサガが、ハイエナ魔人と、戦っていた時‥‥博士『江戸前彩香』の研究開発は、行き詰まっていました。
どうしても、宇宙間の物理移動、いわば『転移/転送』に無理があるのです。
仕方なく、彩香博士は、研究室を意味も無しに、うろうろとしています。
さらに、でたらめに、うろちょろしてから、彼女は、ひとり呟きます。
「問題は、別宇宙への入場パーミッションか‥‥」
さらに、しばらくの間‥‥彩香は、悩みました。
‥‥が、天井に向かって、囁きます。
「西暦宇宙の神様、我にアイデアを、授けたまえ‥‥って、無駄か!
‥‥えっ、何、このカード?」
気付けば、テーブルの上に、2枚のカードが出現しています。
それらは、ワールドビザと記載があり、それぞれに『江戸前彩香』『サガ/江戸前優香』と、名前も記されていました。
<ピコリ~ン♪>
突然、彩香博士の開発用デバイスに、メッセージ表示です。
『エラーが解消され、異世界通販プロトコルが完成しました』
「ん‥‥?」
どうやら、彩香は、研究に成功したみたいです。
しかし、彼女は、唯々、呆然としています。
その日の夕刻、同館の豪華リビングでは‥‥彩香博士が、入手した『異世界通販アイテム』を、披露していました。
ところが、サガが、あっさりと指摘します。
「なに、この百均グッズの山‥‥?」
「西暦世界の文明の利器よ~♪」
「なんで、令和時代の『ギョウザの具を皮で包む百円グッズ』まであるの?」
「あれば、便利でしょ?」
「それ‥‥意外と、不便なんだよ。
ママは、料理しないから、知らなかったと思うけど‥‥」
「そうなの? 料理しなければ、良いじゃない!」
彩香が、トンチンカンな答えを返しました。ちなみに、サガも、料理は苦手です。自分のことを、棚に上げています。
ともあれ、野戦士ルイが、問います。
「この変な楔は?」
「それは、ドア・ストッパー‥‥
こうやると、開いてるドアが、閉じなくなるの~♪」
「便利ですね!」
魔道士ハインツが、そう言って、感動しました。
今度は、戦士カルロが、質問します。
「この薄っぺらい‥‥ハンガーの束は?」
「これが、10本で、たったの100円‥‥10コインなのよ!」
「ほう、それは、お安いですな!」
執事エドウィン(聖霊)が、そう感心しました。
けれども、サガ(優香)は、呆れ果てています。
「どれもこれも、平成あたりのグッズ‥‥
‥‥これが、文明の利器?
今が、西暦2200年なのは、単なるSF上の設定なわけ?
それとも、単にママが、真面なライフスタイルに、疎いだけなの?」
「そうか? この『紙コップ』とか言うの‥‥30個で10コインだぞ!」
聖騎士アリスは、ある意味『的外れ』に感動しています。
ですが、百均グッズ展示会は、徐々に、盛り上がって行きました。
こうして、異世界通販が、明るく楽しく、可能となりました。
DYNAMITE SAGA by Souji Yamato




