第90話 エルシアが掲載された雑誌
第90話 エルシアが掲載された雑誌
雑誌編集者視点
編集長たちにプレゼンしてみたが、概ね理解を得ることはできたがまずはローカルで見てみようとなった。
残念だ。
どう見てもタウン誌ではこの子の魅力を確実に持て余すのは間違いないんだけどな。
それが分かっているうえでタウン誌に掲載することになったのだろう。
正直タウン誌で彼女の写真がどんな反応が来るか興味がないわけではない。
うん。
一足飛びでデビューさせるのも伝説にはなるが、ここはあえて堅実に行く。
但し、跳んで行く速度は間違いなく化け物級だろうな。
よし。
雑誌の構成を考えよう。
トンチキなレイアウトだとせっかくの写真が無駄になってしまう。
この仕事は俺一人でやろう。
ほかの人にやらせてなるものか。
上層部はあそこまで頑なにローカル誌にこだわったんだ。
このくらい役得があっても、罰は当たらんだろ?
とりあえず田代さんと話して、どの写真を使うか考えないとな。
仕上がりがとんでもないから、どの写真を使うかを選ぶのに苦労しそうだな。
編集長視点
今回は岩村からのプッシュは凄かったな。
まあ、あれだけの商材を持ってれば当然は当然か。
しかしこのメイク技術は反則的に上手いな。
普通どれかの系統に特化するもんなのだか、この子は持ち合わせたポテンシャルを存分に発揮している。
事実、岩村が言うように最初から大手の雑誌に売り込むのもいいだろう。
この子なら間違いなくいい線を行くと思う。
だけど、往々にしてそういうことをすると圧力で潰されてしまったり、妬み嫉みで心が折れてしまったりする。
過去にいきなり大手でデビューさせても、結局他からの圧力やら、メンタルが壊れてしまって、最終的には鳴かず飛ばずで消えていった才能もたくさんいる。
俺はこの娘にはそうなってほしくない。
だからあえて岩村の提案を却下してタウン誌で進めるように指示を出した。
地元で根強いファンを持つと今後の活動での支持母体にもなれる可能性もある。
だから手堅くいくんだ。
支持母体がなければほかの権威や力に妨害されることも少なくない。
日本は良くも悪くも出る杭は打たれてしまう。
それがどんなに魅力があってもポテンシャルがあってもだ。
だが、地元に支持母体があれば心が折れてしまっても受け皿になることもできる。
さあ、エルシアさんとやら。
あなたは我々にどんな夢を見せてくれるのかな?
岩村や俺は誠実であれば協力は惜しまんぞ?
少なくとも昭和脳を持った老害からは守るくらいはしてやるよ。
坂口ひより視点
勉強ばかりやっていたら気が滅入るから気分転換で近所の書店に来てみた。
今回も蒼魔や香織には勝てなかったけど、逆を言えばあたしの成績も安定しているってこと。
来年は大学受験も控えているんだし、ついでに目標としている大学の赤本でも見ていこうかな。
ん?
あ、そうか。
今日はタウン誌の発売日か。
んー?
新人モデルさんか。
正直読モとかでスカウトされたことあるけど興味ないんだよね。
というか、この表紙の人、めっちゃ美人じゃん。
あれ?
なんか見覚えが…。
あー、以前校門の前で水鏡をフルボッコにした蒼魔の彼女さんか。
へえ〜。
ギャルメイクかわいいね。
やっぱりこの人にメイクの技術を教えてもらいたいな。
あら。
この人の特集は袋とじなんだ。
まあ、買えないわけじゃないから買ってみようかな。
最近噂のAkiraとの対談もあるみたいだし、どんな話をしたか気になるんだよね。
というか、袋とじ、2つともこの人じゃん。
テーマが違うのかな?
よくわかんないけど袋とじを開けば分かるっしょ。
あたしは雑誌を買ってから家に帰り、気分転換でタウン誌を読んでいたんだけど、エルシアさんの特集だけで3時間も溶かしちゃった。
まあいい気分転換になったけど、エルシアさん、絶対有名になるよね。
早めにサインもらっとこ。




