第69話(閑話7) 天照、ミカエルの件の申請に行く
第69話(閑話7) 天照、ミカエルの件の申請に行く
天照視点
昨日のオリュンポス工業団地の祭りは地獄じゃったのう。
御神酒の大吟醸を贈った妾も悪いが、ゼウスのボケナスがケラウノスをダーツにするとか考えもせなんだわ。
お陰でまた高天原役場に来るはめになってしまったわい。
まあ、オリュンポスの神はこちらの役場で申請できんからやむなしじゃが、何故最高神の妾が申請に赴かねばならんのじゃ。
はあ。
半ば、自業自得的なところもあるからヘラにも強く出れぬし。
お神酒美味しかったと言ってくれたのは良かったのじゃがな。
帰りにアフロディーテに米ぬかを求められるとは思わなんだ。
美容には本当に敏感なやつじゃ。
さて、今日も窓口には足名椎がおるな。
なんじゃ。
天手力男の申請の手続き中か。
「では、団地の電気工事と、大学の電気工事の申請ですね」
ふむ。
そう言えばそろそろ工事の時期ではあるか。
「そうだ。申請書はこちらに」
見かけによらず天手力男神は書類に強いからな。
あっちに座っとる武御雷はそういうのに役立たんしのう。
役場特有のやりとりも苦手じゃろう。
そのおかげか、足名椎は落ち着いているの。
武御雷が窓口に座ったら待ちガチなくテンパるな。
圧を書けてきて「はよしろや」とかメンチ切ってきそうじゃしな。
まぁそんな事すれば役場長の妾の弟からボコボコにされるじゃろうて。
…オツムが弱い武御雷が学ぶとは思えんが。
建御名方は何故あんなバカとくっついたんじゃか。
妾でもわからん。
というか、部下に申請を丸投げして鼻くそほじってボケーッとするでないわ!
これが武神なんじゃから世も末じゃなあ。
お、雷神まで来とるとは珍しい。
確か高天原電気工事組合の職人であったな。
作業が丁寧で評判は高いと聞いておるぞ。
ただ、作業着が迷彩柄なのは雷神本人のこだわりと小耳に挟んだのじゃが、汚れるのにこだわってどうするんじゃろ。
まあ、よい。
そろそろ順番が来るのう。
というか足名椎よ。
妾を見て顔を引きつらせるのはどうかと思うのじゃが?
失礼なやつじゃのう。
「あ、天照様、本日はどのような…」
妾は黙って申請書を足名椎に渡す。
「はあ!?」
ドンガラガッシャーン!
申請内容の表題を見て派手に椅子から転げ落ちおったわ。
こいつ、芸人でも食っていけるのではないか?
弁財天にでも伝えておくかのう。
しかし足名椎のせいで妾も注目されとるではないか。
こやつめ。
大山積神がやってきて謝ってきおったわ。
こやつも不憫じゃのう。
中間管理職とはそんなもんかもしれんな。
「ミカエル様が日本に堕ちられたのですか?」
大山積神の声が震えておる。
前代未聞じゃからなぁ。
天使が日の本に落ちるのは。
「ゼウスのボンクラのやらかしじゃな」
「それはまた…」
大山積神もゼウスの性格を知っておるからな。
なんともいえん顔をしておるわ。
「この申請を出されたということはミカエル様は当面戻られないのですか?」
「そうなるのう。ヘラ曰く、表向きは当面の間のリフレッシュ休暇とのことじゃ」
「…ハデス様は荒れていませんか?」
「荒れとるぞ。ゼウスをコキュートスにぶち込むくらいには」
「…あの神、懲りますかね?」
「懲りるわけなかろう。とんでもやらかし絶対神じゃぞ?」
「オリュンポス工業団地の役場勤めじゃなくて、本当に良かったと思います」
「高天原の奴らも大概じゃが?」
「レベルが違いますよ。ザ◯とサ◯ビーくらいに」
「良く分からん例えを出しおって…」
「要するに月とすっぽんってことです」
んーと、大山積神よ。
足名椎、腰を押さえて悶絶しとるが放置で良いのか?
いいの?
ならよいが。
「この事案は素戔嗚様の決裁になるので上申しておきますね」
「うむ。頼んだぞ」
「恐らく素戔嗚様ですが、本日アポロン様とアテナ様の三人でやけ酒に行くと思うので…」
「仕方あるまい。こればかりは弟に苦労をかけるわ」
「では、私はこの申請を素戔嗚様に上申してまいりますので、」
「頼むぞ。素戔嗚のやけ酒の件は妾から月読尊に伝えておくでの」
素戔嗚の月読尊への苦手意識は未だに治らんからなぁ。
まあ、更生した際にボッコボコにされたから仕方ないのう。
というか、初代高天原愚連隊の総長じゃった月読尊に勝てるわけないのに突っかかりおったからなぁ。
素戔嗚が泣いて焼き土下座するまで殴るのを止めないからと言っておったのがトラウマになったのかのう。
まあ、素戔嗚が更生してくれたのはいいことじゃ。
というか、素戔嗚は妾にはそこそこ強く出るのに、妾より弱い月読尊にビビるのは未だに解せぬ。
なぜじゃ!




